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倫理 [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

共通テストのねらいに則して、より思考力や読解力を重視する出題となった。

会話文と資料文の両方を読み比べて解答しなければならない設問など、これまでのセンター試験と比較して、思考力や読解力が問われる問題が増加した。

難易度

全体的に読解問題の出題割合が高まったが、平成30年度試行調査に見られた、先の解答に応じて次の正解が変わる連動問題や、写真や絵画作品を解釈しなければ解答できない設問など、受験生が解答に際して戸惑うような目新しい出題はなかった。教科書を熟読し内容を理解している受験生であれば、十分に高得点を取ることが可能である。

出題分量

大問数は昨年と同じだが、マーク数は昨年の37より4少ない33であった。ただし、本文・資料文・図表の読解が必要な問題が昨年の8から13へと大幅に増加したこともあり、全体のページ数は大きく変わっていない。

出題傾向分析

大問ごとの出題分野がセンター試験とは異なり、第1問が源流思想、第2問が日本思想、第3問が西洋近現代思想、第4問が青年期や現代の諸課題分野からの出題となった。各大問では生徒の主体性を重視するアクティブラーニングの実践場面が設定されるなど、共通テストのねらいに即した出題形式がとられていた。平成30年度試行調査では設問に絡む多くの写真や絵画が用いられたが、今回は大幅に減り、3枚にとどまった。

2021年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 源流思想 24 8
2 日本思想 24 8
3 西洋近現代思想 24 8
4 青年期と心理、現代の諸課題 28 9
合計 100 33

2020年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 現代社会の諸課題と青年期 28 10
2 源流思想 24 9
3 日本思想 24 9
4 西洋近現代思想 24 9
合計 100 37

設問別分析

第1問

高校生が「恥」について自ら資料を調べたり、会話を交わすなど「学習の過程を意識した問題の場面設定を重視する」という作問方針に従い、ギリシア哲学、キリスト教、仏教、古代中国の思想、イスラーム教など、東西の源流思想から広く基本的な事項が出題された。ペテロや董仲舒などやや難しい思想家の知識を問う問題もあったので、教科書のキーワードを暗記するだけではなく、教科書を熟読し内容理解に徹する丁寧な学習が必要である。

第2問

「日本における時間の捉え方と人生観・世界観」について、アクティブラーニングの場面が設定され、「高等学校における主体的・対話的で深い学びの実現」という作問方針に従い、古代から現代までの日本思想から基本的な事項が幅広く出題された。生徒が作成した「レポート」や「ノート」の空欄補充という形式は平成30年度試行調査でも見られたものだが、内容的には従来の知識問題と同じものであった。倫理的主題の文章の内容を正確に読み取るトレーニングをしておく必要がある。

第3問

「良心」をテーマとした本文をもとに、西洋の近現代思想に関する基本事項が幅広く出題された。出題形式も従来のセンター試験と同様のものが多く、全体的には解きやすいものであった。センター試験の過去問を数年分でよいからじっくり解いておくことは、今後も得点力の向上に役立つであろう。フッサールの現象学に関する出題など、やや難しい思想家の知識を問う問題もあったので、用語集や資料集で知識の幅を広げておく必要がある。

第4問

「歴史」をテーマに二人の高校生が交わした会話をもとに、青年期や現代社会の諸課題に関する基本事項が幅広く出題された。ヨナスやリオタールなどやや難しい思想家の知識を問う問題もあった。会話文と資料文を組み合わせた読解問題は「原典資料等、多様な資料を手掛かりとして様々な立場から考察する」という問題作成方針に従って作問されている。従来のセンター試験や平成30年度試行調査には見られなかったものであり、やや取り組みにくいと感じた受験生が多かったかもしれないが、標準的な読解力があれば解ける問題であった。現代社会の諸課題について広く関心をもつことが必要である。

過去の平均点の推移

20年度 19年度 18年度 17年度 16年度
65.4 62.3 67.8 54.7 51.8