河合塾グループ河合塾
  1. 河合塾
  2. 受験・進学情報
  3. 大学入試解答速報
  4. 大学入学共通テスト試験速報
  5. 総合コメント

総合コメント 2021年度大学入学共通テスト試験速報 | 大学入試解答速報

2021.1.17

1.志願者、受験者数

 大学入試センター試験の後継として、初めて実施される大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の第1日程は、1月16日・17日の両日に、全国681の会場で実施された。
 確定志願者数は535,245人(前年557,699人)で、22,454人減少(前年比96.0%)。志願者数の内訳をみると、現役生は449,795人(前年452,235人)で2,440人減少(前年比99.5%)と前年並みであるが、既卒生等が85,450人(前年105,464人)と20,014人減少(前年比81.0%)となり志願者減少の大半は既卒生等によるものとなっている。
 第1日程の受験者数は、外国語(リーディング)ベースで477,035人(昨年519,303人)であり、志願者に対する受験率は89.2%で昨年の93.1%から大幅ダウンした。


2.出題内容

 総論として、教科・科目により強弱はあるが、事前に大学入試センターから示されていた問題作成の基本的な考え方、各教科・科目の出題方針に概ね則った出題となった。

 センター試験と比較すると、知識や解法の暗記のみで解答できる問題は少なくなった。より理解の質を問う出題であり、思考力、判断力を発揮して解くことが求められる問題が重視され、身につけた基本的な知識や解法、公式の使い方などを十分に理解した上で、それを様々な場面で実践的に活用できるかを問う出題傾向がセンター試験よりも強くなっている。

 解答マーク数が減少している科目が多いが、全科目を通じて掲載されている資料、グラフ、地図、写真、文章などの読み取る資料の量が増加している。例えば英語(リーディング)の第4問ではメールのやりとりの内容と添付ファイルの時刻表、水族館の混雑度のグラフから5つの問に答える出題となっている。複数の資料から必要な情報を試験時間内に迅速に整理、考察し解答することが必要であった。

 また受験生にとっては初見と思われる教科書に載っていない資料や実験なども扱われている。これらの問題では既知の知識を基に推論したり、資料や問題文の情報から推測し考察する力が問われた。

 大学入試センターの作成方針にあるような、「どのように学ぶか」を踏まえた問題の設定として、授業において生徒が学習する場面、日常の生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面、資料やデータを基に考察する場面など、学習の過程を意識した出題設定が多かった。
 例えば英語(リーディング)ではニュース記事を読みクラス発表をする設定の問題や、スマホのメールのやりとり(メッセージ画面)からの出題、日本史Bでは高校の授業での学習発表が素材とされるなど、「どのように学ぶか」を踏まえた場面設定、国語(現代文)では生徒が学習の過程で作成したノートを完成させる問題等が出題されている。

 全体的には上述のように共通テストの出題方針を意識した出題傾向が強く現れた試験であったが、昨年までのセンター試験での出題形式を踏襲する問題も少なからずあった。例えば現代文第1問は評論文の問題であり、単文で解答できるオーソドックスな読解問題中心であった。5題中4題はセンター試験で出題されてきた問題。第2問は小説の問題で6題中5題はセンター試験の形式を踏襲した設問だった。また数学II・数学Bの数列・ベクトルの問題は、誘導がかなり丁寧についており、誘導に乗ってその通りに解いていけば答えが導き出せる問題になっており試行調査と比較すると考える部分は減っている。

 大きな配点の変更のあった英語(リスニング)、(リーディング)についてここで記載しておく。
 英語(リーディング):センター試験200点満点、共通テストでは100点満点に変更。
 全大問で読解問題になり、総語数が大幅に増加、また複数資料から考察する出題パターンが試行調査よりも増加した。
 英語(リスニング):センター試験50点満点、共通テストでは100点満点に変更。
 試験時間は変わらず30分。読み上げ語数は昨年のセンター試験が1,142語、今回の共通テストでは1,528語と増加した。また大問6題中、第1・2問は2回読み、読み上げ語数や読み取るべき図表の多い第3~6問の4題は1回読みであった。共通テストの得点は大学によって利用する配点比率は変わってくるが、聴き取りが苦手な受験生にとっては差のつく科目になったと思われる。

 以上より、科目により強弱はあるが初年度の共通テストは、試行調査の問題から予想されていた通りセンター試験よりも、より思考力が問われる内容であり、さらに試験時間内に本文も含む多くの資料の情報を読み取り、必要な情報を整理し解答しなくてはならないという出題であった。そのために時間的にも余裕がなかった受験生が多かったことだろう。今年の受験生にとっては得点の高低に関係なく厳しいテストであったと言える。

※各教科・科目の詳細は教科分析にてご確認ください。
 特徴、難易度、出題分量、出題傾向分析、設問別分析を掲載。

3.平均点

 5教科7科目(900点満点)総合での平均点は、理系で558点、文系で549点と予想される。

河合塾は、ガンバル受験生を応援し続けます!!





 新高1・2・3生のみなさんへ
 出題の形式はセンター試験から変わっているが、学ぶべきことは、教科書に載っている基本的な知識の習得や解法、公式の使い方などに変わりはない。しかし、共通テストで出題されているような様々な場面でそれらを活用するためには、公式や解法について、単に暗記をしていることで同じパターン(類型)であれば解けるということではなく、なぜそうなるのかという本質的な理解をすることで、いろいろな状況で使える知識・技能として身につくものとなる。また、例えば地理歴史では用語や個別の事実に関する単独での知識についても、各事実の意味や意義、相互関係等について、資料、史料、図、グラフ等も合わせて総合的に理解しておきたい。
 共通テストで出題される題材は、日常的な場面の設定や学習の場の設定が多いことからも、日常的におこる事象を様々な科目の視点で考えてみることもいいだろう。
 そして、授業を受ける際には、ぜひとも“聴き覚える”という受け身ではなく、積極的に参加する意識で臨んでいってほしい。