数学I・数学A [分析] 2023年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
分野を越えた融合問題の出題がなくなり、問題文は読みやすく計算量も抑えられ全体的に解きやすくなった。
昨年は、複数の分野の融合問題が出題され、高度な思考を要する問題や計算量の多い問題もあり、時間内に解ききるのは難しかった。それに比べ、今年は文章量こそ多いものの誘導がわかりやすく解答方針が立てやすい問題が多かった。
難易度
易化
昨年は典型的な問題が少なかったが、今年は典型的な問題が適度にあり、取り組みやすい構成であった。また、初めてみるような問題でも誘導が丁寧であり、解きやすかったと思われる。
出題分量
昨年と比べると、文章量は増えたが、思考力を要する問題は少なくなり、計算量も減ったため、時間内で解ききれた受験生も多かっただろう。
出題傾向分析
数学Iの分野については、今年は2次関数で日常の事象に関する問題、図形と計量で出題頻度の低い立体図形に関する問題が出題された。 数学Aの分野についても、確率に関する設問がなかったことや、図形の性質で頻出の定理が出題されず計算もほとんどなく、証明に重点をおいた問題が出題されたことが特徴的であった。 共通テストの特徴の1つである日常の事象に関する問題以外でも、典型問題ばかりにならないようにする工夫がみられる。
2023年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式 | 30 | 絶対値を含む不等式 |
[2]図形と計量 | 円に内接する三角形の面積、球に内接する三角錐(さんかくすい)の体積 | ||
2 | [1]データの分析 | 30 | ヒストグラム、箱ひげ図、相関係数 |
[2]2次関数 | バスケットボールの軌道、シュートの高さ | ||
3 | 場合の数と確率 | 20 | 球のつなぎ方に対する色の塗り方の数 |
4 | 整数の性質 | 20 | 長方形の並べ方、最大公約数、最小公倍数 |
5 | 図形の性質 | 20 | 作図と証明 |
合計 | 100 |
2022年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式 | 30 | 展開、式の値、対称式 |
[2]図形と計量 | 測量、正接の値 | ||
[3]図形と計量、2次関数 | 正弦定理、2次関数の最大 | ||
2 | [1]2次関数、集合と命題 | 30 | 2次方程式、共通解、2次関数のグラフと平行移動、必要条件・十分条件 |
[2]データの分析 | ヒストグラム、四分位数、箱ひげ図、散布図、相関係数 | ||
3 | 場合の数と確率 | 20 | プレゼント交換に関する確率、条件付き確率 |
4 | 整数の性質 | 20 | 1次不定方程式の整数解 |
5 | 図形の性質 | 20 | 重心、メネラウスの定理、方べきの定理 |
合計 | 100 |
設問別分析
第1問
[1]絶対値を含む不等式についての問題であった。また、後半は、2つの条件を用いて式の値を求める問題であった。答えを得るための考え方も問題文で与えられており、計算も易しいため、完答したい。<数学Iの第1問[1]と共通問題>
[2]円に内接する三角形の面積と球に内接する三角錐の体積の最大値をそれぞれ求める問題であった。特に、三角錐の体積が最大になるのは、頂点から底面に下ろした垂線と底面の交点Hが三角形PQRの外心と一致するときであり、このことに気づけたかで差がついただろう。<数学Iの第2問と一部共通問題>
第2問
[1]うなぎのかば焼きとやきとりの支出金額に関する問題であった。ヒストグラム、箱ひげ図の読み取りと相関係数を求める問題であったが、基本的な知識が身についていれば取り組みやすい問題であった。<数学Iの第3問と一部共通問題>
[2]バスケットボールのシュートを打つときのボールの軌道を放物線ととらえ、2次関数のグラフとして考察する問題であった。設問を解くために必要な情報を問題文や会話文から読み取る力が必要であるが、計算自体は決して多くはないので、確実に処理していきたい。<数学Iの第4問[2]と共通問題>
第3問
いくつかの球を何本かのひもでつなぎ、様々なつなぎ方に対する球の色の塗り方を考える問題であった。設問はすべて場合の数に関するものであり、確率に関する設問はなかった。
(1)〜(4)は基本的な設問であり、完答したい。(5)は誘導にのることができたかで差がついただろう。(6)は(5)の誘導をなくし球の個数を1個増やしたものが出題された。共通テストが始まってから、このような出題形式が続いているため今後も十分に注意したい。
第4問
長方形をいくつか並べて、長方形や正方形を作る問題であり、全体的に最大公約数、最小公倍数の考え方が身についていれば取り組みやすかっただろう。
(1)は1種類の長方形だけを並べて正方形を作る場合と、縦と横の長さの差の絶対値が最小となる長方形を作る場合を考える。(2)は2種類の長方形を並べて正方形を作る場合を考える。(1)(2)ともに最後の設問は数式による誘導もなく、解答方針に迷った受験生も多かっただろう。
第5問
作図の手順が与えられ、その結果が正しいことを証明する問題と、指定された手順で作図をし、角の大きさと線分の長さを考える問題であった。全体を通して、この分野で頻出の、方べきの定理やチェバの定理、メネラウスの定理に関する出題はなかった。
(1)は2021年度共通テスト第2日程と同傾向の出題であり、過去問を使って演習していた受験生は落ち着いて解けただろう。証明においても円に内接する四角形、円周角に関する知識が身についていれば解ききれる。(2)も(1)とほぼ同様な作図を行うので、(1)ができていれば図の特徴はつかみやすい。計算においても三平方の定理を使うのみであった。
22年度 | 21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 |
38.0 | 57.7 | 51.9 | 59.7 | 61.9 |