倫理,政治・経済 [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
全設問が単独科目「倫理」「政治・経済」との共通問題。法改正の内容を読み取る設問や、モデルケースを用いた設問が、それぞれ複数出題された。
昨年度と同様、全設問が単独科目「倫理」「政治・経済」との共通問題であった。知識を問う設問とともに、思考力・判断力を試す設問も多く出題されており、6〜8択の設問の数が昨年度よりも増えている。倫理分野では、判断に迷うような難しい知識問題の出題がいくつかみられた。政治・経済分野では、資料文や条文などの文章資料の内容を読みとるタイプの問題や、モデルケースを用いた経済の応用問題が、それぞれ複数出題された。
難易度
昨年並み
倫理分野の設問については、標準的なレベルのものが多くを占めるが、受験生が見落としがちな知識を扱うやや難しいものもいくつか出題された。政治・経済分野の設問については、思考力・判断力を試すやや難しいものも出題されているが、全体としては昨年よりも取り組みやすくなっている。
出題分量
出題分量は昨年度並み。大問数およびマーク数は昨年度と同じ。全体のページ数についても、昨年度と同じ39ページであった(白紙ページを除く)。倫理分野と政治・経済分野のバランスも例年通りとなった(倫理分野のマーク数は16で配点50点、政治・経済分野のマーク数も16で配点50点)。
出題傾向分析
倫理分野、政治・経済分野ともに、扱う知識事項については、概ね教科書の範囲内で対応できるものとなっている。倫理分野では、高校生による会話やノート、引用資料文の内容を踏まえて解答する設問が、例年通り出題されている。図画(絵画写真等)を用いる設問は、昨年に続き出題されなかった。政治・経済分野では、資料文の内容やモデルケースを用いた思考力が必要な問題が昨年に続き出題された。昨年出題されていた出来事の古い順を考えさせる設問は出題されなかった。
2024年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 【倫理】源流思想 | 12 | 4 |
2 | 【倫理】日本思想 | 12 | 4 |
3 | 【倫理】西洋思想 | 12 | 4 |
4 | 【倫理】現代の諸課題と青年期 | 14 | 4 |
5 | 【政治・経済】政治・経済総合 | 19 | 6 |
6 | 【政治・経済】経済成長とグローバル化 | 19 | 6 |
7 | 【政治・経済】国際社会の諸課題 | 12 | 4 |
合計 | 100 | 32 |
2023年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 【倫理】源流思想 | 12 | 4 |
2 | 【倫理】日本思想 | 12 | 4 |
3 | 【倫理】西洋思想 | 12 | 4 |
4 | 【倫理】現代の諸課題と青年期 | 14 | 4 |
5 | 【政治・経済】政治・経済総合 | 19 | 6 |
6 | 【政治・経済】現代政治の諸課題 | 19 | 6 |
7 | 【政治・経済】SDGsの意義と課題 | 12 | 4 |
合計 | 100 | 32 |
設問別分析
第1問
「思想の流れ」をテーマとする会話文をもとに、ギリシア哲学、キリスト教、仏教、古代中国思想、イスラームなど、東西の源流思想から広く基本的な事項を中心に出題された。問1の神秘主義(つまり新プラトン主義)とキリスト教の神学、および「シーア派とスンナ派の分離」の背景についての記述は、受験生には判断が難しかっただろう。
第2問
「平和」をテーマとする会話文をもとに、日本の思想が幅広く取り上げられた。具体的には、古代日本人の思想、仏教、江戸時代の儒教などが出題された。問4は、資料の内容を読み取る問題であった。
第3問
「芸術の見方」をテーマとする会話文をもとに、近代の西洋思想を中心に出題された。具体的には、宗教改革の影響、カントやルソーの思想が取り上げられた。問2のカントの設問と問3のルソーの設問では、知識とともに、引用資料文の内容を的確に読み取る能力が試された。
第4問
「後悔」をテーマとする会話文をもとに、現代社会の諸課題・青年期の心理の分野から様々な事項が出題された。例年通り、会話文の内容を読み取る問題も出題された。問2(1)では、ハイデガーの思想について正確に理解できているかどうかが試された。
第5問
さまざまな団体・集団の働きに関連して,日本の雇用保険と労災保険,信教の自由と政教分離の原則,消費者団体訴訟制度,日本の会社の組織や責任,臓器移植法の改正などについて出題された。問1,問4,問6は,与えられた資料の内容を正確に読み取ることが求められている。
第6問
経済成長とグローバル化をテーマとして、GDP(国内総生産)や市場の失敗、比較優位、貿易による国内市場への影響などについて出題された。問5は、選択肢の数字を選んで、メモの内容が成り立つか否かを検討する問題、問6は、内外の条件変化にともなって起こる国内の需要曲線の変化を答える問題であり、いずれも論理的な思考力が試されている。
第7問
国際社会における日本の立場と役割をテーマとして、政治・経済の幅広い領域から出題された。問2は、図の読解力に加え人口問題のやや細かな知識が必要とされている。問3は、一帯一路構想やアジアインフラ投資銀行など、ここ数年の中国をめぐる事柄について、やや細かな知識が出題されている。
23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 |
60.6 | 69.7 | 69.3 | 66.5 | 64.2 |