数学II・数学B [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
「確率分布と統計的な推測」が第3問に配置された。正しい選択肢を選ぶ問題が増加。
センター試験と同様に、第1問と第2問は数学II、第3問以降は数学Bからの出題であった。確率分布と統計的な推測はセンター試験では第5問にあったが、学習指導要領の配置順に従い第3問に配置された。選択肢を選ぶ問題が増加し、文章量も増加したが、計算量が減少したことにより思考する時間が確保できたと思われる。
難易度
問題の文章量は増加したが、丁寧な誘導がなされており、思考する時間が確保できたと思われる。また、計算量も近年のセンター試験と比べてやや減少した。センター試験よりも高度な数学の内容ではあるが、誘導にしたがって解き進める問題が多いので、数学をより深く学んでいる受験生には取り組みやすい問題である。
出題分量
計算量は2020年度のセンター試験よりは少なくなったが、思考力を問う問題が増えた。 問題の文章量は2020年度のセンター試験より大幅に増加した。
出題傾向分析
近年のセンター試験に比べ、複数の選択肢から当てはまるものを選ぶ問題が激増した。設問数はやや増加したが、選択肢を選ぶ問題が増加したため、マーク数(カタカナの数)は4分の3ほどに減っている(2020年度との比較)。
2021年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]三角関数 | 30 | 三角関数の値、三角関数の合成(正弦、余弦)、三角関数の最大値、加法定理 |
[2]指数関数・対数関数 | 相加平均と相乗平均の関係、指数関数の性質、指数方程式 | ||
2 | 微分法・積分法 | 30 | 接線、面積、グラフの選択、関数の最大 |
3 | 確率分布と統計的な推測 | 20 | 平均(期待値)、標準偏差、正規分布による近似、信頼区間 |
4 | 数列 | 20 | 等差数列、等比数列、漸化式 |
5 | 空間ベクトル | 20 | 正五角形、正十二面体、内積計算 |
合計 | 100 |
2020年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]三角関数 | 30 | 加法定理、三角関数の合成、三角関数の方程式・不等式 |
[2]指数関数・対数関数 | 指数・対数の計算、対数の連立不等式 | ||
2 | 微分法・積分法 | 30 | 微分、接線、面積、最大値 |
3 | 数列 | 20 | 漸化式、階差数列、和の計算、周期性 |
4 | 空間ベクトル | 20 | 内積計算、四角形の形状、四面体の体積 |
5 | 確率分布と統計的な推測 | 20 | 平均、標準偏差、二項分布、正規分布による近似、信頼区間 |
合計 | 100 |
設問別分析
第1問
[1]は三角関数の最大値を合成により求める問題。(1)では正弦を用いて合成するが、(2)は余弦を用いて合成することになり、慣れていない受験生は困惑しただろう。
[2]は指数関数の性質を三角関数の性質と比較する問題である。花子さんと太郎さんの会話でヒントが出されており、それに従えば答えを出すのは難しくない。
<数学IIの第1問の共通問題>
第2問
(1)は二つの2次関数のグラフの共通点を考え、それを一般化した放物線について面積を考える。さらに、ある文字定数を固定したときの残りの文字定数の関係を吟味する。試行調査の結果報告に示された「数学的な問題発見・解決の過程の全過程を問う問題」の典型である。
(2)は3次関数について同様のことを考え、関数の最大値を考える。誘導に従えば、計算量も少なく難しくないが、文字を含んだ計算に戸惑った受験生もいたかもしれない。
試行調査と同様にグラフを選ぶ問題もあった。
<数学IIの第2問の共通問題>
第3問
(1)は二項分布における平均、標準偏差に関する問題であり、(2)は二項分布の正規分布による近似の問題。すべて標準的な問題である。
(3)と(4)は母平均の推定に関する問題であり、特に選択肢を選ぶ問題は、思考力、判断力を問うという問題作成方針に沿って出題されていると考えられ、少々難しい。
教科書の内容を十分に理解することがもっとも大事である。
第4問
等差数列と等比数列を利用した複雑な漸化式を考える問題。全体的に誘導に沿って計算していくとよい。「一定の手順に従って数学的に処理する」という問題作成方針に沿った出題と思われる。計算量が少なく、誘導も丁寧であるから、出題意図をしっかり読み取ることができれば難しくない。
等差数列と等比数列の性質をしっかり理解し、漸化式を処理する方法を普段からいろいろ練習しておくことが必要である。
第5問
空間ベクトルを用いて正十二面体を考える問題。ベクトルの内積を利用し、正十二面体にある4つの頂点を通る平面による断面が正方形である事実を証明する。文字を使った計算が多いが、誘導が丁寧であり、見た目ほど難しくはない。また、問題にはなかったのだが、同じ手順に従って考えていくと正十二面体の中に立方体が埋め込まれることがわかる。「教科書等では扱われていない数学の定理等を既知の知識等を活用しながら導く」という問題の作成方針に沿った出題と思われる。
普段からベクトルの計算を練習したうえで、条件から図形の形状を読み取る練習をしておくことが必要である。
20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 |
49.0 | 53.2 | 51.1 | 52.1 | 47.9 |