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物理 [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

昨年同様、実験および実験を模した問題が多かった。

第2問はペットボトルロケットに関する探究の問題で、問題文から状況の把握をすることが難しかった。第3問、第4問は実験をテーマにしており、見慣れない実験データやグラフを、正しく処理する力が要求された。

難易度

昨年並み

見慣れない問題、実験をテーマにした問題が昨年同様に出題された。文字計算と数値計算の分量、また、組合せ問題の数も昨年と同程度であった。取り組みやすい問題の量もほぼ変わらなかった。

出題分量

マーク数は4つ減ったが、設問数は変化なし。組合せ問題は7個で昨年と同じ。分量は昨年並み。

出題傾向分析

大問構成は小問集合、力学、波動、電磁気の4題。第2問の力学は熱力学の内容も含まれ、第3問の波動は一部電磁気の内容が含まれた。原子は小問集合で出題された。第2問はペットボトルロケットを題材にした探究の問題で、第3問、第4問が実験をテーマにしている問題であった。会話文形式の問題、数値を直接マークする形式の問題は出題されなかった。

2024年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 小問集合 25 6 各分野の基本問題
2 力学 25 6 ペットボトルロケット
3 波動 25 5 弦の固有振動
4 電磁気 25 5 電場と電位
合計 100 22  

2023年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 小問集合 25 7 各分野の基本問題
2 力学 25 8 空気抵抗を考慮した落体の運動
3 波動 25 5 円運動によるドップラー効果
4 電磁気 25 6 コンデンサーの電気容量測定実験
合計 100 26  

設問別分析

第1問

さまざまな分野からの小問集合。問1は、直角二等辺三角形の板のつり合いの問題。加える力を大きくしていくと、板がどこを支点として回転し始めるかに注目する。問2は、単原子分子理想気体とみなせる原子核1個あたりの運動エネルギーの平均値を問う問題。原子核の種類によらず、運動エネルギーは温度に比例することがポイントである。問3は、光が水からガラス、空気の層に向けて進むとき、どの境界面で全反射するかと、そのときの臨界角の正弦を求める組合せ問題。問4は、一様な磁場中の荷電粒子の運動から磁場の方向を求める問題。問5は、原子核反応において原子核の全質量の増減から核エネルギーが放出されるかどうかと、半減期に関する組合せ問題。

第2問

ペットボトルロケットに関する探究の問題。ペットボトルロケットから噴出する水の速さ、ペットボトル内の水面が下降する速さ、ペットボトルロケット内の圧縮空気がする仕事、ペットボトルロケットが受ける力の大きさ、ペットボトルロケットが打ち上がる速さ、これらの間に成り立つ関係式を問1〜問5で求める問題である。微小時間を考え、その間に成立する仕事と運動エネルギーの関係や力積と運動量の関係を用いることによって解答が得られる。このような微小時間での変化を扱う手法は教科書の例題や標準的な入試問題集にはほとんど掲載されておらず、多くの受験生が戸惑ったと思われる。

第3問

弦の共振に関する実験問題。金属線に流れる電流が中央部に置かれた磁石から力を受けるため、弦に定在波が生じる。問1は、このことから中央部に腹が生じる。問3、問4、問5は、実験データがグラフや表に表示されており、それらを読み取って、弦に伝わる横波の速さ、引く力の大きさ、線密度の間の関係式を推定する問題である。速さの公式を覚えている受験生にとっては、そこから選択肢を選ぶことも可能であったであろう。

第4問

電場と電位についての問題。問1は、大きさが同じで符号が逆の二つの点電荷が作る電位について、教科書にも載っている等電位線の模式図を選択する問題である。問2は、等電位線と電気力線についての基本的な知識の問題である。問3以降は、電流が流れている導体紙上の電位を測定するという実験に基づいた問題であり、多くの受験生にとって初めて見た問題であっただろう。問3は、等電位線は導体紙の辺に垂直になっていることから、辺の近くでは電場の向きは辺に平行であり、その向きに電流が流れることを見抜く。問4は、図3のグラフの傾きから電場の大きさを求めればよい。問5は、複数の関係式を用いる必要があるため難しい。

過去の平均点の推移

23年度 22年度 21年度 20年度 19年度
63.4 60.7 62.4 60.7 56.9