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旧世界史B [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

昨年に引き続き、資料(史料文・図版・グラフ・表など)が多用され、資料を読み取ったうえで、習得した知識と組み合わせて判断する問題が多い。今年も連動式の問題が出題された。

資料や文章を参考にまとめられたメモへの空欄補充問題や、生徒・学生がまとめたメモの正誤判定問題が各大問にあり、資料や文章を丁寧に読み取り、習得した知識と組み合わせて総合的に判断する問題が多かった。
【ズバリ的中】<本試験>第3問 問5 ⇒ <河合塾教材>2024年度 突破シリーズ 共通テスト本番突破世界史Bテスト 第5問 問2

難易度

昨年並み

生徒がまとめたメモの正誤を中心に、消去法が使えない二文正誤問題が多く、また、正確な年代を必要とする問題などもあり、詳細な知識が多く求められていた。主な受験生が高卒生であるため、平均点は上がるだろう。

出題分量

大問数が5題であり、昨年の4題より1題多い(2023年度は5題だった)が、小問数は33問で、昨年と同じであり、出題分量に大きな変化はない。

出題傾向分析

時代については、前近代史よりも近現代史が多く、第二次世界大戦後だけを扱う小問が2問あったほか、選択肢にも第二次世界大戦後の内容が散見された。地域については、欧米史がアジア・アフリカ史より多く、欧米史では西ヨーロッパ史が多かった。分野では、政治史が多く、文化史が減少した。

2025年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 世界史上の文化と文物 21 7
2 世界史上の支配と従属の関係 19 6
3 帝国の制度や政策 26 9
4 世界史上の植民地と宗主国との関係 15 5
5 近現代におけるアメリカ合衆国の影響力 19 6
合計 100 33

2024年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 様々な地域や時代に見られた体制と制度 27 9
2 世界史における諸勢力の支配や拡大 23 8
3 交通の発達とその影響 22 7
4 世界史上の様々な言語や文字と、人々の文化やアイデンティティ 28 9
合計 100 33

設問別分析

第1問

Aはアケメネス朝ペルシアとアテネの彫刻を、Bは中国の文字文化に関する著作を、Cはベニン王国の工芸品を、それぞれ扱った問題。問2はアケメネス朝の最大領域がオリエントのみならずバルカン半島の一部にも及んでいたことを把握している必要がある。問5は日本の天平文化や国風文化の時代、遣唐使の廃止の時期といった日本史の知識が必要だった。問7はベニン王国がイギリスのアフリカ縦断政策の対象地域に該当するか否かを問うているようにも読めるため、正誤の判断が難しい。

第2問

Aは小説『アイヴァンホー』を引用して、中世イギリスの支配構造と言語の関係を考えさせる問題。問1.空欄アは、資料の後の説明文から、ゲルマン人の大移動期にブリタニアに渡った民族と読み取れるので、サクソンと限定できる。問3.1066年のノルマン征服以降、支配階層となったのはノルマン・フランス人で、彼らは豚のことをポークと呼び、非支配階層となったのはサクソン人で、彼らは豚のことをスワインと呼んでいることを読み取って、支配層と非支配層の間で使用する言語が異なると判断する。Bは、19世紀のイギリスの労働者について、大学のゼミにおける教授と学生の議論の形式をとって考えさせる問題。問5の選択肢2は、ブルシェンシャフトが労働者ではなく学生の運動であることを理解していなければならないのでやや難しい。問6の空欄エは、会話文の内容から、ジェンダーの視点で歴史を見直すと、1844年の工場法には負の側面もあるということを説明していると判断したい。

第3問

Aは中国諸王朝における宦官の専横について、Bはイギリス経済の歴史について、Cはロシア・ソ連の領土と人口の変遷についての出題で、A・Cはリード文形式で、Bは大学のゼミを想定した形式であった。問1.空欄アを限定するためには、設問文の「前漢の滅亡に関わった」という表現を見落とさないようにすること。問2.選択肢の2は文としては正しいことを述べているが、下線部の「皇帝への権力集中・強化」という条件に該当しないため、正解にはならない。問3.空欄イはリード文の「安史の乱後」という時期から、空欄ウは「宦官の専横は、皇帝専制支配を実現し、確立されるなかで生じた副産物」という表現から解答を絞り込む必要がある。問4.空欄オは、グラフの貿易収支がほとんどマイナス値であることから「輸出額よりも輸入額の方が多い」と判断する。問7.選択肢1〜6にあげられている事柄の年代が分からないと判断できないため、難しい。問9.空欄カは、リード文の「ロシアがシベリア進出に乗り出した」からイヴァン4世だと判断し、空欄キは、リード文の「ネルチンスク条約を締結した」からピョートル1世と判断する。

第4問

Aはフランスの植民地政策を扱った世界史の授業を、Bはインドの独立運動と「塩の行進」をテーマとした大学のゼミを、それぞれ想定した問題。問2.空欄アは、会話文の「阮朝が治めていた」からベトナムだと判断する。問3.渡瀬さんのメモについては、会話文の「奴隷制が廃止された後の、フランスの植民地政策に関する理念」から、絵の描かれた1900年の段階の第三共和政で奴隷制が行われていないことは判断できるが、それ以前の第三共和政で既に奴隷制が廃止されていたかどうかは判断できないことから、フランスにおける奴隷制廃止の時期を知らないと解けない問題である。問4.選択肢「い」の出来事は1906年、下線部bの出来事は1930年、選択肢「あ」の出来事は1935年に起きた。年代を覚えていなくても、「い」は日露戦争直後に日本の勝利に刺激を受けて開催されたカルカッタ大会のことであり、第一次世界大戦後には、ガンディーによる下線部bなどの運動を通じて反英運動が大衆化するなか、イギリスは妥協策として、「あ」の1935年インド統治法(改正インド統治法)を制定したことを想起しよう。問5.会話文の「最終的に、大勢の民衆が加わり……大規模な抵抗運動に発展」から判断する。

第5問

Aはアメリカ合衆国の歴史について、Bはキューバ危機について、それぞれゼミを想定した問題。問4.会話文の内容から、空欄ウには妥協的な内容が入るのだが、選択肢を見ると史実として正しいのは選択肢1のみであり、答えはすぐに絞れる。問3・問6はいずれも、2つのメモの正誤の組合せを判断させる問題で消去法が使えず、会話文の内容を正確に読み取る必要がある。

過去の平均点の推移

24年度 23年度 22年度 21年度 20年度
60.3 58.4 65.8 63.5 63.0