日本史B [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
歴史事象を多面的・多角的に考察させる問題が増加した
多様な資料を用いた出題が増加するとともに、初見の資料であっても、そこから得られる情報と授業で学んだ知識を関連づける問題が出題された
難易度
センター試験よりもやや難化
小問間の難易差はあるものの、全体としては標準レベルの問題である。しかし、従来のセンター試験に比べて、多様な資料を用いた出題が増加し、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢がより一層鮮明になった。
出題分量
大問数はセンター試験と同じ6題であったが、マーク数はセンター試験に比べて4問減少した。
出題傾向分析
大問の構成では、第1問・第2問・第6問で発表に備えた高校生の会話や学習発表が素材とされるなど、「どのように学ぶか」を踏まえた場面設定がなされている。また、個々の設問では、従来のセンター試験に比べると、史料・図版・地図・統計など多様な資料を用いた出題が増加しており、教科書などで扱われていない初見の資料であっても、そこから得られる情報と授業で学んだ知識を関連づける問題が多く出題された。一方で、従来のセンター試験と同様のレベル・内容の出題も多く見られ、全体としては受験生の知識の理解の質や思考力・判断力を幅広く問う配慮がなされている。
2021年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 貨幣の歴史 | 18 | 6 |
2 | 日本における文字使用の歴史 | 16 | 5 |
3 | 中世の都市と地方との関係 | 16 | 5 |
4 | 近世社会の儀式・儀礼 | 16 | 5 |
5 | 景山英子(福田英子)の人物史 | 12 | 4 |
6 | 第二次世界大戦後の民主化政策 | 22 | 7 |
合計 | 100 | 32 |
2020年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 古代〜近代の教育と知識の蓄積 | 16 | 6 |
2 | 古代国家の辺境支配 | 16 | 6 |
3 | 中世の入浴と浴室の歴史 | 16 | 6 |
4 | 中世末〜近世の銀と鉄 | 16 | 6 |
5 | 幕末〜明治前期の民衆運動 | 12 | 4 |
6 | 近現代の風刺漫画 | 24 | 8 |
合計 | 100 | 36 |
設問別分析
第1問
博物館における高校生の会話文を素材に、古代から現代の貨幣史を中心に問うている。問1は、文章X・Yとそれに深く関わる法令a〜dの組合せを選ばせる問題で、受験生の論理的な判断力が要求されており、従来のセンター試験には見られなかった新傾向の問題である。問2・問6は、図版の内容だけでなく会話文や解説文の内容も参考にして解答する必要がある。
第2問
原始・古代の文字使用の歴史・展開に関する生徒の発表要旨を素材に、原始・古代を総合的に問うている。問1は、中国諸王朝の領域が示された地図を年代順に配列させる問題で、従来のセンター試験には見られなかった形式である。問3では、提示された事例をもとに歴史的に考察することが求められた。問4は、国風文化についての異なる評価とそれぞれの根拠の組合せを問うており、試行調査でも見られた形式である。
第3問
中世の都市と地方の往来をテーマに、中世の社会経済・文化を中心に問うている。問1(1)では荘園の立券に関する史料が、問1(2)では荘園絵図がそれぞれ素材として使用されている。いずれも慎重な読解が求められる。問2・3・4では、従来のセンター試験と同様、歴史用語に関する知識が問われている。
第4問
近世社会の儀式や儀礼がもつ重要な意味をテーマに、近世を総合的に問うている。問1では江戸城本丸御殿の模式図と殿席の説明を手がかりに知識も交えて正誤を判断することが求められており、共通テストが重視する「知識・技能や思考力・判断力」を問う問題である。問2は、幕府による大船建造の解禁の時期判断に戸惑った受験生もいただろう。問4(1)(2)の史料問題は、注釈をヒントに慎重な史料読解が求められる。
第5問
景山英子(福田英子)の人物史をテーマに、幕末・明治時代を総合的に問うている。問3の史料問題では、史料の内容に関する考察・評価が求められた。また、問3・問4では問題文に記された1901年・1907年という年代をヒントに正誤を判断することが求められ、受験生の年代感覚も問われている。<日本史Aの第2問と共通問題>
第6問
農地改革の背景や過程・実績に関するスライドを素材に、近現代(高度成長期まで)の社会経済史を中心に問うている。問3・問5は、それぞれスライドの内容から小作人の地位が向上していった点を読み取って解答したい。問6は、スライド中のグラフの慎重な読み取りが求められる。<日本史Aの第4問と共通問題>
20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 |
65.5 | 63.5 | 62.2 | 59.3 | 65.6 |