数学I,数学A [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
新課程の内容として新たに加わった「外れ値」、「仮説検定」、「期待値」がすべて出題された。
数学I,数学Aに新たに加わった内容は、データの分析の「外れ値」と「仮説検定」、場合の数と確率の「期待値」であるが、これら3つの内容に関する問題がすべて出題された。特に仮説検定については、試作問題と同様の問い方であった。
【ズバリ的中】<本試験>第2問 〔2〕 ⇒ <河合塾教材>2024年度 全統プレ共通テスト 数学T,数学A 第2問 〔2〕
難易度
図形と計量は抽象度が高く、図形の性質は空間図形が題材であり、確率は設定が読み取りにくいなど、それぞれ取り組みにくいと感じた受験生も多かったと思われる。一方で、誘導が丁寧であったり、計算量が少ないなど取り組みやすい問題も多かった。そのため、難易度は前年度「数学I・数学A」と比較すると、同程度であった。
出題分量
前年度「数学I・数学A」と比較すると、文章量とマーク数がともにやや増えたが、計算量が少ない問題も多かったため、全体的な出題分量に大きな変化は見られなかった。
出題傾向分析
前年度「数学I・数学A」と同様に、誘導が丁寧につけられている問題が多く出題された。これに加え、共通テストが始まってから出題が目立つ、「誘導がついた問題を解かせた後で、設定をすこし変えて考えさせる問題」が中問を含めた6題中4題で出題された。また、毎年出題されている日常の事象を題材とした問題は、今年は2次関数の分野で噴水の高さを考える問題が出題された。
2025年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式、集合と命題 | 30 | 方程式、必要条件・十分条件 |
[2]図形と計量 | 三角比の定義、正弦定理、余弦定理 | ||
2 | [1]2次関数 | 30 | 噴水の水がえがく曲線、噴水の高さ |
[2]データの分析 | 散布図、外れ値、分散、共分散、仮説検定 | ||
3 | 図形の性質 | 20 | 五面体、2平面の交線、方べきの定理 |
4 | 確率 | 20 | 期待値を用いた料金の妥当性の考察 |
合計 | 100 |
2024年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式 | 30 | 整数部分・小数部分 |
[2]図形と計量 | 測量、三角比の定義、三角比の表 | ||
2 | [1]2次関数 | 30 | 点の移動、三角形の面積の最大・最小 |
[2]データの分析 | ヒストグラム、箱ひげ図、変量の変換、散布図 | ||
3 | 場合の数と確率 | 20 | カードの取り出しに関する確率 |
4 | 整数の性質 | 20 | n進数、最小公倍数、1次不定方程式 |
5 | 図形の性質 | 20 | メネラウスの定理、方べきの定理 |
合計 | 100 |
- 前年度「数学T・数学A」のフレームを掲載しています。
設問別分析
第1問
[1]文字定数a、bを含む方程式の問題であった。aやbの値が与えられたうえで因数分解し、方程式の解を考える問題であり、手をつけやすかっただろう。最後の設問では、必要条件・十分条件について問われていたが、この分野の基本事項が身についていれば解きやすかっただろう。<数学I、旧数学I・旧数学A、旧数学Iの第1問[1]と共通>
[2]2つの三角形について、外接円の半径の大きさ、正弦の値、辺の長さを比較する問題であった。(1)は抽象度の高い問題であり、誘導にのって三角比の定義や正弦定理を適切に利用できるかがポイントであった。(2)は(1)を応用することができたかどうかで差がついただろう。(3)は(1)の結果を利用し、正弦定理や余弦定理を用いることに気づいた受験生にとっては解きやすい設問であっただろう。<数学Iの第2問[2]、旧数学I・旧数学Aの第1問[2]、旧数学Iの第2問[2]と共通>
第2問
[1]噴水の水がえがく曲線を放物線とみなして、噴水の高さを考える問題であった。与えられた図や仮定を用いて、放物線を表す2次関数を文字定数を用いて立式したのち、放物線が通る点の座標を利用することで2次関数を決定する問題であった。立式の仕方によっては計算量に差が出ただろう。<数学Iの第3問[2]、旧数学I・旧数学Aの第2問[1]、旧数学Iの第3問[2]と共通>
[2]都道府県別の外国人宿泊者数と日本人宿泊者数のデータに関する問題であった。散布図の読み取りや分散と共分散に関する出題はこれまでを踏襲しているが、新課程の内容として、外れ値と仮説検定が新たに出題された。仮説検定については、試作問題と同様に実験結果を用いて確率を求め、仮説が誤っているかを判断する問題であり、類題の経験がある受験生は解きやすかっただろう。<数学Iの第4問と一部共通>
第3問
2つの三角形と3つの四角形を面とする五面体について考える問題であり、この分野での空間図形の出題は共通テストが始まってから初である。(1)は3直線が1点で交わることを証明する問題であり、戸惑った受験生も多かったと思われる。(2)(i)、(ii)は五面体の辺の長さを求める問題で、丁寧な誘導がついており考えやすかっただろう。(2)(iii)は平面や直線の位置関係の把握が難しかったと思われる。<旧数学I・旧数学Aの第5問と共通>
第4問
くじに関する料金の期待値に関する問題であった。当たり、はずれの本数ではなく、3つの確率の値が与えられているところが目新しい。(1)は与えられた3つの確率をもとに期待値の計算に利用する確率を求める問題であったが、与えられている確率が3つの事象が関わっていて考えにくかった。(2)はくじの主催者の負担金額の期待値をもとに参加料の設定の妥当性について考察する問題であった。(3)ではくじ引き料が導入され、期待値を利用してくじ引き料の設定の妥当性について考察する問題であった。(1)の結果が(2)以降に影響するため、(1)の確率を正しく求められたかがポイントであった。
24年度 | 23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 |
51.4 | 55.7 | 38.0 | 57.7 | 51.9 |
- 前年度「数学T・数学A」の平均点を掲載しています。