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物理 [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

状況を正確に把握するのに手間取り、考察を必要とする問題が増加した。 原子分野が大問で出題された。

大問の前半部分の設問であっても慎重な考察が必要で、知識だけで即答できるような問題は減少した。また、作成方針通り、既知でない図やグラフを考察する問題があり、解答に時間がかかったであろう。 第3問Aのダイヤモンドの問題は、見慣れない問題であり、思考力が問われた。また第3問Bで原子分野が出題された。

難易度

センター試験と比べて、やや難化した。 問題文を丁寧に読まないと状況を把握できない問題や、図やグラフから現象を読み取る問題が増加し、知識だけで即答できたり、ただちに方針が立つような問題がほとんど無くなった。その一方、選択肢が少ない問題が増加した。

出題分量

昨年のセンター試験と比べて、マーク数、設問数ともにやや増加した。

出題傾向分析

第1問は小問集合、第2問はAB分けされた電磁気、第3問はA波動・B原子、第4問は力学の大問4題構成。全分野から出題されている。

2021年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 小問集合 25 5 各分野の基本問題
2 電磁気 25 12 A 抵抗とコンデンサーを含む直流回路
B 磁場中を運動する導体棒の電磁誘導
3 波動・原子 30 7 A ダイヤモンドが輝く原理
B 蛍光灯が光る原理
4 力学 20 4 放物運動と衝突
合計 100 28  

2020年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 小問集合 25 5 各分野の基本問題
2 電磁気 20 4 A コンデンサー回路
B 荷電粒子の運動
3 波動 20 4 A ドップラー効果
B 光の干渉
4 力学 20 4 A 衝突と円運動
B 力のつり合いと運動方程式
5 15 3 浮力と気体の状態変化
6 原子 15 3 原子核と放射線
合計 100 20  

設問別分析

第1問

さまざまな分野からの小問集合。問1は、加速する台車上では慣性力がはたらくため、見かけの重力の向きが鉛直方向から後方に傾くことがポイント。その向きに対して糸は平行に、水面は垂直になる。このような問題を初めて見た受験生は悩んだかもしれない。問2は、荷物、板、人、および動滑車を一体とみなし、力のつり合いを考えればよい。問3は、極板間には一様な電場ができており、電場の強さは電位差を距離で割ることで求められる。これが最も強い点が、静電気力の大きさが最も大きくなる点である。問4は、ドップラー効果とうなりの典型的な設定の問題。問5は、気体の等温変化と断熱変化をグラフに基づいて考察する問題。

第2問

A 抵抗とコンデンサーを含む直流回路の問題。二次試験でも出題されるような難易度の高い問題だが、文章による誘導に従っていくとやや解きやすくなる。問1の後半と問3は、解答の数値を直接マークする設問であった。
B 一様な磁場中における2本の導体棒の電磁誘導、運動を問う問題。問4は、リード文中の「単位長さあたりの抵抗値はrである」を読み落とさないように注意が必要である。問6は、問5の設問がヒントになっており、導体棒aとbは互いに逆向きに同じ大きさの加速度になっていることに気づく必要がある。

第3問

A ダイヤモンドが様々な色で輝くことをテーマにした問題。光の屈折、分散、全反射に関する知識と理解が必要である。計算問題はほとんど無い。状況の正確な把握がポイントである。
B 蛍光灯が光る原理の問題。電子の衝突によって水銀原子が紫外線を放出する現象を扱う原子分野の問題であるが、このとき成り立つ保存則を力学的な観点で考えることがポイントである。

第4問

ボールを捕球したときの運動量とエネルギーについて考察する問題。
問1はボールを投げた位置と捕球した位置の高さ違いで、角度や速さの違いを問うている。放物運動の軌道の特徴をとらえているかが重要である。 問2は捕球時における運動量保存を考える。水平方向のみが保存することがポイントである。速度(運動量)を水平方向、鉛直方向に分け、正しく立式することが必要。 問3では一般的に衝突では力学的エネルギーは保存されないことに注意。実際に計算していては、どうしても時間が足りなくなる。 問4は共通テストの特徴である会話文の問題。衝突時,ボールはそり上面から鉛直上向きに力を受けている。

過去の平均点の推移

20年度 19年度 18年度 17年度 16年度
60.7 56.9 62.4 62.9 61.7