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日本史A [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

共通テストの特色である思考力・判断力を問う問題が引き続き出題された。

昨年に引き続き、全5問で高校生の「主体的な学び」を踏まえた場面設定がなされた。一方、高校生の会話形式を利用した出題は1題であり、昨年度の3題から減少した。
昨年同様、資料が多く用いられた。

難易度

昨年並み

史料・図版・統計の正確な読み取りを必要とする設問、年代配列や年代の前後関係を問う問題も多くみられたが、全体としては昨年並みとみられる。

出題分量

大問数は5題、小問数は32問で、昨年と同じだった。

出題傾向分析

第1問は、昨年と同じく会話文を用いた問題であった。日本史Bとの共通問題も昨年と同じく2題であった。
時代・分野とも、昨年からほぼ変化はなかった。
もっとも古い出題は幕末の開港・貿易に関する問題(第2問の問1)、もっとも新しい出題は高度経済成長期の社会に関する問題(第5問の問6・7)だった。

2024年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 近現代日本の娯楽からみる人々の生活 22 7
2 「明治はじめて物語」(洋服・銀行) 12 4
3 明治時代以降の教育と社会 22 7
4 第一次・第二次世界大戦後の日本と国際社会 22 7
5 近現代の日本経済 22 7
合計 100 32

2023年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 切手に見る日本近現代の諸相 22 7
2 幕末から明治にかけての日本 12 4
3 税が経済・社会に与えた影響 22 7
4 近現代の「旅」の歴史 22 7
5 太平洋戦争期の空襲とその経験を伝える動き 22 7
合計 100 32

設問別分析

第1問

娯楽をめぐる高校生と祖父との会話文を素材に、明治初期から戦後期における各時期の時代状況を幅広く扱う。問5は「サイパン全滅」、「近衛首相」、「沖縄の戦果」から各文章の時期を特定できねばならない。問6の選択肢4は、会話文の「古川ロッパの日記は、1934年から1960年までのものが残っているよ。」との文言を踏まえて誤りと判断したい。

第2問

日本史探究部の高校生が作成した発表原稿を素材に、幕末から明治時代を総合的に問うている。問1のイは、空欄の前にある永井荷風の文章をヒントに解答したい。問2のYは、1866年の改税約書によって関税率が引き下げられ輸入が増加したことを知らなくても、一般論として関税率が引き上げられると輸入には不利になる点から誤文と判断できる。問3の選択肢3・4は、史料から三井組・小野組による出資が第一国立銀行の前提となったこと、および金禄公債証書をもとに国立銀行が設立されたことを読み取って解答したい。<日本史Bの第5問と共通問題>

第3問

明治時代以降の教育と社会の関係をテーマとするレポートを素材に、明治期〜戦後の文化を中心に問うている。問2と問4は、表や史料の読み取りに加え、近代の教育についての知識が必要である。問5は、明治期の内閣について正確に理解できていたかどうかがカギとなる。問6は、IIとIIIがともに明治期であるため、判断に迷っただろう。

第4問

二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係に関する高校生の発表準備を素材に、近現代を総合的に問うている。問1は、Xについては、史料3の「主力艦」からワシントン海軍軍縮条約と判断したい。Yについては、「ワシントン会議で廃棄された条約」から日英同盟協約と石井・ランシング協定を想起した上で史料を吟味したい。問6の年代配列問題は、条約の内容に関する正確な知識が必要とされ、戸惑った受験生もいただろう。<日本史Bの第6問と共通問題>

第5問

近現代の日本経済に関して高校生が作成したメモを素材に、大正〜戦後の社会経済を中心に問うている。問1は、在華紡についての知識を前提に正解を導きたい。問3のイでは、田中角栄の「列島改造論」と、その経済への影響を想起したい。問5のYは、史料2の「戦後10年間」や「昭和31年」と1970年代初頭の「為替レートの切上げ」の時期が合致しないことから誤りと判断できる。

過去の平均点の推移

23年度 22年度 21年度 20年度 19年度
45.4 41.0 49.6 44.6 50.6