河合塾グループ河合塾
  1. 河合塾
  2. 受験・進学情報
  3. 大学入試解答速報
  4. 大学入学共通テスト速報
  5. 世界史B [分析]

世界史B [分析] 2022年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

アジア・アフリカ史からの出題が多く、オセアニア史から複数問出題。すべての大問で資料の読み取り問題が出題。

近現代史からの出題が前近代よりやや多く、古代史が少なかった。すべての大問に資料(史料文・表・図版)の読み取り問題があり、会話文を活用した問題も見られ、形式の上では昨年から大きな変化はなかった。 昨年には見られなかった研究・議論のための史料や根拠として適当なものを問う問題が出題された一方、グラフの読み取り問題は出題されなかった。
【ズバリ的中】<本試験>第2問 問3⇒<河合塾教材>全統プレ共通テスト 第4問 問5

難易度

昨年並み

分量で大きな変化はないこと、容易な問題がある一方で、第5問Aのように問題文と図版を組み合わせて解くような煩雑な問題も見られることなどから、難易度に大きな変化はなかったと思われる。

出題分量

大問数5題、小問数34問で、大問数・小問数ともに昨年と同じ。問題のページ数(白紙を除く)は若干減少したものの、分量には大きな変化はない。

出題傾向分析

地域については、アジア・アフリカ史からの出題が多く、オセアニア史から複数問出題された。時代については、近現代史からの出題が前近代史より若干多く、古代史からの出題が少ない(古代オリエント、ギリシア・ローマ、漢代までの東アジア史がほとんど出題されていない)。これは、今回利用されている資料が近現代中心であったことと関連すると思われる。政治史からの出題が多く、昨年と比べて文化史からの出題が少なめだった。形式については、すべての大問で、資料(史料文・表・図版)の読み取り問題、史料文の空欄に入る内容についての正誤判定や組合せ問題が昨年同様多く出題された。会話を利用した問題も昨年同様多いが、博物館での会話や観光ガイドとの会話などさまざまな場面を設定していた昨年と異なり、いずれも授業の場面を設定した会話文であった。地図問題は1問から3問に増加し、史料文・会話文などから読み取る地図選択問題であった。一方で、グラフの読み取り問題や時代整序問題がなくなった。また、従来のセンター試験型の知識のみを問う4択問題も出題されている。

2022年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 世界史上の学者や知識人 27 9
2 ある出来事の当事者の発言や観察者による記録 15 5
3 世界史上の人々の交流や社会の変化 24 8
4 歴史評価の多様性 17 6
5 世界史上の墓や廟 17 6
合計 100 34

2021年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 資料と世界史上の出来事との関係 15 5
2 世界史上の貨幣 18 6
3 文学者やジャーナリストの作品 24 8
4 国家やその官僚が残した文書 26 9
5 旅と歴史 17 6
合計 100 34

設問別分析

第1問

Aではシーボルトとその著書『日本』についての説明、Bではイランの学者ハサン=ブン=イーサーの伝記記事、Cでは近代中国の学者王国維の論文の引用から、中国史を中心とする東アジア史、西アジア史が出題された。図版が使用されたが、解答するには直接関係はなかった。問2は、空欄アに入れる都市名をバタヴィアであると判断したうえで、地図上の位置を答えさせる問題。問4は、空欄イ・ウに入れる語句を、資料の内容を読み取って導き出さなければならない。アッバース朝治下のイランでイスラーム教に改宗する人が増加した理由を考えさせる問6は、選択肢1・2・3がアッバース朝の時代ではないことがわかれば解答できる。問7は、資料文中の空欄に当てはまる民族名を読み取ったうえで、それについての正誤を判定させる問題。問9は、研究内容とそれに必要な史料についての問題で、昨年には見られなかった形式である。

第2問

Aはウィンストン=チャーチルの『偉大な同時代人たち』からの引用文、Bはアメリカ大統領の演説を利用した出題で、いずれも資料の読み取りが必要である。「スペインの最後の植民地」を地図から選択する問2は、「スペインの最後の植民地」が、資料から「アメリカ合衆国に奪われた」領土であることを読み取って解答しなければならない。Bは第二次世界大戦後を扱った問題で、問3・問4は、問題文の文章から空欄ウに「キューバ」が入ると判断したうえで、キューバ危機の翌年に締結された条約が部分的核実験禁止条約であると考え、解く問題である。

第3問

19世紀以降のアジア史・オセアニア史を中心に出題された。Aでは明治期の政治小説に描かれた国際情勢についての先生と生徒の会話文を用いて、19世紀の歴史が出題された。Bでは世界の人口の推移を示した表とそれについての先生と生徒の会話文を題材に、問4で表から数値を読み取る正誤判定問題が、問5で1850年の東南アジアと日本の人口密度の高低を、会話文中の内容から判断させる組合せ問題が出題された。Cではオセアニアの先住民をめぐる先生と生徒の会話文を通じてオセアニア史が出題されたが、問7は会話文中の先生の発言内容を参考にすれば、生徒のメモの正誤を判断することは可能であった。

第4問

Aではジョージ=オーウェルがスペイン内戦での体験をもとにした文章を資料として、同時期の日本とドイツに関する出来事が問われ、Bでは絵画をテーマとした先生と生徒の会話文を題材として、おもにロシア・ソ連に関する出来事が問われた。ファシズム体制と見なせる根拠と見なせない根拠をそれぞれ選び組合せる問3、ドイツ騎士団の撃退を称える映画が、ソ連で上演禁止となった根拠として推測される仮説を選ぶ問6は、いずれも歴史用語の暗記だけではなく、歴史的事象の関連を考察する力が求められた。

第5問

Aはフランス王の廟に関する文章と図を用い、Bは関帝(関羽)像の写真と関帝廟に関する会話文を用いている。文章や図から空欄に入る人名などを読み取る問題と、読み取った内容を前提として解く問題がほとんどで、受験生が正解を導き出すには時間がかかると思われる。

過去の平均点の推移

21年度 20年度 19年度 18年度 17年度
63.5 63.0 65.4 68.0 65.4