物理基礎 [分析] 2023年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
会話文や分野融合問題の出題はなくなり、共通テストにおける特徴的な設問が大幅に減った。
昨年よりマーク数は1減少。また、会話文などの共通テストにおける特徴的な出題が減少した。第1問の小問集合は力学から2題の出題。第2問は落体の運動に関する標準問題。第3問は再生可能エネルギーと電力輸送について今日的題材を含む設問であった。
【ズバリ的中】<本試験>第3問 問4⇒<河合塾教材>完成シリーズ 物理基礎演習(共通テスト対応) 第8回 24
難易度
やや難化
共通テストに特徴的な、会話文などの文章が多い問題は、ヒントを多く含んでいる場合が多く、知識が足りない・不確かな場合でも正答が得られることがある。今回は、そういった設問が減り、確かな知識・理解を問われるセンター試験型の設問が増加したため、やや難化した。
出題分量
大問数は3で変わらず、設問数は2増加し、マーク数は1減少した。
出題傾向分析
大問は、小問集合、力学の問題、電気とエネルギーの問題の、3題構成。第1問の小問集合は、力学が2問、熱(気体)が1問、波が1問で、基本事項の理解を問う問題。第2問の力学は、数値データを扱う設問が1問あったが、センター試験でも見られたようなオーソドックスな出題。第3問は、風力発電と送電を題材にした問題で、語句を入れる知識問題と、電力量の計算や変圧器の公式を用いる計算の問題が含まれていた。昨年までのような、学んだ内容の理解と運用を試す新傾向問題はほとんどなくなり、センター試験のような学んだ内容を単純に問う出題となった。
2023年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 16 | 4 | 力学・熱・波の基本問題 |
2 | 力学 | 18 | 6 | 落体の運動 |
3 | エネルギーとその利用 | 16 | 6 | 発電と送電 |
合計 | 50 | 16 |
2022年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 16 | 4 | 力学・波の基本問題 |
2 | 電気とエネルギー | 16 | 5 | A 電熱線による水の温度上昇の実験 |
B 電力と電力量 | ||||
3 | 熱・力学・電気 | 18 | 8 | スプーンが純金製か否かを判定する3通りの実験による考察 |
合計 | 50 | 17 |
設問別分析
第1問
力学、熱、波分野からの小問集合。基本法則・基本知識から正解を得ることができる。
問1は、運動法則の基本問題。
問2は、弾性力による位置エネルギーに関する設問。問題文の記述をしっかり読み、二つのばねのばね定数が異なることに注意したい。
問3は、気体の状態変化における熱力学第一法則が問われているが、気体がピストンにした仕事が定義されていることがポイントになる。
問4は、おんさを用いたギターの弦の調律に関する設問で、弦には4倍音を発生させていることを丁寧に考えていけばよい。
第2問
小球の落体運動に関する問題。
問1は、水平に投射された小球の撮影写真から、時刻0.3sにおける位置の測定値を読む問題。
問2は、鉛直方向の速さと時刻の関係を表すグラフ(v−t図)を選択する頻出問題。
問3は、初速を変えた三つの小球の水平投射による実験で、同じ高さから床に到達するまでの時間の比較と、床に到達するときの速さを力学的エネルギーで考察する問題。
問4は、自由落下した小球Aと、ある初速で鉛直に投げ上げた小球Bが同時に床に到達したことから、Bの初速を公式から求める問題。
問5は、床に到達する時点でのAとBの運動エネルギーの大小を判断する空欄補充の組合せ問題。
いずれも標準的な内容で、教科書に沿った出題であり、解きやすい。
第3問
風力発電についての探究活動を通して、発電と送電に関して考察する問題。
問1は、エネルギーの変換に関する知識問題。
問2は、風力で発電できる電力量と家庭で消費する電力量の関係を求める問題。与えられたグラフから、発電できる電力をおおよその値として読み取ればよい。また、単位〔kWh〕(キロワット時)が、1kWの電力を1時間使ったときの電力量であるという知識が必要になる。
問3は、送電における電力損失についての問題。教科書に記述されている内容であるが、苦手としている受験生もいただろう。
問4は、変圧器についての基本問題で、巻き数と電圧の比例関係を用いることができれば正解が選べる。
22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 |
30.4 | 37.6 | 33.3 | 30.6 | 31.3 |