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日本史B [分析] 2023年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

昨年に引き続き、歴史事象を多面的・多角的に考察させる問題が多く出題された。

第3問では中世の経済活動に関する模式図を用いた新傾向の出題が、第6問では近現代の世界の動向と日本とを関連づけることを意識した出題がみられた。

難易度

易化

昨年と同様に多様な資料を用いた出題がなされ、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢が継続していたが、増加した資料(史料・統計など)の読解問題は近現代部分においては比較的取り組みやすく、正誤問題も総じて誤りが明確な問題が多かったため、全体としては易化したと考えられる。

出題分量

大問数・小問数は昨年と同じであった。

出題傾向分析

大問の構成では、第2問を除いて高校生の会話や学習・探究が素材とされ、昨年に引き続き、高校生の「主体的な学び」を踏まえた場面設定がなされている。個々の設問では、史料・図版・地図・統計など多様な資料を用いた出題がみられたが、教科書などで扱われていない初見の資料であっても、そこから得られる情報と授業などで学んだ知識を関連づけることで正解できる問題となっている。全体としては、受験生の歴史事象に対する理解の質や「思考力・判断力」を幅広く問う配慮がなされている。出題分野では、政治・文化からの出題がやや増加し、外交からの出題がやや減少した。時代では、昨年出題されなかった原始が出題される一方、昨年3題出題された戦後が2題に減少し、高度成長終焉後も扱われなかった。

2023年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 地図から考える日本の歴史 18 6
2 古代の陰陽道の歴史 16 5
3 中世の京都 16 5
4 江戸時代における人々の結びつき 16 5
5 幕末から明治にかけての日本 12 4
6 近現代の「旅」の歴史 22 7
合計 100 32

2022年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 人名から見た日本の歴史 18 6
2 古代の法整備の歴史と遣隋使・遣唐使 16 5
3 中世の海と人々との関わりの歴史 16 5
4 近世の身分と社会 16 5
5 日本とハワイとの関係史 12 4
6 日本における鉄道の歴史とその役割 22 7
合計 100 32

設問別分析

第1問

「地図から考える日本の歴史」に関する高校生の会話文を素材に、古代から近代までを総合的に問うている。問1の史料読解問題は、史料の内容が難しいが、選択肢の内容を吟味して正答に至りたい。問3では地図と「先生の説明」、問6では史料や会話文の内容などを参照しなければ正答できず、いずれも「思考力・判断力」が必要とされる問題である。

第2問

古代の陰陽道の歴史に関する文章を素材に、古代の政治・文化を中心に問うている。問3の年代配列問題は、抽象的な文章から具体的な人名・事件名を想起して解答させる共通テスト特有の出題形式であり、苦戦したかもしれない。問5は、第2問全体のまとめとなる設問であり、「文章A・Bや史料1・2を踏まえて」解答する必要があり、手間取っただろう。

第3問

中世の京都について調べている高校生の会話文を素材に、中世の経済・文化を中心に問うている。問1のXは、会話文の「ものすごい量の銭の入った容器」から判断したい。問3のcは、撰銭令で永楽通宝の使用が命じられているということは、その前提として永楽通宝が撰銭の対象として忌避されていることを示していると考え、誤りと判断したい。問5は、中世の財貨の動きに関する模式図を用いた新傾向の問題であるが、中世の社会経済に関する基本知識があれば正解は可能である。

第4問

江戸時代における人々の結びつきに関する高校生の会話文を素材に、近世を総合的に問うている。問2の年代配列問題は、Uが17世紀後半、Vが田沼時代(18世紀後半)と判断できれば正解できるが、難しい。問3・問4では、図版・解説・史料の慎重な読解が求められた。

第5問

幕末から明治にかけての日本に関する会話文を素材に、明治時代を総合的に問うている。問3のYは、史料が1884年(明治中期)のものであること、および国定教科書制の導入が1903年(明治後期)であることから、誤りと判断できる。問4は、3人の発言の当否を判断するという従来みられなかった出題形式であるが、「生涯の設定」や会話文の内容を慎重に検討することで対応できる。

第6問

近現代の「旅」の歴史に関する高校生の調べ学習を素材に、近現代を総合的に問うている。問2のXでは、上海の開港が安政の五か国条約の締結よりも前かどうかの判断が求められており、苦戦しただろう。問4・問6は、表や史料・「見出し一覧」の内容を慎重に読解して解答する必要があり、残された解答時間の中で冷静に対応できたかどうかがカギとなる。なお、問6の文aの「3年未満」には、表2中の「3年未満」「2年未満」「1年未満」が含まれると考えて解答したい。

過去の平均点の推移

22年度 21年度 20年度 19年度 18年度
52.8 64.3 65.5 63.5 62.2