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公共,政治・経済 [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

科目ごとの配点・大問数は試作問題と同じ。図表読み取り問題は試作問題よりも易化。

試作問題と同様、公共分野が25点で大問2つ、政治・経済分野が75点で大問4つであった。全体のマーク数は32で、昨年の公民諸科目と同程度。データ資料 分析問題や論理判断問題は、試作問題ほど複雑なものではなかった。知識問題は標準的な設問が中心。

難易度

資料分析・論理判断問題が、公共分野、政治・経済分野ともに、試作問題のような複雑なものではなかった。また、政治・経済分野の資料分析問題の出題量は試作問題よりも少ない。知識問題も一部にやや難しいものがあるものの、標準的な学習で対応できるものが中心となっている。

出題分量

大問数は6題で、試作問題と同じ。マーク数は32となっており、試作問題に比べ2つ減少しているものの、試作問題では1つの小問で2つのマークを求める設問が2つあったため、小問数としては試作問題と同じ。全体のページ数は40ページであり、試作問題の42ページ(白紙ページを除く)に比べやや減少。公共分野と政治・経済分野の配分は試作問題と同様で、公共分野25点、政治・経済分野75点であった。

出題傾向分析

公共分野、政治・経済分野ともに、解答に必要な知識事項は、概ね教科書の範囲内で対応できるものとなっている。公共分野では、知識問題のほか、複数の資料を用いて思考力・判断力を試す設問など、多様な出題形式が見られる。 政治・経済分野では、これまでの共通テストと同様、図表データを用いた設問が複数出題されていたが、難易度の高いものではない。また、7択以上の選択肢を掲げた設問は政経分野では5問にとどまった(昨年の『政治・経済』の問題は30問中15問を占めていた)。

2025年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 男女共同参画社会をめぐる現状と課題(公共) 12 4
2 公共空間の持続的形成(公共) 13 4
3 地域社会の課題(政治・経済) 18 6
4 国際政治経済のあり方(政治・経済) 19 6
5 労働と貧困問題(政治・経済) 19 6
6 企業の新規参入(政治・経済) 19 6
合計 100 32

設問別分析

第1問

「公共」の授業での探究活動という場面設定のもと、日本の男女平等に関する法的状況に関する問題、示された資料や会話文の内容を読み取る力を試す問題、形式的平等と実質的平等およびアイヌ施策推進法(アイヌ民族支援法)に関する問題が出題された。問1や問4のような問題に対応するためには、基本知識の習得が不可欠である。問2や問3のような問題に対応するためには、表やグラフといった数値資料を読み取る練習を積み重ねておくことが有効である。※公共第1問と共通問題。

第2問

生徒が公共空間の持続的形成に関する課題探究を行うという場面設定のもと、ハーバーマスやアーレントに関する知識が問われた問題、二つの表の内容を読み取る問題、帰納的に推論されている発言を判断する問題、対面と非対面という点に着目して作成されたメモを踏まえて事例を判断する問題が出題された。問1のような問題に対応するためには教科書を通じた知識事項の習得が、問2のような問題に対応するためには表やグラフといった数値資料を読み取る練習が、それぞれ重要となる。問3や問4のような問題に対応するためには、多面的・多角的に考察する力を高めるよう普段の学習から意識しておくことが求められる。※公共第4問と共通問題。

第3問

生徒自身の将来や地域社会の課題というテーマに関連して、アメリカの消費者物価指数の上昇率と失業率、参議院選挙における合区の意義、地域農業の価値の新しい考え方、表現の自由の意義、「ふるさと納税」の制度の概要と影響、地域における防災や減災の取組みについて出題された。問5は、メモの内容に沿って各選択肢を検討していけば解ける問題である。問6は、国家賠償と損失補償の違いというやや細かい事項が問われている。

第4問

国際政治経済のあり方にかかわる出来事に関連して、中央銀行の金融政策,6か国の貿易収支と一人当たりGDPとの推移、2000 年から今日までの世界経済の統合と分断の流れ、国際刑事裁判所(ICC)の意義、安保理の常任理事国の拒否権行使を制約する仕組み、アラブ諸国における「アラブの春」に関する世論調査について出題された。問1は、マネタリーベースとマネーストックの違いや金利と国債の市場価格との関係というやや細かい事項が問われた。問2は、会話文の内容を踏まえて考えれば解ける問題である。問5は、資料の内容に沿って各選択肢を検討していけば解ける問題である。

第5問

諸外国の労働問題に関する会話文をもとに、さまざまな格差と貧困問題、日本と韓国の労働政策、理想的な労働環境、契約自由の原則の修正、労働組合組織率と労働生産性の国際比較、日本的な雇用関係の特徴と課題について出題された。問2、問3、問5、問6はいずれも会話形式の空欄補充問題だが、問2、問3は基本的知識が、問5、問6は論理的な思考力が問われた。

第6問

「経済を活性化させるための企業の新規参入の促進」というテーマのもと、株式会社制度とコーポレート・ガバナンス、需要供給曲線、イノベーションの効果と知的財産権、日本の検察審査会制度、製造物責任法の意義、農業への企業の参入に関する資料について出題された。計算を要する問2のような問題は、過去問にあまり出題例がなく戸惑うと思うが、十分に解答は可能である。問5は基本的な知識が、問3は論理的な思考力が、問6は資料の読み取りと論理的な思考力が問われた。