日本史B [分析] 2022年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
歴史事象を多面的・多角的に考察させる問題が継続して出題された。
多様な資料を用いて出題されるとともに、初見の資料であっても、そこから得られる情報と授業などで学んだ知識を関連づける問題が出題された。
【ズバリ的中】<本試験>第2問 問3⇒<河合塾教材>直前講習・突破シリーズ 共通テスト本番突破テスト日本史B 第2問 問2
難易度
難化
小問間の難易差はあるものの、全体としてはやや難易度が高かった。昨年度(第1日程)に比べて多様な資料を用いた出題が増加し、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢がより強く打ち出された。また、受験生が苦手とする形式である年代配列問題が4問から6問に増加した。
出題分量
大問数・小問数は昨年度(第1日程)と同じであった。
出題傾向分析
大問の構成では、第1問〜第5問で高校生の会話や学習の成果が素材とされ、主体的な「高校生の学び」を踏まえた場面設定がより鮮明に打ち出された。また、個々の設問では、史料・図版・地図・統計など多様な資料を用いた出題が見られ、教科書などで扱われていない初見の資料であっても、そこから得られる情報と授業などで学んだ知識を関連づける問題が多く出題された。一方、従来のセンター試験と同様のレベル・内容の出題も多く見られ、全体としては受験生の知識の理解の質や思考力・判断力を幅広く問う配慮がなされている。出題分野では、外交からの出題が増加し、政治・文化が減少した。また、時代では、原始からの出題はみられなかった。昨年度(第1日程)出題されなかった高度成長期以降を扱う設問が2問出題された。
2022年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 人名から見た日本の歴史 | 18 | 6 |
2 | 古代の法整備の歴史と遣隋使・遣唐使 | 16 | 5 |
3 | 中世の海と人々との関わりの歴史 | 16 | 5 |
4 | 近世の身分と社会 | 16 | 5 |
5 | 日本とハワイとの関係史 | 12 | 4 |
6 | 日本における鉄道の歴史とその役割 | 22 | 7 |
合計 | 100 | 32 |
2021年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 |
1 | 貨幣の歴史 | 18 | 6 |
2 | 日本における文字使用の歴史 | 16 | 5 |
3 | 中世の都市と地方との関係 | 16 | 5 |
4 | 近世社会の儀式・儀礼 | 16 | 5 |
5 | 景山英子(福田英子)の人物史 | 12 | 4 |
6 | 第二次世界大戦後の民主化政策 | 22 | 7 |
合計 | 100 | 32 |
設問別分析
第1問
人名に注目した高校生の会話文を素材に、古代から近代を総合的に問うている。現代における夫婦の姓など時事的な話題を意識した出題であった。問1・問4・問5・問6では、それぞれメモ・略系図・表・会話文の内容を参照したうえ、選択肢を吟味する必要があり、「思考力・判断力」が求められている。問3では、IIの「反射炉」を洋式軍備の導入と関連付けて時期を判断したい。
第2問
古代の法整備の歴史と遣隋使・遣唐使を素材に、古代を総合的に問うている。問1・問2では、古代の外交・文化に関する年代感覚が問われている。問3では(注)をヒントに史料の慎重な読解が求められた。問4では、IIIの「令条の期の後…」から、これが律令の施行細則にあたると考え、延喜式と判断したい。
第3問
中世の海と人々の関わりを素材に、中世から近世の外交・社会を中心に問うている。問4の史料問題では、(注)をヒントに慎重な史料読解が求められている。問1は選択肢1〜3の判断に迷ったかもしれないが、選択肢4の明らかな誤りを判断できればよい。問4では、(注)をヒントに選択肢を吟味したい。
第4問
近世の身分と社会について調べた高校生のメモを素材に、近世の社会・文化を中心に問うている。問2では、近世の文化についての年代感覚が問われている。問3では、史料読解に加え、近世の百姓一揆についての理解が求められた。問4は、史料読解に加えて設問文に記された「1836年」を前提に判断する必要がある。問5では、近世の身分制について詳細な事項が問われ、判断に迷ったかもしれないが、旗本・御家人の身分上の区別を念頭に選択肢1を正文と判断したい。
第5問
ハワイと日本との関係史についての高校生の会話文を素材に、近代の外交を中心に問うている。問2では、史料の慎重な読解が求められている。問1では、海軍伝習所・ヘボンについて詳細な理解が求められ、判断に迷った受験生もいただろう。問3では、IIIの防穀令事件の判断が難しい。
第6問
日本における鉄道の歴史とその役割を素材に、近現代の政治・社会経済を問うている。問1では、昨年(第1日程)出題されなかった歴史用語だけの空欄補充問題が出題された。問2・3・6では、史料・表の読解と基本的な知識を組み合わせて正解を導きたい。問5では、図版だけでなく設問文に示された「1945〜55年」にも注目する必要がある。問7では、2000年代の小泉純一郎内閣が扱われたが、「国鉄の民営化」が中曽根康弘内閣の政策と判断できれば正解を導くことができる。
21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 |
64.3 | 65.5 | 63.5 | 62.2 | 59.3 |