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日本史B [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報

昨年度出題されなかった図版を利用した問題が復活した。

戦後史単独の設問が4問から1問に減少し、その設問も農地改革を問うものであった。

難易度

昨年並み

小問間の難易度の差はあるものの、全体には標準レベルの問題になっている。受験生が苦手とする文化史が微増したが、戦後史が大幅に減少しており、昨年度に比べ大きな変化はない。

出題分量

大問数・マーク数ともに昨年度と同じ。

出題傾向分析

分野・形式面は昨年度とほとんど変化はない。昨年度は出題されなかった図版を利用した設問が3問出題された。しかし、地図・統計資料(表・グラフ)を利用した設問は今年度もまったくみられなかった。文字史料の読解問題は昨年度と同じく4問であった。扱われている史料は、やや難解なものが多く、丁寧な読解が求められている。知識だけではなく、歴史資料をもとに考察させようとする姿勢が今年度も維持されたといえよう。過去のセンター試験の問題と類似した設問・テーマもみられ、過去問演習を中心にしっかりと学習した受験生は高得点が可能である。

2020年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 古代〜近代の教育と知識の蓄積 16 6
2 古代国家の辺境支配 16 6
3 中世の入浴と浴室の歴史 16 6
4 中世末〜近世の銀と鉄 16 6
5 幕末〜明治前期の民衆運動 12 4
6 近現代の風刺漫画 24 8
合計 100 36

2019年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 地名から探る日本の歴史 16 6
2 原始・古代の歴史研究と資料 16 6
3 中世の政治と社会 16 6
4 近世の社会・政治・文化 16 6
5 近世・近代における公家と華族 12 4
6 近現代の日米関係 24 8
合計 100 36

設問別分析

第1問

3年連続の会話形式であった。Aの会話文では学校教育の歴史などを取りあげ、Bの会話文では歴史を学ぶ意味などを問いかけつつ、総じて知識の蓄積や偏りのない幅広い知識を身につけることの重要性を説いている。設問は、複数の時代をまたぐ問題などを用いて古代から近代を総合的に問う形をとっている。問2は図版を利用した問題であり、難しくはない。問6では史料読解を含む問題がみられた。全体的にはやや易レベルの問題である。

第2問

古代国家の辺境支配をテーマに、原始・古代を総合的に問うている。Aでは律令国家の東北・九州南部の支配を、Bでは蝦夷の抵抗と蝦夷を統治下におくことの意味を取りあげている。問3では国府と城柵の遺構を描いた図版を利用した問題が出題されたが、読解は容易である。問6では史料読解問題がみられた。「注」に着目すれば正解できる問題ではあるが、丁寧な読み取りが求められている。問4の志波城など、センター試験としてはやや難易度の高い用語も問われているが、全体的には標準レベルの問題である。

第3問

中世の入浴と浴室の歴史をテーマに、中世を総合的に問うている。Aでは寺院の浴室から寺院以外へと浴室が広がっていく動向を、Bでは湯屋の地域社会への浸透や温泉の発展といった動向を取りあげている。テーマは特殊であるが、設問には一切反映されておらず、入浴・浴室に関する出題はまったくなかった。問2では史料読解問題がみられた。多くの教科書に掲載されている著名な史料であるが、読解はやや難しい。全体的には標準レベルの問題である。

第4問

中世末から近世における銀と鉄の生産・流通をテーマに、近世を中心に総合的に問うている。Aでは、灰吹法の導入など銀をめぐる動向が、Bでは、たたら製鉄をめぐる動向が扱われた。問6では史料読解問題がみられた。受験生にとっては馴染みがない史料であり、「注」に着目し、丁寧に読み取れば正解できる問題ではあるが、難しく感じた受験生も少なくなかったであろう。全体的には標準レベルの問題である。

第5問

幕末から明治前期の民衆運動を取りあげ、当該期を総合的に問うている。問3は年代配列問題であるが、Iが「困民党」から自由民権運動期の秩父事件と判断できれば難しくはない。問4は選択肢2の二科会が大正時代の創立なので誤りであるが、近代文化は受験生の多くが苦手とする分野であり、やや難易度が高い。全体的には標準レベルの問題である。〈日本史Aの第2問との共通問題〉

第6問

近現代の風刺漫画を取りあげ、近現代を総合的に問うている。Aでは『東京パック』などを題材に明治期の動向を、Bでは大正デモクラシーの風潮が風刺漫画に影響を与えた点などを、Cでは総力戦体制の中での国策漫画や戦後改革期の権力風刺の漫画の復活を取りあげている。問8では戦後の風刺漫画を利用した図版の読解問題がみられた。全体的には標準レベルの問題である。〈日本史Aの第4問との共通問題〉

過去の平均点の推移

19年度 18年度 17年度 16年度 15年度
63.5 62.2 59.3 65.6 62.0