数学I [分析] 2025年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
新課程の内容として新たに加わった、データの分析の「外れ値」と「仮説検定」がともに出題された。
数学Iに新たに加わった内容は、データの分析の「外れ値」と「仮説検定」であるが、この2つの内容に関する問題が両方とも出題された。特に仮説検定については、試作問題と同様の問い方であった。
難易度
第2問[2]の図形と計量の問題は抽象度が高く、取り組みにくいと感じた受験生も多かったと思われる。一方で、誘導が丁寧であったり、計算量が少ないなど取り組みやすい問題も多かった。そのため、難易度は前年度「数学I」と比較すると、同程度であった。
出題分量
前年度「数学I」と比較すると、文章量とマーク数がともにやや増えたが、計算量が少ない問題も多かったため、全体的な出題分量に大きな変化は見られなかった。
出題傾向分析
前年度「数学I」と同様に、誘導が丁寧につけられている問題が多く出題された。これに加え、共通テストが始まってから出題が目立つ、「誘導がついた問題を解かせた後で、設定をすこし変えて考えさせる問題」が中問を含めた7題中3題で出題された。また、毎年出題されている日常の事象を題材とした問題は、今年は2次関数の分野で噴水の高さを考える問題が出題された。
2025年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式、集合と命題 | 20 | 方程式、必要条件・十分条件 |
[2]集合と命題 | 集合と要素、補集合、共通部分、和集合 | ||
2 | [1]図形と計量 | 30 | 台形、三角比の定義 |
[2]図形と計量 | 三角比の定義、正弦定理、余弦定理 | ||
3 | [1]2次関数 | 30 | 放物線のグラフ、2次方程式の解の正負 |
[2]2次関数 | 噴水の水がえがく曲線、噴水の高さ | ||
4 | データの分析 | 20 | 散布図、外れ値、相関係数、分散、共分散、箱ひげ図、仮説検定 |
合計 | 100 |
2024年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | テーマ |
1 | [1]数と式 | 20 | 整数部分・小数部分 |
[2]集合と命題 | 集合と要素、包含関係、必要条件・十分条件 | ||
2 | [1]図形と計量 | 30 | 正弦定理、余弦定理 |
[2]図形と計量 | 測量、三角比の定義、三角比の表 | ||
3 | [1]2次関数 | 30 | 放物線のグラフ、2次不等式の解、2次方程式の解 |
[2]2次関数 | 点の移動、三角形の面積の最大・最小 | ||
4 | データの分析 | 20 | ヒストグラム、箱ひげ図、変量の変換、散布図、相関係数 |
合計 | 100 |
- 前年度「数学T」のフレームを掲載しています。
設問別分析
第1問
[1]文字定数a、bを含む方程式の問題であった。aやbの値が与えられたうえで因数分解し、方程式の解を考える問題であり、手をつけやすかっただろう。最後の設問では、必要条件・十分条件について問われていたが、この分野の基本事項が身についていれば解きやすかっただろう。<数学I,数学A、旧数学I・旧数学A、旧数学Iの第1問[1]と共通>
[2]全体集合Uとその部分集合A、Bについて、「AとBの共通部分」と「Aの補集合とBの補集合の共通部分」の和集合について考える問題であった。(1)および(2)(i)は平易な内容であるが、(2)(ii)がやや難しい。<旧数学Iの第1問[2]と共通>
第2問
[1]与えられた条件を満たす台形について、2本の対角線が直交することを示す問題であった。条件を満たす台形をかくことができれば易しいが、条件の一部が角度の正接(tan)についての情報であるため、慣れていない受験生は図を素早くかけなかったかもしれない。<旧数学Iの第2問[1]と共通>
[2]2つの三角形について、外接円の半径の大きさ、正弦の値、辺の長さを比較する問題であった。(1)は抽象度の高い問題であり、誘導にのって三角比の定義や正弦定理を適切に利用できるかがポイントであった。(2)は(1)を応用することができたかどうかで差がついただろう。(3)は(1)の結果を利用し、正弦定理や余弦定理を用いることに気づいた受験生にとっては解きやすい設問であっただろう。<数学I,数学Aの第1問[2]、旧数学I・旧数学Aの第1問[2]、旧数学Iの第2問[2]と共通>
第3問
[1]2次関数のグラフを平行移動して得られる放物線の方程式を求め、そのグラフのy切片の符号、軸の位置、頂点のy座標をみることによって、2次方程式の実数解の正負を調べる問題であった。典型的な内容であり、計算も軽めで解きやすい。<旧数学Iの第3問[1]と共通>
[2]噴水の水がえがく曲線を放物線とみなして、噴水の高さを考える問題であった。与えられた図や仮定を用いて、放物線を表す2次関数を文字定数を用いて立式したのち、放物線が通る点の座標を利用することで2次関数を決定する問題であった。立式の仕方によっては計算量に差が出ただろう。<数学I,数学Aの第2問[1]、旧数学I・旧数学Aの第2問[1]、旧数学Iの第3問[2]と共通>
第4問
都道府県別の外国人宿泊者数と日本人宿泊者数のデータに関する問題であった。散布図、箱ひげ図の読み取りや分散と共分散、相関係数に関する出題はこれまでを踏襲しているが、新課程の内容として、外れ値と仮説検定が新たに出題された。仮説検定については、試作問題と同様に実験結果を用いて確率を求め、仮説が誤っているかを判断する問題であり、類題の経験がある受験生は解きやすかっただろう。<数学I,数学Aの第2問[2]と一部共通>
24年度 | 23年度 | 22年度 | 21年度 | 20年度 |
34.6 | 37.8 | 21.9 | 39.1 | 35.9 |
- 前年度「数学T」の平均点を掲載しています。