世界史A [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
昨年同様、資料やグラフを用いて、考えさせる問題が多く出題。
昨年と同様、資料やグラフから読み取った情報と、世界史の知識とを組み合わせて解答する問題が多く出題された。従来通り、授業などを想定した先生と生徒による会話文が多く使用されている。 文献資料だけでなく、風刺画のような絵画を読み取らせる問題も出題された。
難易度
昨年並み
出題分量・出題傾向ともに昨年から大きな変化がなかった。
出題分量
大問数は昨年の4題に対して5題と1題増加したが、小問数は30問で、昨年と変化がなかった。ページ数も27ページから28ページで大きな変化はない。
出題傾向分析
出題傾向は昨年と変化はない。資料やグラフだけでなく、先生や生徒の発言の内容を読み取って、話題になっている内容や年代を判断して解答しなければならない。文章・資料に空欄をあけ、その空欄に入れるべき単語に関する4つの短文の正誤を判定させる問題は例年通り今年も出題された。近現代史を中心に出題されているが、今年は第4問で中世・近世をテーマとしており、前近代史からも一定の分量が出題された。地域・時代ともに教科書に沿って世界史Aの範囲がまんべんなく出題されていた。
2024年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 外国に滞在し、帰国後に社会の改革を志した人物 | 20 | 6 |
2 | 資料としての風刺画や教科書 | 20 | 6 |
3 | 人やモノの移動とそれに伴う産業の発展 | 20 | 6 |
4 | 政治と文化との関係 | 20 | 6 |
5 | 国際秩序の維持 | 20 | 6 |
合計 | 100 | 30 |
2023年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 歴史を調べるための手掛かりとなる史跡 | 20 | 6 |
2 | 近現代における国のあり方 | 30 | 9 |
3 | 旅先での経験 | 30 | 9 |
4 | 人やモノの移動 | 20 | 6 |
合計 | 100 | 30 |
設問別分析
第1問
問1.空欄イは、資料中の「後者の称号は、彼を王にしたのは人々である」など部分から「フランス人の王」が当てはまると判断する。問5.『藤野先生』が発表されたのは、「五・三〇事件が起こった年の翌年」とあるので、1920年代のこと。魯迅が藤野先生の授業を受けていた日本留学の時期と勘違いしないようにしたい。
第2問
問1〜3.「図1の怪物」すなわち「空欄ア」は第1次バルカン戦争の敗戦国であるオスマン帝国、「図1の4人の軍人」は第1次バルカン戦争の戦勝国であるセルビアなどバルカン同盟4国、「図2の中央の犬」は第2次バルカン戦争の敗戦国であるブルガリアである。問6.空欄イには、第三共和政が入る。フランスではすでに18世紀末のフランス革命中に徴兵制が行われたことを想起できれば、岡村さんのメモが誤りと判断できる。
第3問
問3.選択肢1〜3は、会話文の内容を根拠に正誤を判断する。選択肢3は、会話文中の「キルワ」がアフリカ東岸の都市であるという知識と組み合わせて判断する必要があり、やや難しい。問5.会話文中の「1910年代」「1920年代」から、第一次世界大戦と移民法の内容を判断することが可能であり、結果的にグラフ・表の読みとりは不要であった。
第4問
問2.空欄アにはレパントの海戦があてはまり、これに敗れた国はオスマン帝国である。本問の形式に類似した、オスマン帝国の歴史に関する正誤判定問題は、第2問でも出題された。問3.空欄ウには、会話文中のカール5世に関する「カトリックの盟主を自認するハプスブルク家の君主にとっては、プロテスタントは異端にほかならず、絵画1は異端に対する勝利を記念するもの」、子のフェリペ2世に関する「父親の偉業を顕彰するとともに、自分の偉業が父親のそれに匹敵することを示す」という部分から、Xがあてはまると判断する。問4.図1と会話文から、西夏文字が漢字を意識していることと、中国の人々に「対抗心」を持っていたことを読みとり、「対抗心」を選択肢の「民族的な自覚」に結びつける。
第5問
問5.アポロ11号の月面着陸成功が1960年代末であることを知っていれば、1970年代末の出来事として選択肢2を容易に選べるが、知らなくても、「その後も、1980年代半ば頃までは緊張関係が続いていた」という部分を手掛かりにすれば、空欄イは1980年代半ばより前の出来事が当てはまり、やはり選択肢2のみに絞ることができる。問6.あ.核拡散防止条約の調印は1960年代後半。「世界の核弾頭保有数はピークを迎えた」のは、グラフから1980年代半ば頃と読み取れる。い.中距離核戦力全廃条約の調印は1980年代後半。いずれの条約も調印のおおよその時期を知っておかなければ正解できない。消去法が使えない形式の問題なので、やや難しかったかもしれない。
23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 |
36.3 | 48.1 | 46.1 | 51.2 | 47.6 |