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倫理 [分析] 2023年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

大問数、小問数、出題傾向、形式は昨年と同様であり、読解力や標準的な知識を問うものが多かった。

会話文と資料を組み合わせた出題が多い。全体の分量が昨年に比べてやや増加しており(実質的に2ページ分ほど)、迅速な読解力が求められた。
【ズバリ的中】<本試験>第2問 問4⇒<河合塾教材>第2回全統共通テスト模試 第2問 問1

難易度

やや難化

問われる知識の内容は昨年同様に標準的なものであったが、原典資料の数、選択肢の行数がともに若干増加したため、より迅速で正確な読み取りが必要となり、やや難化したと考えられる。

出題分量

大問数は4問、マーク数は33でいずれも昨年と同じである。統計資料を用いた読み取りも昨年と同様、1問出題された。図画を用いた問題は無くなったが、原典資料の数は12と昨年の8から増加し、選択肢の行数の合計も昨年より10行ほど増加した。

出題傾向分析

大問ごとの出題分野については昨年と同様に、第1問が源流思想、第2問が日本思想、第3問が西洋近現代思想、第4問が現代の諸課題・青年期と心理からの出題となった。各大問では、昨年と同様、生徒の主体的な学びを重視する実践的な場面が設定された。標準的な知識の習得と同時に正確な読解力を要求するものとなっている。

2023年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 源流思想 24 8
2 日本思想 24 8
3 西洋近現代思想 24 8
4 現代の諸課題・青年期と心理 28 9
合計 100 33

2022年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 源流思想 24 8
2 日本思想 24 8
3 西洋思想 24 8
4 現代の諸課題・青年期と心理 28 9
合計 100 33

設問別分析

第1問

「正義について」というテーマのもとに、ギリシア哲学、キリスト教、仏教、古代中国思想、イスラームなど、東西の源流思想から広く基本的な事項が出題された。問1のバラモン教の身分制度とヒンドゥー教の関係について書かれた選択肢については、教科書に詳しい記載が無いため判断に苦しんだ受験生も少なくなかっただろう。問5は仏教とキリスト教に関する基本的な設問となっているが、選択肢が9択であるため判断が難しいだろう。

第2問

「問い」をテーマとする会話文をもとに、古代から現代に至る日本の思想が幅広く取り上げられた。具体的には、『古事記』などに見られる古代日本の神話、最澄、一遍、伊藤仁斎、吉田松陰、森有礼、西村茂樹、西田幾多郎などの思想が出題された。問2は日本の神話に関するやや細かい知識が問われたため、難問であった。また、西田幾多郎の哲学の内容を問う問7では、「絶対矛盾的自己同一」など、難解な概念が取り上げられた。

第3問

「自由」をテーマとする高校生の会話文をもとに、ルネサンス期から現代までの西洋思想から幅広く出題された。具体的には、マキャヴェリ、ベンサム、パスカル、ロック、カント、レヴィナスなどの思想が取り上げられたが、標準的な知識に加えて、会話文や資料文の正確な読解力が求められる設問が多くを占めた。なお、問1は、ルネサンス期の作品である「ダヴィデ」や『デカメロン』の作者についての知識が要求されるが、学習が手薄になりがちなところだけに、とまどった受験生も多かったと思われる。

第4問

「運」と「格差」をテーマとする高校生の会話文をもとに、現代社会の諸課題と青年期の心理の分野から様々な事項が出題された。例年通り、統計資料の読み取り問題も出題された。ディンクス、ホリングワース、センの思想についての設問は、標準的な知識で対応できる。自我の目覚めについてのシュプランガーの思想、現代の消費についてのボードリヤールの思想は、やや発展的な事項であり、判断に苦しんだ受験生が少なくなかっただろう。ロールズの思想を取りあげた問6は、資料の読解に加えて「正義の二原理」についての十分な理解も求められる。会話文の趣旨を踏まえた問9の空欄補充の問題は、空欄が4つ設けられており、正答するには正確な読解が必要となる。

過去の平均点の推移

22年度 21年度 20年度 19年度 18年度
63.3 72.0 65.4 62.3 67.8