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倫理,政治・経済 [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報

全体の設問数が昨年よりも増加。図表問題の数も増えている。

倫理分野の設問は昨年よりも1問増えた。倫理分野ではグラフ資料の読み取り問題が3年ぶりに出題され、政治・経済分野では図表を用いた問題が昨年よりも2問増えた。

難易度

昨年並み

倫理分野は、基本的知識や理解を問う設問と資料や本文の読解力を問う設問がバランスよく出題されている。政治・経済分野では、学習上見落としがちな事柄が問われ、やや判断に迷う問題がみられた。

出題分量

大問数は昨年と同じ。全体の設問数は昨年よりも1増の37となった(倫理分野の設問数は昨年よりも1増の19、政治・経済分野の設問数は昨年と同じ18)。

出題傾向分析

昨年に続き、倫理分野、政治・経済分野ともに、概ね教科書の範囲内の知識で対応できる設問と、論理的思考力や読解力を必要とする設問で構成されていた。倫理分野では、人工知能(AI)やノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイなど、近年注目を集めたトピックスが扱われていた。政治・経済分野においても、持続可能な開発目標(SDGs)や取調べの可視化など、時事的動向を意識した出題がみられた。

2020年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 現代社会の諸課題と青年期 14 5
2 日本の思想・源流思想 18 7
3 西洋の近現代思想・源流思想 18 7
4 「平等」の実現に関する課題 22 8
5 経済成長と地球環境問題 14 5
6 自由民主主義の原理と制度 14 5
合計 100 37

2019年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 現代社会の諸課題と青年期 14 5
2 日本の思想・源流思想 18 7
3 西洋の近現代思想・源流思想 18 6
4 政治・経済総合 22 8
5 日本国憲法の人権保障と統治機構 14 5
6 経済発展に伴う諸問題 14 5
合計 100 36

設問別分析

第1問

「友達関係」をめぐる会話文をもとに、現代思想や現代社会の諸問題などから出題された。クワイン(解答番号1)は、受験生にとっては見落としがちな思想家であり、難しく感じたかもしれないが、「ホーリズム」の内容を知らなくても、文章を丁寧に読むことによって正解できるものであった。

第2問

「伝統とは何か」をテーマとした本文をもとに、日本思想分野と東洋源流思想分野から幅広く問われた。大乗仏教(解答番号6)や古神道(解答番号7)、山鹿素行(解答番号9)についての出題は、それぞれ的確な理解を要するため、やや難しいものであった。

第3問

「身体と理性」をテーマとした本文をもとに、源流思想を含む西洋思想分野から幅広く問われた。キリスト教(解答番号13)についての出題は、的確な理解を要するため、やや難しかった。カントとヘーゲル(解答番号17)についての出題は、不慣れな用語が用いられていることや思想史の的確な理解が必要なことから、正誤の判断がやや難しいものであった。

第4問

「平等」の実現に関する課題をテーマに、支配の正当性、アダム・スミスの思想、市場の機能や限界、消費者問題、民間の労働者に関する日本の法制度、需給曲線の読み取り、地方自治、難民受入れについて出題された。問1で問われた支配の正当性に関するウェーバーの思想は、受験生にはなじみの薄い事項であったと考えられる。問4で問われた消費者団体訴訟制度や、問8で問われた日本の難民条約の加入時期は、やや細かい知識である。

第5問

「宇宙船地球号」という視点から、発展途上国の経済成長と地球環境問題との関係を論じた本文をもとに、公共財の性質、発展途上国の経済、二国間貿易の為替による決済の仕組み、企業の資金調達の日米比較、世界の政府開発援助(ODA)の実績が出題された。外国為替の仕組みに関する問3は、2012年度の「政治・経済」の解答番号11とほぼ同じ内容の出題であった。

第6問

自由民主主義に関する本文をもとに、選挙制度、大衆民主主義、日本における司法権監視、国民の自由や権利をめぐる状況など、政治にかかわる事項が幅広く問われた。違憲審査権の積極的な行使を求める根拠となる考え方を問う問1は、論理的な判断力が問われている(類題が2014年度の「倫理、政治・経済」の解答番号38にみられる)。日本における司法権監視の仕組みについて問う問4では取調べの可視化に関する時事的事項が出題された。

過去の平均点の推移

19年度 18年度 17年度 16年度 15年度
64.2 73.1 66.6 60.5 59.6