物理 [分析] 2022年度大学入学共通テスト速報 | 大学入試解答速報
仮説を検証する見慣れない問題や、文章から論理的に考察する問題が増加した。
第2問は、問題集に載っているような典型的な問題ではなく、与えられたグラフと物理量の変化から論理的に考察しないと正解できない。また、大問のA、B分けが無くなり、第4問で原子分野からの出題があった。
【ズバリ的中】<本試験>第1問 問2⇒<河合塾教材>冬期講習 共通テスト攻略物理 第3講 第3問A 問2
難易度
やや易化
扱っている現象を、公式に適用して計算するのではなく、物理量の変化に注目して、基本原理から論理的に考察する問題が多く見られた。一方で、典型的ですぐに方針が思いつく問題も出題されたため、難易度はやや易しくなった。
出題分量
マーク数は3つ減り、設問数も1つ減った。組合せ問題の数は2つで、昨年より減った。しかし、設問毎に考察する分量が多くなった問題もあり、全体として時間的な余裕はなかったであろう。
出題傾向分析
大問構成は、小問集合、力学、電磁気、原子の4題で、大問のA、B分けがなくなった。大問として波動と熱分野からの出題がなかった。また、大問の2つが実験をテーマにしている問題であった。
2022年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 25 | 6 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 30 | 7 | 運動の法則、運動量と力積 |
3 | 電磁気 | 25 | 8 | 電磁誘導、電流と磁場 |
4 | 原子 | 20 | 4 | 原子の構造、エネルギー準位 |
合計 | 100 | 25 |
2021年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 25 | 5 | 各分野の基本問題 |
2 | 電磁気 | 25 | 12 | A 抵抗とコンデンサーを含む直流回路 |
B 磁場中を運動する導体棒の電磁誘導 | ||||
3 | 波動・原子 | 30 | 7 | A ダイヤモンドが輝く原理 |
B 蛍光灯が光る原理 | ||||
4 | 力学 | 20 | 4 | 放物運動と衝突 |
合計 | 100 | 28 |
設問別分析
第1問
さまざまな分野からの小問集合。問1は、水面波の干渉の問題。2波源が逆位相で振動していることに注意が必要である。問2は、凸レンズによる倒立実像は上下だけでなく、左右も逆になることがポイントである。問3は、剛体のつり合いの問題。力のモーメントのつり合いを、どの点まわりで立式すれば解きやすいかを考える必要がある。問4は、断熱膨張で気体の温度が下がることに気づくことがポイント。問5は、平行電流間にはたらく力の問題。右ねじの法則とフレミングの左手の法則を用いる必要がある。
第2問
「物体の速さは受ける力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する」という仮説に対して、実験をしてその仮説が誤りであることを示す問題。探究の過程を問う共通テストらしい出題である。仮説が事実と異なるので、問題の意図を正しく汲み取ることに戸惑った受験生が多かったであろう。問1は、仮説の内容を正しく表したグラフを選ぶ。問3は、実験2では一定の力で引いているにもかかわらず、速さが時間変化していることを誤りの根拠とする。問4は、運動量の変化は力積と等しいので、運動量−時刻グラフの傾きは力の大きさであり、ア、イ、ウの傾きはすべて等しい。問5は、打ち上げられた直後、小球は鉛直上向きだけではなく水平右向きにも速度成分をもっていることに注意して、運動量保存則を考える。問6は、水平方向に運動量は保存しているが、力学的エネルギーは衝突によって減少している。
第3問
台車に固定された棒磁石が複数のコイルの中を通過する電磁誘導の問題。オシロスコープによる電圧の測定結果において、1つのコイルを通過する間に電圧は正から負に、または負から正に変化し、電圧が0で一定の間は2つのコイルの間を通過している。問3では、誘導起電力が発生する時間間隔は変化しないが、誘導起電力が大きくなるので、磁石の磁気量が大きい。問5では、台車が速くなるのに伴って単位時間当たりの磁束の変化が大きくなるので、誘導起電力が大きくなっていく。難しい知識は必要なく、誘導起電力の大きさと向き、2つのコイルの間を通過する時間を、丁寧に確認しながら解くことがポイントになる。
第4問
ボーアの水素原子モデルについての問題。問1は、等速円運動の速度についての基本的な知識を問うている。等速円運動では速さは変化しないが、速度は変化することに注意したい。問2は、水素原子中の電子と陽子の間にはたらく万有引力と静電気力の大きさを比較させる問題で、表の物理定数を用いて計算する。問3は、電子のエネルギー準位を求める問題。運動方程式を用いて速さを消去した形に変形してから半径を代入することがポイント。問4は、振動数条件を考えればよい。
21年度 | 20年度 | 19年度 | 18年度 | 17年度 |
62.4 | 60.7 | 56.9 | 62.4 | 62.9 |