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化学 [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

思考力を要する問題が増加し、全体的に難しくなった。

問題文や図表から必要な情報を読み取る問題や解答に至るプロセスを自ら設定する問題が出題された。
【ズバリ的中】<本試験>第2問 問2 > <河合塾教材>2020年度 第1回全統共通テスト模試 化学 第4問 問5のリード文とb問題

難易度

センター試験と同様に小問集合形式も見られたが、思考力・判断力を要する問題が増加しており、難しくなった。

出題分量

大問数は5題、マーク数は29であり、昨年度のセンター試験に比べると減少しているが、思考力・判断力を要する問題が増加しており、時間的な余裕はなかったであろう。

出題傾向分析

第1問は物質の構成、物質の状態、第2問は物質の状態、物質の変化で、いずれも理論分野からの出題であった。第3問は物質の変化、無機物質、第4問は有機化合物、高分子化合物からの出題であった。第5問は、グルコースを題材とした総合問題であり、グラフの描図も含まれていた。
第3問 問3の鉄(III)の錯イオンの光化学反応に関する実験問題、第5問のグルコースの異性化の平衡および反応など、目新しい問題が目立った。また、第1問 問4の蒸気の圧力の温度変化の問題、第2問 問3の氷の昇華熱に関する問題など、既習の知識を活用しながら問題文や図表を読み解いたり、作図の結果を用いたりして判断する問題が多く、思考力・応用力が重視された。

2021年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 20 6 金属元素、結晶の構造、物質の溶解と分子間力、気液平衡
2 物質の状態、物質の変化 20 5 光化学反応、電池、水の状態とエネルギー
3 物質の変化、無機物質 20 6 電気分解、金属元素、化学反応と量的関係
4 有機化合物、高分子化合物 20 6 芳香族炭化水素、油脂、アルコール、高分子化合物、ポリペプチド
5 天然有機化合物、物質の変化と平衡 20 6 グルコース、化学平衡、化学反応と量的関係
合計 100 29  

2020年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 24 6 物質の構成、物質の状態、気体、溶液、コロイド
2 物質の変化と平衡 24 7 化学反応と熱、反応速度、化学平衡、電離平衡
3 無機物質 23 8 金属元素、非金属元素、電池
4 有機化合物 19 6 脂肪族化合物、芳香族化合物
5 合成高分子化合物、天然有機化合物 6 3 合成高分子化合物、天然有機化合物
6 合成高分子化合物 4 2 合成高分子化合物
7 天然有機化合物 4 2 天然有機化合物
合計 100 32  

設問別分析

第1問

金属元素、金属結晶の構造、物質の溶解や分子間力、気液平衡が出題された。
問1では金属元素の性質に関する基本的な知識が問われた。問2は、金属の結晶構造に関する文字式の計算問題であり、体心立方格子の一辺の長さ、モル質量、密度からアボガドロ定数を求める典型的な内容であった。問3は、物質の溶媒への溶解や分子間力に関する記述の正誤の組合せを選択する問題であった。問4は、蒸気の圧力に関する問題であり、与えられた情報をもとに、aは蒸気圧曲線から数値を読み取る内容、bは容積一定での温度と圧力の関係のグラフを選択する内容であった。

第2問

光が関わる化学反応、電池、水の状態変化、状態とエネルギーが出題された。
問1は、光が関わる化学反応や現象の問題であり、身のまわりに関する反応が扱われた。問2は、空気亜鉛電池の質量変化から流れた電流の値を求める問題であり、与えられている各電極での反応式をもとに考えればよい。問3は、氷の昇華と水分子間の水素結合に関する問題であった。aは水の状態図を思い浮かべるとよい。bは氷1molあたりに2molの水素結合が含まれることがポイントである。cは氷の昇華熱を求める問題であり、与えられたエネルギー図をもとにヘスの法則が活用できたかがポイントである。

第3問

電気分解、金属元素、鉄(III)の錯イオンの光化学反応を題材とした実験問題が出題された。
問1は、塩化ナトリウムの溶融塩電解に関連する正誤問題である。問2は、与えられた情報から金属元素を推定する問題で、金属単体や塩化物の性質に加えて、スズと鉛が同族元素である知識も必要であった。問3は、鉄(III)の錯イオンが光で分解する反応を題材とした実験問題である。教科書に記載されていない反応を題材とした思考力・判断力を要する問題で難易度は高い。aは鉄(II)イオンの検出反応がわかれば解答できる。bは問題文に与えられた反応式から反応の量的関係を考える問題である。cは反応前後のシュウ酸イオンの物質量の差から、分解した錯イオンの物質量を考える問題であった。bで得られた結果を活用するとよい。

第4問

天然有機化合物および合成高分子化合物を含む有機化合物の全範囲からまんべんなく出題された。
問1は、芳香族炭化水素に関する正誤問題であった。問2は、油脂に関する正誤問題であった。けん化価やヨウ素価については初めて目にした受験生もいたかもしれないが、選択肢中に定義が示されているので正文と判断できたであろう。問3は、4種類のアルコールを用いた反応の生成物に関する問題であった。aでは、酸化によりケトンが生成するものの数が問われた。bは、分子内脱水で生成するアルケンの異性体の数が最も多いアルコールを選択する問題であり、シス−トランス異性体を区別して数えることに注意する必要があった。問4は、高分子化合物に関する正誤問題であった。問5は、ポリペプチド鎖(ポリアラニン鎖)のらせんの全長を求める問題で、目新しかった。与えられた情報(らせんひと巻きのアミノ酸単位の数、らせんのひと巻きとひと巻きの間隔)とポリペプチド鎖を構成するアミノ酸単位の数に着目して立式することで求めることができる。

第5問

グルコースを題材をした総合問題であり、異性化の化学平衡および反応に関する内容が出題された。
問1は、グルコースの水溶液中の化学平衡に関する問題で、aは平衡時に存在するα-グルコースとβ-グルコースの物質量の総和が一定であることが理解できれば解ける。bは方眼紙を用いて作図を行い、β-グルコースの物質量が平衡に達したときの50%となる点を読み取る問題で、「観察・実験・調査の結果などを数学的な手法を活用して分析し解釈する力を問う」という問題作成方針に沿って出題されている。cは化学平衡時のα-グルコースとβ-グルコースの物質量の割合が変わらないことに気づくのがポイントである。問2は、α型の1位のヒドロキシ基がメタノールと反応すると、鎖状構造を経由したβ型への変換が起こらないことに気づく必要がある。問3は、扱われた反応は教科書に記載がない。aは、Yが還元剤としてはたらきZになることから解答できる。bは、グルコースの分解に関する化学反応の量的関係の問題であり、炭素原子の物質量に着目すればよい。

過去の平均点の推移

20年度 19年度 18年度 17年度 16年度
54.8 54.7 60.6 51.9 54.5