河合塾
2010年度大学入試センター試験 分析
【国語】

〈現代文〉第1問(評論)は、昨年より本文量が1000字程度減少した。本文・設問ともに難易度は昨年並みだが、本文量が少なくなって時間的余裕ができたこともあり、若干解きやすくなった。第2問(小説)は、思春期の少年を主人公にした小説。
〈古文〉問題文は、文字数が昨年より120字ほど減少はしたが、1630字ほどの長文で、そのうえ和歌が6首含まれており、そのすべての趣旨にかかわる設問があった。内容合致の問題が例年は8点であるが、今年は6点であるなど、配点が従来とは異なっていた。'08年の河合塾冬期講習「センター試験完全攻略古典」で使用された問題文とほぼ同一箇所からの出題であった。
〈漢文〉問3では比喩の読み取りが問われたが、表を示して考えさせる新しい趣向が見られた。問5では、五言律詩が現代語訳付きで掲載され、詩の鑑賞が問われた。昨年と比べて答えを選びにくい。




難易 やや難化
〈現代文〉第1問(評論)は、本文量が大幅に減少したことで、昨年と比べ設問を解く時間にゆとりがうまれた。第2問(小説)は、易しい設問と答えの決まりにくい設問との差が大きいが、全体的な難易度は昨年並みであろう。
〈古文〉本文が長いうえに、昨年よりも読みにくかった。和歌は6首あり、昨年の倍になっている。本文を最後まで読み通さなくては、正解の根拠が確かめられない設問が3問あり、増加している。全体として、文法や単語といった基礎知識だけでは正解できないものが多く、難化。
〈漢文〉本文の分量は171字で昨年よりやや短いが、設問に五言律詩が現代語訳付きで引用された。本文の内容は詩論で読みやすいとは言えず、設問には紛らわしい選択肢もあり、全体としてやや難化。


出題傾向分析
〈現代文〉第1問(評論)は、資本主義の本質やその歴史的変遷を取り上げることで、そこから人間が疎外されていることを論じた文章からの出題であった。第2問(小説)問4は受験生を混乱させる問題だと思われる。
〈古文〉中世の擬古物語からの出題。恋の思いに動かされることのなかった恋路大将が、偶然見た姫宮に心ひかれてその気をひこうとする経緯を、和歌の贈答を交えて物語る内容。和歌に関する説明や、心情説明、内容合致など、設問の傾向は例年と変わりなかった。
〈漢文〉杜甫の詩を題材に、学問・文芸を修める場合、高い目標を選択してわかりやすいものから始めれば順調に上達できることを論じた文章である。比喩の読み取りや漢詩の鑑賞が問われ、受験生にとって解きやすい問題ではない。文脈読解を重視する傾向に変わりはないが、選択肢には紛らわしいものがある。

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