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地学 [分析] 2021年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

総合問題やレポート形式の問題など、新傾向の問題が出題された。

従来のセンター試験では見られなかったが、試行調査で扱われた、1つのテーマに沿って各分野の内容を問う総合問題が出題された。また、問題作成方針に掲げられた数的な処理能力を重視したためか、計算問題がセンター試験に比べて増加するとともに、3つの事象の関係をグラフから読み取る問題も出題された。

難易度

選択肢数が5つ以上の設問がセンター試験と比べ減少した。詳細な知識を要する問題も減少したため、センター試験に比べてやや易化した。

出題分量

解答するマーク数は29であり、昨年よりも1減少した。

出題傾向分析

教科書で扱われている「固体地球の概観」「固体地球の活動」「地球の歴史」「大気と海洋」「宇宙の構成」の5分野のすべてから出題されていた。内容的にはセンター試験と同様に知識問題、読図問題、計算問題がバランスよく出題された。出題形式でみると、センター試験に比べて用語選択問題と図選択問題が減少し、図やグラフを読み取った上で解答する問題や計算問題が増加した。

2021年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 総合問題 18 5 水と自然現象
2 地球 18 5 A 地磁気
B 地震
C 隕石や鉱物、地球
3 地質・地史 21 6 A 変成岩と造山帯
B 地質調査と古生物
4 大気・海洋 23 7 A 日本周辺の天候
B 海上を吹く風と海洋表層の流動
5 宇宙 20 6 A 銀河系と銀河
B 恒星と星団
合計 100 29  

2020年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 地球 27 8 A 地磁気と重力
B プレート運動と火山
2 岩石と地質 17 5 A 変成作用と変成岩
B 地質調査
3 大気と海洋 27 8 A 大気
B 天気予報
C 海洋の波動や循環
4 宇宙 17 5 恒星と星団
5 地球の活動と歴史 12 4 A テチス海
B 火成岩
6 宇宙 12 4 A 地球の運動や太陽系
B 銀河系と宇宙
合計 100 30  

設問別分析

第1問

地学の各分野からの出題がなされた総合問題であった。問1は、大気と海洋の相互作用に関する知識問題であった。問2は、マグマの発生に関してグラフを読み取る平易な問題であった。問3は、アイソスタシーに関する計算問題で、似たような問題はセンター試験でも繰り返し出題された。問4は、地史に関する平易な知識問題であった。問5は、ハビタブルゾーンに関する考察問題で、スペクトル型から恒星の表面温度を考え、表面温度が高い主系列星は放射エネルギーが大きいことを考えて解く必要がある。センター試験では見られない出題形式であったが、試行調査の第1問の出題形式を踏襲している。また、各小問で問われている内容は従来のセンター試験と大きな違いはない。

第2問

Aは、地磁気に関する問題であった。問1は、磁北極の移動曲線を表した図からその移動速度を求める問題である。問2は、永年変化の原因に関する知識問題である。
Bは、地震に関する問題であった。問3は、地下で発生した地震の走時曲線の図からP波の速さを求める問題である。教科書では扱われていないタイプの走時曲線ではあるが、縦軸の切片(震央距離0km)に注目して計算する。
Cは、隕石や鉱物、地球に関する問題であった。問4は石鉄隕石の組成と固溶体に関する知識問題である。問5は、地球全体と地殻の組成を参考にして、マントルの元素の存在割合を推定する問題である。

第3問

Aは、変成岩と造山帯に関する問題であった。問1は、岩石の写真から岩石名とでき方を推定するレポート形式の問題で、変成岩の特徴を正確に把握していれば解くことができる。問2は、広域変成作用に関する知識があれば解くことは容易である。
Bは、地質・地史に関する問題であった。問3は、地形図と与えられた走向・傾斜から、地表に露出する地層を推定する問題で、ルートマップなどの地質図に慣れていれば解くことができる。問4は、問3で描いた地質図から地層の上下関係を読み取る問題である。問5は、地質時代と示準化石の関係を問う頻出問題で易しい。問6は、地質年代とその時代に起こった地殻変動を対応させる知識問題である。

第4問

Aは、日本周辺の天候に関する問題であった。問1は、梅雨期の天候に関する知識問題である。問2は、温帯低気圧に関する知識問題である。問3は、地上天気図と高層天気図を対応させる考察問題であり、背の高い高気圧に注目して解くとよい。
Bは、海上を吹く風と海洋表層の流動に関する問題であった。問4は、エクマン輸送に関する知識問題である。問5は、試行調査で扱われた三つの事象の関係をグラフから読み取る考察問題である。問6は、西岸強化に関するやや難しい考察問題である。西岸強化が起こるのは高緯度ほど転向力が大きくなるためであることから考えればよい。問7は、エルニーニョ現象に関する知識問題である。

第5問

Aは、銀河系と銀河に関する問題であった。問1は、ダークマターに関する標準的な知識問題であった。問2は、変光星の周期と周期光度関係の図を読み取り、見かけの等級と絶対等級の関係式を利用して距離を求める計算問題であった。与えられた資料をもとに数学的な手法を活用するという共通テストの問題作成方針に沿った出題であった。問3は、活動的な銀河についての標準的な知識問題であった。問4は、赤方偏移量から銀河の後退速度を求める計算問題であった。公式を正確に覚えていないと解けない問題であり、センター試験や試行調査では見られなかった10の累乗を解答させる新しい形式の問題であった。
Bは、恒星と星団に関する問題であった。会話文を用いた出題形式で、問5・問6は、恒星の進化や寿命についての知識と星団のHR図についての理解が問われており、いずれも標準的であった。

過去の平均点の推移

20年度 19年度 18年度 17年度 16年度
39.5 46.3 48.6 53.8 38.6