世界史B [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
資料の文章を読み取る問題が多く出題された。
グラフを読み取る問題を含む第2問以外は、すべての大問に資料の文章を読み取る問題が含まれた。
難易度
資料を多く読む必要があり、形式が複雑であったが、難易度に大きな変化は見られなかった。
出題分量
大問数は、昨年のセンター試験が4題で、今回の共通テストは5題となっており、増加しているが、小問数は昨年の36問から34問に減少した。ただし、問題のページ数は昨年が24ページだったのに対して、今回は30ページであり(白紙は除く)、分量そのものは増加している。
出題傾向分析
グラフを読み取る問題を含む第2問以外は、すべての大問に資料の文章を読み取る問題が出題された。リード文に資料を引用しているほか、資料文そのものを選択させたり、時代順に並び替える問題も出題された。以上は、試行調査の問題と同様であり、生徒同士の会話、生徒と先生の会話など、会話文が利用されたこと(4カ所)、組合せ問題が多かったことも試行調査と同様であった。一方、試行調査に見られた移動を示す地図を利用した問題はなく、地図問題そのものが1問であった。また、図版選択問題など図版を利用した問題も少なかった。出題内容やレベルは従来のセンター試験を踏襲しており、古代から第二次世界大戦後まで幅広く出題され、やや近現代史が多く、戦後史からの出題もみられた。ただし、上記したとおり、さまざまな形式の問題が出題されたことで、従来のセンター試験で主流だった4文正誤問題は大幅に減少し、年表問題もなかった。
2021年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 資料と世界史上の出来事との関係 | 15 | 5 |
2 | 世界史上の貨幣 | 18 | 6 |
3 | 文学者やジャーナリストの作品 | 24 | 8 |
4 | 国家やその官僚が残した文書 | 26 | 9 |
5 | 旅と歴史 | 17 | 6 |
合計 | 100 | 34 |
2020年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 文化の繁栄や受容 | 25 | 9 |
2 | 戦争や対外関係 | 25 | 9 |
3 | 図書館と書物 | 25 | 9 |
4 | 人やモノの移動 | 25 | 9 |
合計 | 100 | 36 |
設問別分析
第1問
資料と歴史上の出来事との関係をテーマとした問題で、Aは『史記』、Bはマルク=ブロックの著書から引用されている。問2の4文正誤にはやや細かい情報が含まれる(マッカーシーなど)。問4の「文章資料についてのブロックの説明」は、資料を正確に読み取る必要がある。
第2問
世界史上の貨幣について、Aはイギリスにおける金貨鋳造量の推移のグラフ、紙幣流通量の推移のグラフを使った問題、Bは会話文を利用した問題である。問2は、グラフを読み取った上で、そこから考えられる仮説について問う問題であった。
第3問
文学者やジャーナリストの作品がテーマで、A〜Cのすべてに資料文が使用されている。Cではジョージ=オーウェルの小説『1984年』を紹介・討論するさいに配付された資料と生徒からの質問票を活用した問題。4文正誤問題は3題のみで、残り5問は組合せ問題(うち、3問は6択)であり、組合せ問題が多いこと、そして、資料の読み込みが必要となるため、解答に時間がかかる。問8は、引用文の読み取りと習得している知識を組み合わせて判断する必要がある。
第4問
国家とその官僚が残した文書がテーマで、A〜Cのすべてに資料文が使用されている。地図を使用した問題は、全体の中でこの第4問 問2のみで、資料中の「自治公国」という記述から空欄に入るのがブルガリアであると判断したうえで、地図からブルガリアを探す問題である。問1・問7は資料の内容、問8は会話文の内容を読み取る必要がある。問5は、資料X・Yがそれぞれ何であるのかを読み取って、それぞれの年代を判別し、資料Zとともに年代順に並べる問題。資料Zの日中共同声明は、会話文中に「1972年」という年代が示されているが、資料Xも同じ1972年であるため、ニクソン訪中のあと田中訪中が行われたという、流れで解く問題。
第5問
旅と歴史をテーマに、Aでは3つの地域に関連した資料を読み、その内容から地域1がシチリア島、地域2がロンドン、地域3がアテネであることを特定することが、設問を解く上での前提となっている。Bは19世紀の朝鮮からの出題で、これも会話文の内容などから空欄に入るべき人物(大院君)や思想(朱子学)を特定したうえで、問4・問5を解く問題である。
20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 |
63.0 | 65.4 | 68.0 | 65.4 | 67.3 |