物理 [分析] 2023年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
実験結果を定量的に考察させる問題が増え、題意の把握力とデータの分析力、さらに計算力も問われた。
第2問と第4問の実験をテーマにした問題では、問題文や選択肢の把握が難しかった。さらに、実験データの利用とその数値計算が要求された。また、組合せ問題が多く、実質の分量は増加した。昨年なかった会話文形式の問題が復活した。
【ズバリ的中】<本試験>第1問 問5⇒<河合塾教材>II期 高3 物理THS 例題28(5)
難易度
やや易化
問題文の内容と誘導を十分に理解しないと、物理法則の運用にたどり着けない問題が増え、さらにデータの分析力を必要とする数値計算の問題も増加したが、計算により確実に正解が選択できる問題が増加した。
出題分量
マーク数は1つ増えたが、設問数は変化なし。組合せ問題は7個で、昨年の2個より5個増えたため、実質的な問題量は増えた。
出題傾向分析
大問構成は小問集合、力学、波動、電磁気の4題。熱と原子の分野は、小問集合のみで、大問としての出題はなかった。大問中の2問が実験をテーマにしている問題であった。
2023年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 25 | 7 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 25 | 8 | 空気抵抗を考慮した落体の運動 |
3 | 波動 | 25 | 5 | 円運動によるドップラー効果 |
4 | 電磁気 | 25 | 6 | コンデンサーの電気容量測定実験 |
合計 | 100 | 26 |
2022年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 25 | 6 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 30 | 7 | 運動の法則、運動量と力積 |
3 | 電磁気 | 25 | 8 | 電磁誘導、電流と磁場 |
4 | 原子 | 20 | 4 | 原子の構造、エネルギー準位 |
合計 | 100 | 25 |
設問別分析
第1問
さまざまな分野からの小問集合。問1は、力のモーメントのつり合いの式を立てるより、二つの体重計の表示が人と体重計との距離の逆比になることに気づくと解きやすい。問2は、熱サイクルにおける仕事の総和の符号は、A→B で気体がした仕事より C→A で気体がされた仕事の方が大きいことをグラフの面積から判断する。問3は、ブロックとそりの間にはたらく動摩擦力と岸からそりが受ける力の扱いがポイントになる。問4は、ローレンツ力による荷電粒子の等速円運動の問題である。問5は、光電効果の典型的な基本問題である。
第2問
空気中を落下運動する物体が受ける抵抗力に関して、仮説を立てながら実験に基づいて考察する問題。問2までの会話文で与えられているように抵抗力が速さに比例すると仮定するならば、終端速度はアルミカップの枚数に比例するはずである。ところが実験結果はそのようになっておらず、問3ではこれを根拠として生徒がはじめに立てた予想が誤りであったと判断する。問4は、抵抗力が速さの2乗に比例すると仮定した場合、この仮定が正しいと示すためにグラフをどのように描くべきかが問われている。普段の課題探究の学習が役に立つだろう。問5のエでは、(a)の「すべての点のできるだけ近くを通る一本の直線」という表現を正しく捉えなければならない。
第3問
音源および観測者が等速円運動をする場合の、斜めドップラー効果の問題。標準的な入試問題集にも載っている題材であり高得点が望める。 問1では、等速円運動の力学的な基本が問われている。問2、問3では、音源が等速円運動する場合について、観測者が測定する音の振動数について問われている。問4では、音源と観測者を入れ替えて、測定される音の振動数について問われている。問5は、音源が等速円運動している場合と観測者が等速円運動している場合の音の速さや音波の波長について問われている。
第4問
コンデンサーの電気容量を測定する実験についての問題。物理の授業での学習の過程を意識した問題であった。問1はコンデンサーについての基本事項の問題である。問2では、スイッチを開いた直後の電圧が 5.0V であることを見抜き、電流が 100mA であることをグラフから読み取る。問3では、誘導にしたがって解いていけばよいが、放電された電気量がはじめに蓄えられていた電気量に等しいことを用いる。問4は、原子分野の半減期と同様な考えをすればよい。問5は、最初の方法で計算した電気量が、実際よりも小さいことを踏まえる。
22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 |
60.7 | 62.4 | 60.7 | 56.9 | 62.4 |