数学I・数学A [分析] 2024年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
誘導がついた問題を解かせたあとで、設定を変えたものを考えさせる問題が多く出題された。
昨年までは場合の数と確率の分野で誘導がついた問題を解かせたあとで、設定を変えたものを考えさせる問題がよく出題されていた。今年は同様の形式の問題が全7分野のうち、図形と計量、場合の数と確率、整数の性質、図形の性質の4分野で出題された。
難易度
昨年並み
誘導が丁寧で解きやすい問題も多かったが、一方で、自分で変数を設定して考える問題や、それまでの考え方を応用させる問題など思考力を要する問題もあり、全体的な難易度に大きな変化はなかったと思われる。
出題分量
昨年と比べると、文章量はやや増えたが計算量がやや減少したため、全体的に解答にかかる時間に大きな変化はなかったと思われる。
出題傾向分析
今年は例年に比べて、全体的に誘導が丁寧につけられている問題が多く出題された。 また、昨年に続いて集合と命題の分野からの出題はなかった。 共通テストになってから毎年出題されている日常の事象を題材とした問題として、今年は電柱の高さと影の長さの測量の問題が出題された。 さらに、近年出題の増えている分野をまたいだ融合問題として、2次関数と図形の融合問題も出題された。
2024年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式 | 30 | 整数部分・小数部分 |
[2]図形と計量 | 測量、三角比の定義、三角比の表 | ||
2 | [1]2次関数 | 30 | 点の移動、三角形の面積の最大・最小 |
[2]データの分析 | ヒストグラム、箱ひげ図、変量の変換、散布図 | ||
3 | 場合の数と確率 | 20 | カードの取り出しに関する確率 |
4 | 整数の性質 | 20 | n進数、最小公倍数、1次不定方程式 |
5 | 図形の性質 | 20 | メネラウスの定理、方べきの定理 |
合計 | 100 |
2023年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式 | 30 | 絶対値を含む不等式 |
[2]図形と計量 | 円に内接する三角形の面積、球に内接する三角錐(さんかくすい)の体積 | ||
2 | [1]データの分析 | 30 | ヒストグラム、箱ひげ図、相関係数 |
[2]2次関数 | バスケットボールの軌道、シュートの高さ | ||
3 | 場合の数と確率 | 20 | 球のつなぎ方に対する色の塗り方の数 |
4 | 整数の性質 | 20 | 長方形の並べ方、最大公約数、最小公倍数 |
5 | 図形の性質 | 20 | 作図と証明 |
合計 | 100 |
設問別分析
第1問
[1]無理数の整数部分・小数部分に関する問題であった。小数第2位の数字まで問われていることは目新しい。誘導を読み取り指定された作業をしていけば答えが求められるため、誘導を正しく読み取り方針を捉えられたかで差がついたであろう。<数学Iの第1問[1]と共通問題>
[2]電柱の高さ、影の長さを測量する問題であった。直角三角形に対して三角比の定義や三角比の表を適切に利用できるかを問う設問が多く、正弦定理や余弦定理を利用する設問は出題されなかった。最後の設問は誘導がなくなり、それまでの考え方を応用することができるかを問われていた。<数学Iの第2問[2]と共通問題>
第2問
[1]2次関数と図形の融合問題であり、座標平面上を動く点に伴って変化する三角形の面積を考察する問題であった。2点P、Qの座標が与えられていないため、点の動き方と時刻に合わせて座標を正しく表せるかがポイントである。<数学Iの第3問[2]と共通問題>
[2]長距離競技の公認記録に関する問題であった。ヒストグラム、箱ひげ図、散布図の読み取りが中心で、情報量は多いが、この分野の基本的な知識が身についていれば取り組みやすかったと思われる。<数学Iの第4問と一部共通問題>
第3問
箱の中のカードの取り出しに関する確率の問題であった。(1)はA、Bが書かれた2枚のカード、(2)はA、B、Cが書かれた3枚のカード、(3)はA、B、C、Dが書かれた4枚のカードの取り出しに関する設問であった。(1)、(2)は文章量が多いが、そのほとんどは問題の解き方を説明しているものであり、丁寧な誘導で解きやすかった。一方で(3)では誘導が少なくなり 、(1)、(2)の考え方を応用することができるかを問われていた。
第4問
3進数、4進数、6進数を表示するタイマーに関する問題で、見かけない設定で戸惑った受験生も多かったと思われる。問題文には「最小公倍数」や「1次不定方程式」の用語は現れないが、(2)で最小公倍数、(3)で1次不定方程式を考える必要がある。これらのことに気づいて方針を立てられたかがポイントである。また、(3)の最後ではそれまでの考え方を応用できるかが問われており、やや難しい。
第5問
星形の図形に関する問題で、(1)ではメネラウスの定理を用いて線分の長さの比を求める問題、(2)では方べきの定理を用いて三角形の外接円と点の位置関係を考察する問題が出題された。あまり見かけない図形が与えられたため、初見で戸惑った受験生が多かったと思われるが、(1)、(2)ともに誘導が丁寧であり、方針が捉えられれば解きやすかった。
23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 |
55.7 | 38.0 | 57.7 | 51.9 | 59.7 |