河合塾
2008年度大学入試センター試験 分析
【国語】
<現代文>
第1問(評論)は、筆者が事例を挙げたり他文献を取りあげたりする意図を、二つの選択肢群に分けて問うという形式が新しい。なお、昨年と比べ本文の字数が大幅に減少した。
第2問(小説)は、追試験も含めて3度目となる夏目漱石の出題である。
<古文>
内容に関わる空欄補充は、1992年「来目路の橋」以来、文学史に関わる設問は2002年「松しま日記」以来の出題。長年にわたって問われていた和歌に関する設問がなかった。
<漢文>
やや難解な評論文が出題された。
難易 やや易化
<現代文>
第1問は、本文の難度は昨年並みだが、本文量が大幅に減少したため、全体としてはかなり取り組みやすくなった。
第2問は、昨年の問題に比べれば、解答の根拠が明確であり、やや易しくなったといえよう。
<古文>
設問の傾向がかなり変化し、選択肢にも紛らわしいものがあったが、問題文は短くなり、読みやすい内容だったので、全体としては昨年並み。
<漢文>
本文の分量は181字と昨年より増加した。また、本文内容・設問ともに昨年よりやや難化した。
出題傾向分析
<現代文>
第1問はここ4年芸術論からの出題が続いたが、今年は、近代的な均質空間と日本の伝統的な「奥行き」をもつ空間とを対比させ、後者の特性を論じた文化論から出題された。なお、問6でも問題になっているように、事例や他文献からの引用が数多く取り上げられている点が目を引く。
第2問では、最近の小説ではなく明治期の作品が出題された。古風な文体によって作中人物の内面が分析的に描かれており、その点で読みにくいと感じた受験生も少なくなかったろう。
<古文>
昨年の擬古物語から一転して、説話的な内容の近世文(仮名草子)になった。旅人が立ち寄った家の妻が、実際は亡霊であったという怪談。設問も、従来とは傾向を変え、内容に関する空欄補充問題や、問題文の表現および文学史に関わる問題が出題された。長年にわたって出題された、和歌に関する設問がなかった。
<漢文>
明代の評論で、絵画の描き方を引き合いに出して学問の正しいあり方を論じた文章である。「経」と「訓詁」の関係が扱われており、受験生にとってはわかりにくい。文脈把握を重視する傾向は変わらないが、高度な読解力を要求する設問がいくつかあり、本文の内容を正確に把握できないと高得点は見込めない。
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