旧数学II・旧数学B [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
必答問題(数学II)の分量が増加。選択問題(数学B)の配点が40点から32点へ減少。
昨年までの『数学II・数学B』では、第1問が三角関数と指数・対数関数で、第2問が微分法・積分法であったが、本試験では、旧第1問が2つの大問に分けられ、さらに「図形と方程式」が第4問に必答問題として配置された。
難易度
昨年並み
やや難しい問題には丁寧な誘導がついており、全体として数学が得意な受験生には得点しやすい問題であった。問題の難易度は昨年並みであるが、高卒生のみが受験するため、平均点は昨年の『数学II・数学B』より高くなると思われる。
出題分量
試験時間が10分増加したので、分量はやや増加した。
出題傾向分析
例年と同様、誘導が丁寧につけられている問題が多かった。一通り問題を解かせたあと、その考え方を利用して設定を少し変えた別の問題を解くようなタイプの出題も目立った。第4問の図形と方程式では、三角関数に関連して、直線の傾きを tan を用いて表すことが扱われた。
2025年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | 三角関数 | 15 | sinA=sinB の形の方程式を誘導に従って解く |
2 | 対数関数 | 15 | 水草が水面を覆う面積、常用対数とその表 |
3 | 微分法・積分法 | 22 | 極大、極小、グラフ、積分、面積 |
4 | 図形と方程式 | 16 | 三角形の1つの内角と2つの外角の二等分線の交点(傍心)の軌跡 |
5 | 確率分布と統計的な推測 | 16 | 正規分布、確率変数の変換、信頼区間 |
6 | 数列 | 16 | 領域内の格子点の個数 |
7 | 空間ベクトル | 16 | 座標、内積を含む座標計算 |
合計 | 100 |
2024年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]指数関数・対数関数 | 30 | 対数関数のグラフ、方程式、不等式、領域 |
[2]いろいろな式 | 整式の除法 | ||
2 | 微分法・積分法 | 30 | 積分、極値、面積、微分と積分の関係 |
3 | 確率分布と統計的な推測 | 20 | 母比率の区間推定、確率変数の期待値(平均) |
4 | 数列 | 20 | 等差数列、漸化式、数学的帰納法 |
5 | 空間ベクトル | 20 | 空間ベクトルの成分、内積、ねじれの位置にある2直線 |
合計 | 100 |
設問別分析
第1問
三角関数に関する方程式の問題。(1)では sinA=sinBの形の方程式を丁寧な誘導に従って解くことになる。この形の方程式を解いたことがある受験生にとっては、解きやすい問題であったと思われる。(2)ではcosA=cosBの形の方程式を誘導なしで解くことになる。(1)と同様に考えればよい。
<『数学II,数学B,数学C』、『旧数学II』の第1問と共通問題>
第2問
「1日ごとに一定の倍率で増える水草」が水面を覆う面積についての計算を、常用対数表を利用して行う問題。
(1)倍率rの3乗の値と常用対数表から、log10rの値を求める。
(2)14日後の水草の量が60%を超えないための最初の水草の量を、指数の式で表し、常用対数表を利用して求める。
(1)、(2)ともに、対数の式変形は複雑ではなく、計算の分量も多くない。
常用対数表を利用する練習をしておこう。
<『数学II,数学B,数学C』、『旧数学II』の第2問と共通問題>
第3問
いくつかの条件を満たす関数を考える問題。F(x)とG(x)の導関数は等しいので、二つの関数の差が定数であることを見抜ければ難しくない。
(1)は具体的な関数で考える問題。(2)(i)は(1)を踏まえて関数のグラフを考える問題で計算がほとんどない。(ii)は関数や極大値を定積分を用いて表す問題であり、やや難しいと思われる。
<『数学II,数学B,数学C』、『旧数学II』の第3問と共通問題>
第4問
三角形の1つの内角と2つの外角の二等分線の交点(「傍心」という)の軌跡を求める問題。(1)(i)で誘導に従って軌跡を表す方程式を立て、(1)(ii)で軌跡を求める。(2)は(1)の考え方を利用して、別の三角形の「傍心」の軌跡について考察する。
第5問
(1)は正規分布と母平均の信頼区間を求める問題、(2)(i)は確率変数の変換を考える問題で、標準的な問題である。 (2)(ii)と(iii)は母平均の信頼区間の性質について考える問題であり、信頼区間の意味が分かっていれば難しくはないが、問題の意味が読み取れなくて苦労した受験生がいたかもしれない。 教科書の内容を十分に理解することが大事である。
第6問
与えられた図形の内部に含まれる格子点の個数を求める問題。小問ごとに図形が異なるが、方針は同じであるので、それぞれの図形に応じた計算を行うとよい。各小問ごとのテーマは
(1)等差数列とその和の公式
(2)等比数列とその和の公式
(3)Σk、Σk2の公式
である。
境界線上の点が含まれていないことに注意しないといけないが、丁寧な誘導がついている。
<『数学II,数学B,数学C』の第4問と共通問題>
第7問
球面上の3点が正三角形をなす条件を内積を含む座標計算によって求める問題。丁寧な誘導がついており、これに従えば、計算を進めるのに必要な式は(1)で立式される。(2)でaに具体的な値を代入して計算をし、(3)では文字aのまま計算を進める。
<『数学II,数学B,数学C』の第6問と共通問題>
24年度 | 23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 |
57.7 | 61.5 | 43.1 | 59.9 | 49.0 |