旧倫理,旧政治・経済 [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
全設問が単独科目「倫理」「政治・経済」との共通問題。大問数や小問数、大問ごとの配点は昨年と同様
昨年度と同様、全設問が単独科目「倫理」「政治・経済」との共通問題であった。知識を問う設問とともに、思考力・判断力を試す設問も多く出題されている。倫理分野、政治・経済分野とも、選択肢の数が多い設問は大幅に減少し、6択以上の設問は大幅に減った。
難易度
やや易化
倫理分野では、昨年よりも選択肢の数が大幅に減少しているものの、受験生にはなじみの薄い人物・思想家の出題が見られた。政治・経済分野では、昨年よりも選択肢の数が大幅に減少しているとともに、内容的にもやや易しくなった。主な受験生が高卒生であるため、平均点は上がるだろう。
出題分量
出題分量は昨年度並み。大問数およびマーク数は昨年度と同じ。倫理分野と政治・経済分野のバランスも例年通りとなった(倫理分野のマーク数は16で配点50点、政治・経済分野のマーク数も16で配点50点)。
出題傾向分析
倫理分野では、大問ごとの出題分野については昨年と同様で、第1問が源流思想、第2問が日本思想、第3問が西洋思想、第4問が現代の諸課題と青年期と心理からの出題となった。生徒の主体的な学びを重視する実践的な場面が設定されている点も昨年と同じであった。標準的な知識に加えてやや細かい知識の習得が必要であると同時に、正確な読解力を要求するものとなっている。政治・経済分野の出題は、ここ数年の共通テストを踏襲するものであった。問題を解くために必要な知識は、ほぼ教科書や用語集で扱われているものである。第5問の問6では、ロシアのプーチン大統領に対してICCの逮捕状が発付されたという時事的要素の強い問題が出題された。
2025年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 【倫理】源流思想 | 12 | 4 |
2 | 【倫理】日本思想 | 12 | 4 |
3 | 【倫理】西洋思想 | 12 | 4 |
4 | 【倫理】現代の諸課題と青年期 | 14 | 4 |
5 | 【政治・経済】経済の仕組み | 19 | 6 |
6 | 【政治・経済】法について | 19 | 6 |
7 | 【政治・経済】公正な地球社会の実現 | 12 | 4 |
合計 | 100 | 32 |
2024年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 【倫理】源流思想 | 12 | 4 |
2 | 【倫理】日本思想 | 12 | 4 |
3 | 【倫理】西洋思想 | 12 | 4 |
4 | 【倫理】現代の諸課題と青年期 | 14 | 4 |
5 | 【政治・経済】政治・経済総合 | 19 | 6 |
6 | 【政治・経済】経済成長とグローバル化 | 19 | 6 |
7 | 【政治・経済】国際社会の諸課題 | 12 | 4 |
合計 | 100 | 32 |
設問別分析
第1問
レポート課題をめぐる会話をもとに、東西の源流思想が幅広く問われた。具体的には、旧約聖書、イスラーム、仏教、パウロ、アウグスティヌス、エピクロスなどの思想が取り上げられた。問2は仏教の四苦八苦の内容について、やや細かい知識が問われた。それ以外は、標準的な知識と読解力があれば解ける問題が多く、取り組みやすかったであろう。
第2問
日本の文化と思想をテーマとした会話文をもとに、古代日本の神々に関する思想、平安時代から鎌倉時代にかけての仏教などがとりあげられた。資料文は安藤昌益『統道真伝』が用いられた。問1は南方熊楠の知識を問うものでやや難しいが、全般的には取り組みやすい問題であった。
第3問
資本主義と労働をテーマに、宗教改革、スミス、ドゥルーズとガタリ、ハーバーマスらが出題された。問1では宗教改革に関するやや細かい人名が出題されていた。問2のドゥルーズとガタリの思想については判断が難しかっただろう。
第4問
地域社会における共生をテーマとして、プラグマティズムなどが出題された。問1は、2021年第2日程でも出題されたスチュワードシップという用語についての理解が問われている。問2は、アドラーの思想を知っているかどうかが鍵を握る。問4は、本文の読み取り問題であるが、とくに難しくない。
第5問
市場メカニズムや国民所得指標、貿易問題や国際通貨制度など、経済分野の総合問題となっている。多くの受験生にとってはなじみのない垂直な供給曲線が扱われているが、供給量が固定されているという説明文から合理的に考えていけば、判断は難しいものではない。
第6問
法や裁判に関する事項を中心に出題されている。刑事裁判における判断のあり方についての設問が見られたが、与えられたメモの内容に沿って論理的に判断すれば、正解を選ぶことができる。また、「無害通航権」という多くの受験生になじみのない事項を扱った設問も見られたが、国連総会の決議の効力についての基本知識に基づいて判断すればよい。
第7問
探究学習の場面設定のもと、政治分野と経済分野が総合的に扱われている。選挙制度と権力の集中度との関係を考察する設問や、経済学史に関する設問がみられた。
24年度 | 23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 |
61.3 | 60.6 | 69.7 | 69.3 | 66.5 |