地学 [分析] 2022年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
総合問題や会話文を取り入れた問題は出題されたが、レポート形式の問題は出題されなかった。
試行調査で扱われた、1つのテーマに沿って各分野の内容を問う総合問題が昨年(第1・2日程)に引き続き出題された。図を扱った問題は昨年の共通テスト(第1日程)に比べて増加したが、レポート形式の問題や、試行調査と昨年の共通テスト(第1・2日程)で出題された3つの事象の関係をグラフから読み取る問題が出題されなかった。また、チバニアンを題材とする最近の話題を扱った問題が出題された。
難易度
やや易化
基本知識を問う空欄補充問題が増加し、計算問題や考察問題が減少したため、難易度はやや易しくなった。
出題分量
解答するマーク数は30であり、昨年よりも1増加した。
出題傾向分析
教科書で扱われている「固体地球の概観」「固体地球の活動」「地球の歴史」「大気と海洋」「宇宙の構成」の5分野のすべてから出題されてい た。内容的にはセンター試験や昨年の共通テスト(第1日程)と同様に知識問題、 読図問題、計算問題がバランスよく出題された。 出題形式でみると、昨年の共通テスト(第1日程)に比べて計算問題が減少し、図選択問題が増加した。
2022年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 総合問題 | 17 | 5 | 20世紀初頭における地学的な発見 |
2 | 地球 | 20 | 6 | A 地球の構造 |
B 地磁気 | ||||
C 火山 | ||||
3 | 岩石・地質・地史 | 20 | 6 | A 変成岩 |
B 地質調査 | ||||
C 日本列島の土台の形成過程 | ||||
4 | 大気・海洋 | 20 | 6 | A 大気 |
B 海洋 | ||||
5 | 宇宙 | 23 | 7 | A 太陽や天体の動きと時刻 |
B 惑星の観測 | ||||
C 銀河と恒星 | ||||
合計 | 100 | 30 |
2021年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 総合問題 | 18 | 5 | 水と自然現象 |
2 | 地球 | 18 | 5 | A 地磁気 |
B 地震 | ||||
C 隕石や鉱物、地球 | ||||
3 | 地質・地史 | 21 | 6 | A 変成岩と造山帯 |
B 地質調査と古生物 | ||||
4 | 大気・海洋 | 23 | 7 | A 日本周辺の天候 |
B 海上を吹く風と海洋表層の流動 | ||||
5 | 宇宙 | 20 | 6 | A 銀河系と銀河 |
B 恒星と星団 | ||||
合計 | 100 | 29 |
設問別分析
第1問
20世紀初頭における5つの地学的発見に関連する総合問題であった。問1は、成層圏の発見に関連した、地球の大気圏の特徴に関する知識問題であった。問2は、HR図の概念の完成に関連した、恒星の特徴と性質に関する知識問題であった。問3は、地震波速度の不連続面の発見に関連した、P波の走時曲線を読解する考察問題であった。問4は、放射年代に基づく年代尺度の提示に関連した、放射性同位体の崩壊に関する知識をもとにグラフを選択する考察問題であった。問5は、マグマの分化に関する原理の提唱について、結晶分化作用と鉱物や化学組成に関する知識問題であった。
第2問
Aは、地球の構造に関する問題であった。
問1は、受験生が苦手とする重力異常に関する考察問題であった。問2は、地球内部におけるP波とS波の経路を問う知識問題であった。
Bは、地磁気に関する問題であった。問3は、最近の地学的な話題であるチバニアンを題材とする地磁気の要素を問う考察問題で、やや難しい問題であった。問4は、地磁気逆転の同時性から知ることができる事柄を選択する知識問題であった。
Cは、火山に関する問題であった。
問5は、火山の形状と火山噴出物の関係を問う知識問題であった。問6は、火山の噴火様式に関する知識問題であった。
第3問
Aは、変成岩に関する問題であった。問1は、岩石の写真と問題文から変成岩名を問う知識問題であった。問2は、広域変成作用の起こる場所と、日本の変成帯名を問う知識問題であった。
Bは、海洋調査によって得られた柱状試料に関する問題であった。問3は、示準化石とその条件を問う知識問題であった。問4は、有孔虫化石の酸素同位体比の経年的な変動と気候変動の連動に関する考察問題であった。問5は、酸素同位体比変動の周期に関連する現象を選択する知識問題であった。
Cは、日本列島の土台の形成過程に関する問題であった。問6は、問題文の「断続的に海洋側に向かって成長した」を手がかりに解答する考察問題であった。
第4問
Aは、大気に関する問題であった。問1は、凝結高度に関するグラフから露点を読み取り、凝結高度を計算する考察問題であった。問2は、大気の安定度に関する知識を活用して考察問題であった。問3は、雲の形成に関する知識問題であった。
Bは、海洋に関する問題であった。問4は、海水の密度と水温に関する知識問題であった。問5は、アイソスタシーの関係に基づいて計算する考察問題であった。問6は、地衡流に関する考察問題であり、海面の高さに注目すればよいことに気づくかがポイントである。
第5問
Aの問1は、太陽や天体の動きと時刻に関する知識問題であった。
Bは、惑星の観測に関する問題であった。問2は、地球から金星の公転軌道に接線を引いて西方最大離角の位置を求める考察問題であった。問3は、近年出題のなかった天球上の惑星の運動に関する考察問題であった。逆行は最接近時に起こることと地球の公転が火星よりも早いことから正答を選べばよい。
Cは、銀河と恒星に関する問題であった。問4は、銀河の構造と種類に関する知識問題であった。問5は、会話文の登場人物の推論に関する考察問題であった。銀河A、B、Dでは新しい恒星が生まれているという表現から正答にはなりにくいと考えればよい。問6は、恒星の進化に関する知識問題であった。問7は、恒星の明るさから等級を計算する考察問題であった。
21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 |
46.7 | 39.5 | 46.3 | 48.6 | 53.8 |