河合塾
2016年度大学入試センター試験 分析
【国語】
読みやすい文章からの出題で、昨年より易化。
<現代文>第1問(評論)は、キャラを演じる現代の若者について論じた文章が出題された。問5は本文の読後感を話し合う生徒の発言から本文の趣旨に近いものを選ぶものであった。こうした設問形式は1996年度に出題されて以来であり、戸惑った受験生もいただろう。第2問(小説)は、昨年と同様、全体的に取り組みやすい出題である。
<古文>1990年度にセンター試験がはじまって以来、まれにみる易しい問題であった。(センター試験国語Iをのぞく)
<漢文>本文に返り点も送り仮名もともに省略されている箇所があった。また、2つの語句の具体的な指示内容を対比的に捉える設問が出題された。
難易度 易化
<現代文>第1問(評論)は、受験生に身近な話題を論じたものであり、読みやすい文体で、文章量も減少した。設問も取り組みやすく、昨年より易化した。第2問(小説)は、全体に本文をきちんと読んで丁寧に解けば正解の得られる問題が多く、その意味で解きやすい問題だといえる。
<古文>本年は説話集の『今昔物語集』で、昨年の擬古物語よりも読みやすかった。さらに、選択肢も正誤がはっきりしており、選びやすくなっている。
<漢文>返り点の省略箇所が設けられたため、当該箇所はやや難化したと言えるが、テーマは捉えやすく、読み取りにくい文章ではなかった。
出題分量
第1問(評論)の本文量は、4000字を超えた昨年に比べて600字程度減少した。設問数・マーク数は、ともに変わらない。第2問(小説)は、本文量は昨年とほぼ同じ。設問数も昨年と同じであり、各選択肢の長さも昨年とほとんど変わっていない。第3問(古文)は、本文量は約1700字で、去年より約500字増加した。設問数・マーク数は昨年と同じ。第4問(漢文)は、本文量が192字で15字減少、設問数は昨年と同じだが、マーク数は1つ減少して8つ。
出題傾向分析
<現代文>第1問(評論)は、昨年同様、受験生に身近な話題を論じた現代的な評論が出題された。昨年の問6は、8択で不適当なものを2つ選ばせる問題であったが、今年は2つの枝問に分けて問うという従来型にもどった。第2問(小説)は、昨年は現代の小説であったが、今年は1950年代に発表された小説が出題された。現代の受験生にとってはなじみにくい情景を描いたものではあるが、設問はおおむね素直であり、本文を丁寧に読んで選択肢と照合すれば、正誤の判定はしやすかったと思われる。問6は「適当でないもの」を選ばせる問題となった。
<古文>本文は、平安時代後期の説話集『今昔物語集』からの出題で、1997年度国語Iと同じ出典である。京で暮らす男が、鬼の行列に出会い、鬼に唾をかけられたことで周りの人々には姿が見えなくなってしまうが、観音の御利益によって、元に戻るという話である。昨年、和歌は本文に2首あり、設問にもなっていたが、今年は本文にも設問にもなかった。
<漢文>幼い時に母を亡くした人物が、後に夢で母に会い、それを題材として描いた絵を携えて筆者のもとを訪れた。絵を見た筆者が、その経緯と、子の母を慕う気持ちについて述べた文章が出題された。語の意味、返り点の付け方と書き下し文、解釈、内容説明、筆者の考えの説明など、基礎知識をふまえた標準的な設問が中心であったが、問6と問7の説明問題は、当該箇所を直訳しただけでは解きにくい。
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