公共 [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
試作問題と出題形式に相違は見られるが、大学入学共通テスト問題作成方針に則した内容となっている。
「公共」という科目らしく、現代の社会問題を積極的に取り入れている。設問の多くは基本知識が問われており、おおむね教科書の学習で対応できる。思考力を問う問題は図表の読み取りが中心で、資料文などと具体例を結びつける設問もみられた。
難易度
試作問題と同程度の水準の、教科書の範囲内の知識で対応できる問題や資料内容を読み取る問題、発言や事例を分析し判断する問題などが出題された。
出題分量
試作問題とほぼ同程度の分量であり、大問数・マーク数とも変化なし。
出題傾向分析
公表された大学入学共通テスト問題作成方針に即した内容である。例えば、解答番号105のように基本的な概念を提示したうえで正解を選ばせる問題や、解答番号114のように多様な資料を用いて思考力・判断力を試す問題など、多様な出題形式がみられる。基本知識を問う問題については、試作問題よりもやや多くなった。
2025年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 男女共同参画社会をめぐる現状と課題 | 12 | 4 |
2 | 経済活動とそれを支える社会的・経済的基盤 | 12 | 4 |
3 | 裁判所と法の役割 | 13 | 4 |
4 | 公共空間の持続的形成 | 13 | 4 |
合計 | 50 | 16 |
設問別分析
第1問
「公共」の授業での探究活動という場面設定のもと、日本の男女平等に関する法的状況に関する問題、示された資料や会話文の内容を読み取る力を試す問題、形式的平等と実質的平等およびアイヌ施策推進法(アイヌ民族支援法)に関する問題が出題された。問1や問4のような問題に対応するためには、基本知識の習得が不可欠である。問2や問3のような問題に対応するためには、表やグラフといった数値資料を読み取る練習を積み重ねておくことが有効である。※「公共,倫理」および「公共,政治・経済」の第1問と共通問題。
第2問
卒業生による講演会という場面設定のもと、社会関係資本と社会的共通資本に関するメモの趣旨を正しく読み取っている発言かどうかを判断する問題、資金調達の手段についての問題、為替レートの変化を考えさせる問題、日本銀行による金融政策に関する問題が出題された。ほとんどの問題は基本知識で対応できるが、問1のような問題に対応するためには、情報を読み解く力を高めるよう普段の学習から意識しておくことが求められる。
第3問
「公共」の授業での課題学習という場面設定のもと、一票の格差に関連する表や会話文を用いた問題、最高裁判所の違憲判決の内容に関する問題、裁判所の役割についての問題、犯罪と刑罰の関係をめぐる会話文を用いた問題が出題された。ほとんどの問題が教科書に掲載されている知識事項にかかわるものである。問1のような問題に対応するためには、日本の選挙制度や1票の格差に関する知識を習得するとともに、会話文の流れを的確に理解したり表の内容を的確に読み取ったりする力が必要となる。基本知識を具体的な場面において活用する力を磨くような学習を意識したい。問2のような問題に対応するためには、教科書などを通じて最高裁判所の重要な判決について学習しておくことが重要である。
第4問
生徒が公共空間の持続的形成に関する課題探究を行うという場面設定のもと、ハーバーマスやアーレントに関する知識が問われた問題、二つの表の内容を読み取る問題、帰納的に推論されている発言を判断する問題、対面と非対面という点に着目して作成されたメモを踏まえて事例を判断する問題が出題された。問1のような問題に対応するためには教科書を通じた知識事項の習得が、問2のような問題に対応するためには表やグラフといった数値資料を読み取る練習が、それぞれ重要となる。問3や問4のような問題に対応するためには、多面的・多角的に考察する力を高めるよう普段の学習から意識しておくことが求められる。※「公共,倫理」および「公共,政治・経済」の第2問と共通問題。