河合塾
2014年度大学入試センター試験 分析
【国語】

〈現代文〉第1問(評論)は、日本の近世社会で漢文学習の果たした役割を、中国における古典文の有り様を引き合いに出しつつ論じたもの。昨年の小林秀雄とは異なり、現在活躍中の著者による文章からの出題。単に傍線部そのものについて問うだけでなく、傍線部が本文において果たす役割を問うなど、幅広い読解力と柔軟な思考力を要する設問が増えた。 第2問(小説)は、岡本かの子が昭和13年に発表した短編小説の全文。一昨年以来、大正〜昭和初期の文章の出題が続いている。字数は約5200字と非常に長いが、昨年に比べれば読みやすい。
〈古文〉本文は有名出典『源氏物語』(夕霧の巻)からの出題であった。頻出の和歌の問題、表現の問題が出題されなかった。
〈漢文〉河合塾の2013年度夏期講習「東大国語」「東大古典」で使用した文章が出題された。




難易度 昨年並み
〈現代文〉第1問(評論)は、受験生にとってはやや馴染みのない話題であったろうが、論旨は明快であり、取り組みやすかったと思われる。全体としては、昨年に比べてやや易化。
第2問(小説)は、昭和初期の文章ではあるがさほど読みにくくはなく、正解も本文の内容に即しているが、特に問6に顕著なように、解答の根拠をさがすのに手間がかかったと思われる。
〈古文〉本文は平安時代の典型的な文体で、昨年同様受験生にとっては読みづらいものであり、さらに、登場人物の発言内容を正しく読み取ることが難しい。また、問5と問6は正解を選びにくいこともあって、全体では、難しかった昨年と同程度の難易度である。
〈漢文〉本文の分量、設問数、マーク数とも減少したが、返り点や送り仮名の省略箇所が増えたことに加え、受験生にとってなじみのないテーマの随筆であり、昨年よりやや難化した。


出題分量
第1問(評論)の本文量は、昨年度と比べ500字程度減少した。設問数、マーク数は、ともに変わらない。第2問(小説)は、本文量が昨年よりも約1100字増加。設問数・マーク数は昨年と変わっていない。第3問(古文)は、本文は60字ほどの増加。設問数・マーク数は昨年と同じ。第4問(漢文)は、本文量が184字で14字減少。設問数、マーク数とも1つ減少。

出題傾向分析
〈現代文〉第1問(評論)は、現在活躍している著者の評論から出題された。設問の出題形式は基本的にはこれまでの傾向を踏襲している。しかし、問2に代表されるように、幅広い文脈理解を要する設問があった。第2問(小説)は、全体としては素直な出題だといえる。ただし、選択肢の長さが3行になっている問題が二つあった。
〈古文〉平安時代の作り物語からの出題。本文は、三条殿(「雲居雁」)が、夫である大将殿(「夕霧」)の不義に衝撃を受け、実家に帰った場面である。大将殿が、三条殿を迎えに行き、そこで二人の間に交わされる発言が中心に描かれている。昨年と違って、本文に和歌もなく、設問にもなっていなかった。ここ3年連続した表現の問題も出題されなかった。
〈漢文〉江南で一般に食されるタケノコの話題をとりあげて、荘子の「無用の用」という考え方について述べた文章。味のよいタケノコは人が好んで食するので竹としての生命をまっとうできないが、味のよくないタケノコは人が見向きもしないのでかえって竹としての生命をまっとうできるというところに、筆者は「無用の用」という考え方を見出している。テーマ自体が受験生にはわかりにくいうえ、返り点や送り仮名の省略箇所の多い後半の内容は、特に読み取りが難しい。タケノコの話題と「無用の用」というテーマの関係を正しく捉えられるかどうかがポイントである。


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