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化学 [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

質量分析法などの目新しい題材について、与えられた情報を読み取る力が重視された。

基本的な知識に関する問題から初見の内容まで、幅広く出題されている。

【ズバリ的中】<本試験>第4問 問4c⇒<河合塾教材>全統プレ共通テスト 化学 第4問 問4a

難易度

昨年並み

昨年に引き続き、問題文やグラフから必要な情報を読み取ったり、正しいグラフを判断したりする問題が多く出題された。

出題分量

大問数は、昨年と同じ5題であった。マーク数・小問数ともに昨年より1減ったが、図表やグラフが多いためにページ数は7増えた(26ページ→33ページ)。全体としての分量は昨年並みであった。

出題傾向分析

第1問は物質の構成、物質の状態、第2問は物質の変化で、いずれも理論分野からの出題であった。第3問は無機物質、物質の変化、第4問は有機化合物、高分子化合物からの出題であった。第5問は、質量分析法を題材とした問題であり、初見の内容に関する説明文やデータを読み取って判断する問題であった。なお、昨年みられたグラフを作成する問題は、出題されなかった。
市販の冷却剤、実用電池、医薬品、ドーピング検査など、日常生活や社会と関連する物質や事象を題材とした問題が多かった。また、アスタチン、ニッケルの製錬、質量分析法など、目新しい題材も目立った。与えられた文章や図・グラフから、情報を適切に読み取り、既習の原理・法則と組み合わせて判断する力が重視された。

2024年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 20 6 配位結合、気体の法則、コロイド、状態変化
2 物質の変化 20 6 化学反応と熱、化学平衡、電池、電離平衡
3 無機物質、物質の変化 20 8 無機物質、化学反応と量的関係、電気分解
4 有機化合物、高分子化合物 20 6 脂肪族化合物、高分子化合物、ペプチド、医薬品
5 物質の構成 20 5 質量分析法を題材とした問題
合計 100 31  

2023年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 20 8 化学結合、コロイド、気液平衡、結晶
2 物質の変化 20 7 化学反応と熱、電気分解、化学平衡、反応速度
3 無機物質、物質の変化 20 7 無機物質、化学反応と量的関係
4 有機化合物、高分子化合物 20 8 脂肪族化合物、芳香族化合物、高分子化合物、油脂
5 無機物質、物質の変化 20 5 無機物質、化学平衡、酸化還元、吸光光度法による濃度測定
合計 100 35  

設問別分析

第1問

配位結合、気体、コロイド、水の状態図、密度と温度変化、状態変化が出題された。
問1は、配位結合してできたイオンではないものを選択する問題で、錯イオンを含め配位結合に関する基本的な知識が問われた。
問2は、メタンの液体に対する気体の体積比を計算する問題で、液体の密度および気体の状態方程式を用いて求めればよい。
問3は、ろ過およびコロイドの透析に関する問題で、基本的な知識が問われた。
問4は、水の状態変化に関する問題で、aでは状態図、bでは氷と水の密度の温度変化のグラフから必要な情報を読み取る力が問われた。cは0℃の氷水中の氷の体積を計算する問題であった。

第2問

化学反応と熱、化学平衡、電池、電離平衡が出題された。
問1は、硝酸アンモニウムが水に溶解するときのエネルギー図を選択する問題であった。
問2は、化学平衡の移動に関する問題であった。正反応が吸熱反応であること、左辺と右辺の物質の係数の和が等しいことに着目すれば判断できる。
問3は、実用電池に関する問題であった。与えられた反応式から、反応物の物質量と電子の物質量の関係を判断する必要があり、やや難しい。
問4は、電離平衡に関する問題であった。aは、弱酸HAのモル濃度と電離度の関係を表したグラフを選択する問題であった。bは、HAの電離定数を求める問題であり、HAとAの濃度をグラフから読み取ると算出できる。cは、水酸化ナトリウム水溶液の滴下による分子やイオンの正誤問題であった。滴下量が10mLで中和が完了していることを判断すると正答に至る。

第3問

無機物質に関する大問で、化学物質の取扱い、ハロゲンの性質、ステンレス鋼とトタンの構成元素、ニッケルの製錬を題材とした問題が出題された。
問1は、化学物質の取扱いに関する正誤問題であった。
問2は、アスタチンの単体や化合物の性質に関する正誤問題で、他のハロゲンの単体や化合物の性質から推定する内容であった。
問3は、ステンレス鋼とトタンに用いられている金属元素が問われた。
問4は、ニッケルの製錬を題材にした内容で、aは、反応式中の原子の酸化還元を判断する問題であった。bは、2段階の反応における化学反応の量的関係に関する問題で、物質の回収・再利用を手際よく考えられたかがポイントであった。cは、電気分解に関する計算問題で、陰極で析出したニッケルと発生した水素の物質量の和が、陽極で発生した塩素の物質量に等しいことに気づきたい。

第4問

有機化合物に関する大問で、天然有機化合物および合成高分子化合物を含めて出題された。
問1は、エチレンの酸化生成物を選択する問題、問2は、高分子化合物に関する正誤問題であった。
問3は、与えられたトリペプチドについて、特有の変化を示す検出反応をすべて選択する問題で、三つの検出反応のすべてが該当した。
問4は、医薬品に関する問題であった。aは、サリシンやサリチル酸に関する正誤問題であった。bは、分子内脱水反応によりβ-ラクタム環ができる化合物を選択する問題であり、β-ラクタム環がアミド結合を含む四員環構造であることに着目すればよい。cは、p-アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)をトルエンから合成する経路における中間生成物の構造を考える問題であった。与えられた試薬の情報から各段階で起こる反応を判断すればよい。

第5問

質量分析法に関する問題であった。
問1は、尿中に含まれるテストステロンの質量と信号強度に関するグラフを読み取り、尿中に含まれるテストステロンの質量を算出する問題であった。
問2は、試料中に含まれる銀の物質量を求める問題で、銀の同位体の存在比をもとに考える内容であった。実験の途中で試料水溶液を取り分けていることに注意したい。
問3は、質量スペクトルに関する問題で、問題文やグラフの例から概要をつかみ、取り組む必要があった。aは、クロロメタンの質量スペクトルを選択する問題で、塩素の同位体の存在比に着目すればよい。bは、分子量がほぼ同じである一酸化炭素、エチレン、窒素の質量スペクトルを原子の相対質量をもとに判断する問題であった。cは、メチルビニルケトンの切断箇所の情報から質量スペクトルを判断する問題で、断片イオンの相対質量と質量スペクトルを適切に結びつけられたかがポイントであった。

過去の平均点の推移

23年度 22年度 21年度 20年度 19年度
54.0 47.6 57.6 54.8 54.7