河合塾
2011年度大学入試センター試験 分析
【国語】

〈現代文〉第1問(評論)は、「暮らし」のなかで人々が身の回りの空間とどのように関わるのかについて論じた文章であった。第2問(小説)は、海辺でひとり暮らしをする老女を主人公にした作品であった。
〈古文〉本文は軍記物語で、有名出典からの出題であった。約1800字の長文であるが、全体としては取り組みやすかった。
〈漢文〉問5では内容理解に基づいて空欄を補充する新しい趣向が見られた。




難易度 昨年並み
〈現代文〉第1問(評論)は、本文量が増加したものの、昨年よりも読みやすい文章であったこともあって、受験生には取り組みやすいものであった。第2問(小説)は、設問によって正解の精度にばらつきがあるため、全体的な整合性という観点にこだわった生徒にとっては、かなり解きにくかったのではないかと思われる。
〈古文〉本文は昨年よりいくぶん長くなったが、内容は理解しやすかった。そのうえ、設問も素直なものが多く、また、これまで頻出だった和歌が、本文にも設問にもなかった。
〈漢文〉本文の分量は208字で昨年より37字増えた。本文の字数が増加したうえに、内容もやや難解な学問論で読みやすいとは言えず、設問には紛らわしい選択肢もあり、全体として昨年と変わらず難しい。

出題分量
第1問(評論)は、本文が昨年と比べ600字強増加した。設問数・マーク数は、昨年と同じ。第2問(小説)は、本文量が昨年よりやや増加したが、設問数・マーク数は昨年と同じ。第3問(古文)の本文は140字程度の増加。設問数・マーク数は昨年と同じ。第4問(漢文)は、本文量が208字で37字増加。設問数は昨年と同じ。マーク数は1増加。

出題傾向分析
〈現代文〉第1問(評論)は、大学入試で頻出している鷲田清一の文章からの出題であった。第2問(小説)は、前半は読みやすいものの、最後の場面は多様な解釈が可能であるため、この場面に関わる問題が解きにくい。
〈古文〉中世の軍記物語からの出題。保元の乱で勝利した側の源義朝が、敗北した側の父為義の命を奪おうとする場面である。子が親の処刑を強いられた悲劇を背景として、子と親、家臣同士の心情の葛藤を描いている。例年と変わって和歌に関する設問や内容合致問題がなかった。2006年度に新課程になって以来、和歌に関する設問がなかったのは2008年度のみであり、内容合致の設問が出題されなかったのは初めてである。また、2008年度本試験にも見られた、本文の表現に関する設問が出題された。それ以外の設問は例年と変わらなかった。
〈漢文〉学問について、「遜」と「敏」という学びの態度を取り上げて論じた文章である。文脈の理解を問う設問がほとんどだが、本文自体がなじみにくい内容の学問論であり、取り組みやすい問題ではない。しかも選択肢にも紛らわしいものが多い。

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