物理基礎 [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
会話形式の出題や、データの解析を含む実験考察問題が復活した。
昨年は、それまで出題されていた会話形式の問題や、本格的なデータ解析の問題が出題されなかったが、今年はそれらが出題され、2年前までの形式に戻った。また、文章量や組合せ問題の数が増え、考察に時間がかかる出題が増えた。
難易度
昨年並み
実験・観察を題材としながら、基本法則や定義、数式に基づいて、やや深い考察を必要とする問題が増えたが、全体として難易度は昨年並み。
出題分量
大問数は3題で変わらず、設問数は2問増加し、マーク数は1増加した。
出題傾向分析
大問は、小問集合、力学の問題、波動の問題の、3題構成。
第1問の小問集合は、力学1問、熱1問、電気1問、エネルギーの利用1問で、いずれも基本事項の理解とその運用を問う問題。
第2問は、浮力に関して様々な考察をする会話形式の問題で、二つのグラフのデータを利用して考察したり、力のつり合いの式を考えるなど、幅広く思考力を問う問題といえる。
第3問は、異なる三つの実験で音速の測定を行う問題で、実験の誤差の原因の考察や、1設問のなかでいくつかの手順を踏む必要のある問題があった。
実験・観察を題材として、状況を把握する力や、基本事項の理解とその応用力が試される。
2024年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 16 | 4 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 18 | 5 | 浮力に関する探究活動 |
3 | 波動 | 16 | 8 | 3つの異なる方法での音速の測定 |
合計 | 50 | 17 |
2023年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 16 | 4 | 力学・熱・波の基本問題 |
2 | 力学 | 18 | 6 | 落体の運動 |
3 | エネルギーとその利用 | 16 | 6 | 発電と送電 |
合計 | 50 | 16 |
設問別分析
第1問
熱、力学、電気、エネルギー変換からの小問集合。基本法則・基本知識から正解を得ることができる。
問1は、熱量の保存の典型問題で数値計算。
問2は、仕事と力学的エネルギーの関係についての文字式選択問題。
問3は、電流の大きさの定義の確認問題。1Aが1C/sであることを用いる数値計算問題。
問4は、白熱電球およびLED電球の光エネルギーへの変換効率についての数値の組合せ問題。
第2問
ジャガイモを用いた探究活動を通して、浮力について考察する問題。
問1は、浮力に関する知識問題。浮力がはたらく物体の体積を、与えられた密度と質量から表すことに気づく必要がある。
問2は、水中で静止しているジャガイモにはたらく力のつり合いと、実験データを用いて浮力の大きさを求める問題。
問3は、実験で得られたデータを正しくグラフ化したものを選ぶ問題。実験データをいくつかプロットして、それらを通る形のグラフを選べばよい。
問4は、物体の形状と浮力の大きさの関係についての問題。図3の直線的な変化から、物体が水に沈んでいく間、沈んだ深さに比例して浮力が大きくなっていくことがわかれば、高さと体積が比例する円柱が正答と選べる。
問5は、計量カップの底で静止しているジャガイモにはたらく力を考察する問題。張力ははたらいていないことに注意する。
第3問
三つの異なる方法で音速を測定する問題。
問1は、気温が高いと音速が大きくなるという関係と、波の基本式を確認する問題。
問2、3は、ストップウォッチで音速を測定し、その誤差の原因を考える問題。測定値が本来の値より小さいことから、ストップウォッチの操作にどのような原因があるかを考える。測定時間が長くなる可能性のある操作の組み合わせを選ぶ問題だが、題意の把握が難しい。
問4は、二つの電子式メトロノームを用いて、音速を測定する問題。題意を理解し、複数のステップで求めていくため、やや難しい。音の周期を求めることがポイント。
問5は、気柱の共鳴実験から音速を求める問題。内容は典型的。
問6は、これまでの計算から音速が約340m/sであることがわかるので、それを用いて超音波の波長を求める計算問題。音速が約340m/sであることは、覚えている受験生も多いであろう。
23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 |
28.2 | 30.4 | 37.6 | 33.3 | 30.6 |