数学I・数学A [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
日常の事象(100m走)を題材とした問題が出題された。また、それまでの設問の解き方を参考にして、誘導なしで一から考える設問が複数出題。
100m走について、タイムが最小となるストライド、ピッチを求める問題が出題された。第1問[2]、第3問、第4問では、それまでの設問の解き方(問題文の誘導)を参考にして、別の設定の問題を誘導なしで一から考える設問が出題された。
難易度
日常の事象を題材とした問題や会話文の問題が出題され、戸惑った受験生も多かったと思われる。また、誘導のない問題もあり、思考力を問う設問も多かった。昨年はやや難しかったが、得点しやすい設問もあり、全体としては近年のセンター試験と同レベルであった。
出題分量
昨年のセンター試験と比べると、問題のページ数、問題文の行数ともに増えた。また、思考に時間がかかる設問も多くあったため、センター試験に比べて10分延びたとはいえ、その追加された時間分では賄えないほど出題分量は増加していた。時間内にすべてを解答するのはやや厳しかったかもしれない。
出題傾向分析
近年のセンター試験と比べて、同じ傾向の大問もあったが、全く違う大問もあった。特に、2次関数では日常の事象を題材とした問題が出題され、図形と計量では角や辺の長さが定められていない図形を扱う問題が出題された。
2021年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式、2次関数 | 30 | 因数分解、2次方程式の解、整数部分、有理数・無理数 |
[2]図形と計量 | 三角比の相互関係、三角形の面積、余弦定理、正弦定理 | ||
2 | [1]2次関数 | 30 | 1次関数、2次関数 |
[2]データの分析 | 箱ひげ図、ヒストグラム、散布図 | ||
3 | 場合の数と確率 | 20 | 反復試行の確率、条件付き確率 |
4 | 整数の性質 | 20 | 1次不定方程式の整数解 |
5 | 図形の性質 | 20 | 角の二等分線、内接円、方べきの定理とその逆 |
合計 | 100 |
2020年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式・2次関数 | 30 | 1次関数、2次不等式、1次方程式 |
[2]集合と命題 | 集合と要素、反例 | ||
[3]2次関数 | 放物線と線分が共有点をもつ条件、グラフの平行移動 | ||
2 | [1]図形と計量 | 30 | 余弦定理、正弦定理、補角の三角比、角の二等分線 |
[2]データの分析 | 四分位数、箱ひげ図、ヒストグラム、散布図 | ||
3 | [1]場合の数と確率 | 20 | いろいろな確率 |
[2]場合の数と確率 | 反復試行、条件付き確率 | ||
4 | 整数の性質 | 20 | 循環小数、位取り記数法 |
5 | 図形の性質 | 20 | チェバの定理、メネラウスの定理、面積比、方べきの定理 |
合計 | 100 |
設問別分析
第1問
[1]2次方程式の解についての問題であった。(1)(2)は基本的な問題であり、完答したい設問であった。(3)は会話文にあるヒントから方針を正しく立てられるかがポイントであった。<数学Iの第1問[1]と共通問題>
[2]角や辺の長さが定められていない図形を扱う問題で、近年のセンター試験に比べると手をつけにくかったと思われる。180°-θの三角比の利用に気づけるかがポイントであった。さらに(4)は、辺と角の大小関係、正弦定理、余弦定理を組み合わせて考えなければならず、高い思考力が要求される設問であった。<数学Iの第2問と一部共通問題>
第2問
[1]100m走を題材とした問題で、数式を立てて100m走のタイムが最小となるときの1歩あたりの進む距離(ストライド)、1秒あたりの歩数(ピッチ)を求める問題であった。問題文が長く、初めて見る用語や関係式に対応して上手に立式できるかがポイントであった。<数学Iの第3問[2]と共通問題>
[2]都道府県別の就業者数割合のデータに関する問題であった。箱ひげ図、ヒストグラム、散布図の基本的な知識が身についていれば、読み取りやすい問題であり、完答したい。<数学Iの第4問と一部共通問題>
第3問
複数の箱から一つを選びくじ引きをしたとき、どの箱からくじを引いた可能性が高いかを考える問題であった。試行調査の問題と似た傾向であり、誘導が丁寧であったため、考えやすかったと思われる。(3)以降はそれまでの設問の解き方と会話文のヒントを参考にして考えることで計算量を減らすことができる。
第4問
円周上を動く石について、その動きを1次不定方程式を利用して考える問題であった。(3)までは誘導もあり、考えやすかったが、(4)は誘導がなく、解答の方針を立てにくかった受験生が多かったであろう。時間に余裕があれば、すべてを書き出すことでも解くことができる。
第5問
近年のセンター試験で頻出であったメネラウスの定理・チェバの定理を利用する設問が出題されなかった。角の二等分線、方べきの定理、内接円などに関する知識を問う問題であったが、円が3つも出現し、正確に図を描くのが難しかったと思われる。また、最後の設問はそれまでに得られた結果をどう利用するかに気づけるかがポイントであった。
20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 |
51.9 | 59.7 | 61.9 | 61.1 | 55.3 |