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日本史A [分析] 2023年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

共通テストの特色である思考力・判断力を問う問題が引き続き出題された。

全5題中、3題が会話形式の問題だった。
昨年同様、資料が多く用いられた。

難易度

昨年並み

史料・図版・統計の正確な読み取りを必要とする設問、年代配列や年代の前後関係を問う問題も多くみられたが、全体としては昨年並み。

出題分量

大問数は5題、マーク数は32で、昨年と同じだった。

出題傾向分析

第1問は、昨年と同じく会話文を用いた問題であった。日本史Bとの共通問題も昨年と同じく2題であった。
時代では、明治時代・戦後が増加し、大正から昭和戦前が減少した。
分野では、政治が微増、社会経済が微減した。
もっとも古い事項は安政の五か国条約(第4問の問2)、もっとも新しい事項はロッキード事件(第5問の問5)であった。

2023年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 切手に見る日本近現代の諸相 22 7
2 幕末から明治にかけての日本 12 4
3 税が経済・社会に与えた影響 22 7
4 近現代の「旅」の歴史 22 7
5 太平洋戦争期の空襲とその経験を伝える動き 22 7
合計 100 32

2022年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 明治時代〜昭和戦後の諸相 22 7
2 日本とハワイとの関係史 12 4
3 明治後期から昭和初期にかけての社会と生活 22 7
4 日本における鉄道の歴史とその役割 22 7
5 昭和期の政党政治と社会 22 7
合計 100 32

設問別分析

第1問

切手の図柄とそれをめぐる高校生の会話文をもとに、明治初期から戦時期における各時期の時代状況を幅広く扱う。問3は会話文中の「関東大震災が発生」、問7は図版の「教育勅語渙発」「南京陥落」との文言に注目して時期を特定しなければならない。問5は共通テストに特徴的な年代配列問題のタイプで、歴史用語によらず各文の年代を特定できなければならない。

第2問

幕末から明治にかけての日本に関する会話文を素材に、明治時代を総合的に問うている。問3のYは、史料が1884年(明治中期)のものであること、および国定教科書制の導入が1903年(明治後期)であることから、誤りと判断できる。問4は、3人の発言の当否を判断するという従来みられなかった出題形式であるが、「生涯の設定」や会話文の内容を慎重に検討することで対応できる。<日本史Bの第5問と共通問題>

第3問

明治〜大正時代の国税収入額に関する統計表とそれをめぐる会話文をもとに、当該期の政治・社会経済を中心に扱う。問1は表の読み取りと政治の知識、問5も史料の読み取りと政治・文化の知識を融合しなければならず、苦戦しただろう。問2は米価変動と政府の収入の関係を考えさせる問題である。

第4問

近現代の「旅」の歴史に関する高校生の調べ学習を素材に、近現代を総合的に問うている。問2のXでは、上海の開港が安政の五か国条約の締結よりも前かどうかの判断が求められており、苦戦しただろう。問4・問6は、表や史料・「見出し一覧」の内容を慎重に読解して解答する必要があり、残された解答時間の中で冷静に対応できたかどうかがカギとなる。なお、問6の文aの「3年未満」には、表2中の「3年未満」「2年未満」「1年未満」が含まれると考えて解答したい。<日本史Bの第6問と共通問題>

第5問

アジア太平洋戦争期の空襲とその経験を後世に伝える動きについて、「伝単」・「慰霊・追悼モニュメント」・資料集刊行などを取り上げ、戦時期・戦後の諸相を問うている。近現代の歴史的事象と現在との結び付きを考える活動を意識した問題と言える。とくに、問7は資料集の構成の表を用いた、主体的探究を意識した設問。問2では広島原爆投下の日付、問4はビキニ環礁での水爆実験などの時期が問われている。なお、問2は、dが明らかな誤文なので選択肢の組合せ上cは正文とされていると思われるが、教科書によって記述が異なり、疑問がのこる。

過去の平均点の推移

22年度 21年度 20年度 19年度 18年度
41.0 49.6 44.6 50.6 46.2