河合塾
2019年度大学入試センター試験 分析
【国語】

特に古文が解きやすくなり、国語全体でも易しくなった。

<現代文>第1問(評論)は、翻訳についてのさまざまな見解や、自身の経験も踏まえながら、翻訳家が直面する困難について論じたものである。第2問(小説)は、昭和15年に発表された作品の一節からの出題。2016年度、2017年度と同様、やや古い時代の小説である。
<古文> 近年のセンター試験の中では、易しい部類の問題文・設問であった。
<漢文>2018年度に続いて、中国の文章からの出題であった。語の読みの問題は、昨年と同じく出題されなかった。

難易度 易化
<現代文>第1問(評論)は、文章量が400字程度減少し、本文も比較的読みやすいものであり、設問も問1〜問4は素直で解きやすかった。問5・問6はやや紛らわしい選択肢もあったが、全体としては昨年より易しかった。第2問(小説)も全体的に易しめで、特に問1(語句の意味を問う問題)は易しい。
<古文> 昨年は歌論で読みにくかったが、今年は問題文自体が読みやすく、選択肢も例年に比べ全体的に短く、素直なものばかりで、判断に迷う設問は少ないと思われる。
<漢文>本文は具体的な内容であったが、(注)の項目数、文字数とも多く、制限時間内で本文を正確に読み解くのは、それ程容易ではない。

出題分量
<現代文>第1問(評論)は、昨年に比べ400字程度減少したが、それでも4000字を超えており、手際よく問題を解くことが要求される。第2問(小説)は、本文の分量がやや増えた。
<古文>第3問は、本文量が1700字ほどで、昨年より約400字増加した。
<漢文>第4問は、本文が185字で2字減少、設問数が7で1問増であったが、マーク数は昨年と同じ8であった。

出題傾向分析
<現代文>第1問(評論)は、昨年出題された図(写真)つきの本文は出題されなかった。「生徒の話し合い」を踏まえた設問は、今年も出題されたが、昨年のような空欄補充という形式はとらなかった。第2問(小説)はほぼ従来どおりの出題傾向であった。
<古文> 中世に書かれた物語である『玉水物語』からの出題で、狐が美しい姫君に恋をし、娘に化けてそばに仕える話であった。例年、物語が出題された場合は登場人物の心情が問われているが、今回も主人公の狐の心情や振る舞いの意図などが中心に問われている。昨年は本文に和歌がなかったが、今年は、姫君と娘(狐)との連歌と、姫君が詠んだ和歌があり、問6に関わっている。
<漢文>唐代の詩人杜甫が叔母の死を悼む文章が出題された。実の子以上に杜甫を大切にしてくれた叔母に対する「孝」と「情」を綴った文章である。段落分けがされているものの、人物の関係性が捉えにくい。設問は、語の意味、書き下し文と解釈、理由説明、内容説明など標準的な出題であったが、語の読みは出題されなかった。また、訓読の問題では、昨年と同じく、原文に返り点をつけた選択肢は提示されなかった。

 

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