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化学 [分析] 2022年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報

昨年同様、基本的な知識に関する問題とともに、思考力を要する問題も出題された。

難易度

昨年並み

問題文やグラフから必要な情報を読み取ったり、正しいグラフを判断したりする思考力を要する問題が昨年同様にみられた。全体としての難易度は昨年並みであった。

出題分量

大問数5題、小問数は29であり、大問数は昨年(第1日程)と同じであるが、小問数が1問増加した。なお、計算問題は昨年より増加した。(小問数は、独立して点数が与えられる問いの数である)

出題傾向分析

第1問は物質の構成、物質の状態、第2問は物質の変化で、いずれも理論分野からの出題であった。第3問は無機物質、物質の変化、第4問は有機化合物、高分子化合物からの出題であった。第5問は、不飽和炭化水素のオゾンによる酸化反応を題材に、有機化合物に関する知識、反応熱、反応速度が総合的に問われている。なお、昨年(第1日程)はみられたグラフを作成する問題が、今年は出題されなかった。 第4問 問4のジカルボン酸の還元反応、第5問 問2のアルケンのオゾンによる酸化反応は、有機化合物に関する既習の知識を活用しながら問題文を読み解いて判断する問題であり、思考力・応用力が試された。

2022年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 20 6 電子配置、化学量、気体、非晶質、気体の溶解度
2 物質の変化 20 6 反応熱、電離平衡、反応速度と化学平衡、化学量、電池
3 無機物質、物質の変化 20 5 無機物質、化学反応と量的関係
4 有機化合物、高分子化合物 20 7 脂肪族化合物、芳香族化合物、異性体、天然高分子化合物、合成高分子化合物
5 有機化合物、物質の変化 20 9 不飽和炭化水素、アルケンの酸化の反応熱および反応速度
合計 100 33  

2021年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 物質の構成、物質の状態 20 6 金属元素、結晶の構造、物質の溶解と分子間力、気液平衡
2 物質の状態、物質の変化 20 5 光化学反応、電池、水の状態とエネルギー
3 物質の変化、無機物質 20 6 電気分解、金属元素、化学反応と量的関係
4 有機化合物、高分子化合物 20 6 芳香族炭化水素、油脂、アルコール、高分子化合物、ポリペプチド
5 天然有機化合物、物質の変化と平衡 20 6 グルコース、化学平衡、化学反応と量的関係
合計 100 29  

設問別分析

第1問

電子配置、化学量計算、混合気体、非晶質、気体の溶解度が出題された。
問1は、電子配置から元素を決める問題で、電子配置に関する基本的な知識が問われた。問2は、窒素化合物中の窒素含有率の計算であり、化合物のモル質量が与えられているので、比較的取り組みやすい。問3は、混合気体の組成比と密度の関係を考えるグラフ選択の問題であり、解法の道筋を見いだすのに苦労した受験生も少なくなかったであろう。問4は、非晶質の性質に関する正誤問題で、アモルファス合金の製法など細かい知識も問われた。問5は、気体の溶解度が出題され、aは温度による溶解量の変化、bは圧力による溶解量の変化が問われた。

第2問

化学反応と熱、電離平衡、反応速度と化学平衡、燃料電池が出題された。
問1は、化学反応や物質の状態の変化における熱の出入りに関する正誤問題であった。問2は、酢酸ナトリウム水溶液と塩酸の混合水溶液の水素イオン濃度を求める問題であった。反応後の酸が酢酸のみになることがポイントである。問3は、平衡状態における生成物のモル濃度を求める問題であり、平衡状態では正反応と逆反応の反応速度が等しくなることに着目して立式する。問4は、水素-酸素燃料電池に関する問題であった。aは、水素吸蔵合金が吸蔵することのできる水素の物質量を求める計算問題、bは、リン酸型燃料電池の供給物と排出物を決める問題、cは、外部回路に流れた電気量を求める計算問題であった。

第3問

無機物質の識別、化学反応の量的関係、アンモニアソーダ法が出題された。
問1は、ミョウバンと塩化ナトリウムを区別できない操作を問う問題であり、沈殿生成、塩の水溶液の性質、電気分解の知識が総合的に問われている。問2は、金属酸化物の組成式を決定する問題であり、グラフから金属と酸素が過不足なく反応する点を判断することがポイントであった。問3は、アンモニアソーダ法に関する問題であり、aでは、酸化物や塩の水溶液の性質が、bでは、アンモニアソーダ法の各段階での反応に関する理解が問われた。cは、塩化ナトリウムと炭酸カルシウムの反応量の関係を考える計算問題で、全体の化学反応式を書くことができれば解答できる。

第4問

天然有機化合物および合成高分子化合物を含む有機化合物の全範囲から出題された。
問1は、ハロゲン原子を含む有機化合物に関する正誤問題であった。問2は、フェノールから2,4,6-トリニトロフェノールが得られる過程で経由したニトロフェノールの異性体、ジニトロフェノールの異性体の数が問われた。最終生成物であるトリニトロフェノールのニトロ基の位置に着目して考えればよい。問3は、天然高分子化合物および合成高分子化合物に関する正誤問題であった。問4は、ジカルボン酸の還元反応に関する問題であり、aは、アジピン酸の還元反応を途中で止めたときに反応容器内に存在する3種類の化合物(ジカルボン酸、ヒドロキシ酸、2価アルコール)について、物質量の割合の時間変化を表すグラフの組合せを選択する。反応開始直後の反応容器内に存在する物質がジカルボン酸のみであること、十分な時間が経過したときに反応容器内に存在する物質のほとんどが2価アルコールであることに着目できたかがポイントである。bは、コハク酸の還元反応の途中段階で生じる化合物Yについて、完全燃焼の結果と炭素数から分子式を決定し、与えられた情報から構造を決定する問題であった。cは、与えられた4種類のジカルボン酸C5H8O4を還元して生成するヒドロキシ酸C5H10O3の構造異性体の数と、そのうち不斉炭素原子をもつものの数が問われた。

第5問

アルケンおよびその酸化反応を題材とした総合問題であった。
問1は、アルケンを含む不飽和炭化水素に関する正誤問題であり、炭化水素の構造についての理解が問われた。問2は、アルケンのオゾンによる酸化反応が題材であった。aは、アルケンの構造を決定する問題で、与えられた条件および反応後に生じたカルボニル化合物の反応性から考える。bでは、ヘスの法則をもとに、アルケンの酸化反応の反応熱を計算する。cでは、アルケンの酸化反応の反応速度を、グラフを読み取って求める。dは、アルケンの酸化反応について、複数の実験データから反応速度式を決定したうえで反応速度定数を求める問題であった。

過去の平均点の推移

21年度 20年度 19年度 18年度 17年度
57.6 54.8 54.7 60.6 51.9