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歴史総合, 日本史探究 [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

歴史総合・日本史探究ともに、試作問題と同様に歴史事象を多面的・多角的に考察させる問題が多く出題された。

歴史総合では、試作問題とは異なり、日本史の知識だけでは対応できない問題が複数出題された。

難易度

試作問題の歴史総合はほぼ日本史の知識のみで対応できたが、本試験の歴史総合では日本史の知識だけでは対応できない問題が複数出題されており、試作問題に比べて難易度が高かった。一方、日本史探究では、試作問題と同様におおよその時代を判断して解答させる設問が多く、多様な資料の出題がなされ、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢がとられているが、難易度はさほど変わらない。したがって、全体としては試作問題よりもやや難化したと考えられる。

出題分量

試作問題では大問6題・小問34問(歴史総合9問・日本史探究25問)であったが、本試験では大問6題・小問33問(歴史総合8問・日本史探究25問)であった。

出題傾向分析

大問の構成では、すべての大問が高校生の学習・探究活動を題材とし、会話文が多用されるなど、旧日本史Bに引き続き、高校生の「主体的な学び」を踏まえた場面設定がなされている。個々の設問では、文献史料・図版・統計など多様な資料を用いた出題がみられたが、教科書などで扱われていない初見のものであっても、そこから得られる情報と授業などで学んだ知識を関連づけることで正解できる問題となっている。全体としては、受験生の歴史事象に対する理解の質や思考力・判断力を幅広く問う配慮がなされている。「近代化」「大衆化」「グローバル化」から構成される歴史総合では、「近代化」からの出題が多かった。日本史探究では、出題分野では社会経済からの出題が多く、時代では小泉純一郎内閣までが扱われた。

2025年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 歴史上の境界(歴史総合) 25 8
2 菓子に着目した探究活動(日本史探究) 15 5
3 古代の外交と文化の関わりについての探究(日本史探究) 15 5
4 中世の武士についての探究(日本史探究) 15 5
5 「近世の村」の探究(日本史探究) 15 5
6 「松本清張」の探究(日本史探究) 15 5
合計 100 33

設問別分析

第1問

歴史上における境界をテーマとする探究活動を素材に、18世紀末から20世紀後半までを総合的に問うている。問1は、設問文の「18世紀末」という時期をヒントに解答したい。問2は、資料中の「一昨年に台湾出兵が発生した」から時期を判断して解答したい。問3は、「穀物法」からイギリスと判断したいが、世界史の知識が要求されるため、受験生は苦戦しただろう。問7も、世界史の知識が必要であり、特にメモIとメモIIIの時期の前後関係の判断が難しい。<歴史総合の第1問と共通問題>

第2問

菓子をテーマとする探究活動を素材に、古代から近代を総合的に問うている。問1は、会話文の内容から、資料1を受け取った人物を田沼意次と判断して解答したい。問2の「あ」は、資料2中の「欧州製菓の輸入途絶」から第一次世界大戦を想起して正誤を判断したい。問4は、下線部の「禅宗寺院」に着目して解答したい。問5は、授業で学んだ知識だけでなく、会話文の内容をヒントに解答したい。

第3問

大宰府跡などの遺跡や近くの博物館の見学をテーマとする探究活動を素材に、古代の外交を中心に問うている。問1は、新羅の成立が4世紀であることから判断したい。問3は、渤海が7世紀末から10世紀前半に存在した国であることを踏まえた上で、資料中の「宋」「聖武天皇」「隋の煬帝」「雄略天皇」などから時期を判断して解答したい。

第4問

中世の武士についての探究活動を素材に、中世を総合的に問うている。問1は、会話文や資料1の内容を踏まえて解答したい。問2は、「い」については図に石築地がみえること、「Y」については会話文の「1324年」と資料2の内容から判断して解答したい。問4は、近世の統一権力による貨幣鋳造という文脈に合致するものは何かを判断したい。

第5問

近世の村についての探究活動を素材に、近世の社会経済を中心に問うている。問3のIIIは、「耕地の喪失や細分化を規制」から田畑永代売買の禁令・分地制限令を想起したい。問5は、知識のほかメモ3・グラフの内容を組み合わせて解答したい。

第6問

松本清張についての探究活動を素材に、近代・戦後を総合的に問うている。問1の「あ」「い」は、資料1中の『読売新聞』の記事の内容と『朝日新聞』の記事の日付に着目して正誤を判断したい。問3のIIIは、大正時代のことであるが、判断に迷った受験生もいただろう。問4は、破壊活動防止法が独立回復後初のメーデーにおいてデモ隊と警官隊とが衝突した事件(血のメーデー事件)を契機に制定されたことを想起したい。問5の「Y」は、「規制緩和・構造改革」が政治課題として掲げられたのは2000年代の小泉純一郎内閣の時であることから誤りと判断したい。