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日本史A [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報

移民やエネルギー資源など、現代社会の諸問題を反映したテーマが出題された。

史料・統計資料・図版(風刺漫画)のほか、昨年は見られなかった地図も使用された。
幕末からは、日米修好通商条約・貿易統制(五品江戸廻送令の内容)・「ええじゃないか」が出題された。

難易度

昨年並み

一部に判断に迷う内容も見られるが、大半は基本事項からの出題であった。

出題分量

大問数は5題、マーク数は32で、昨年同様だった。

出題傾向分析

第1問は、例年通り、会話文を用いた問題であった。
日本史Bとの共通問題も昨年と同様に2題であった。
時代では、明治時代が減少し、大正・昭和戦前期が増加した。
分野では、社会経済史が増加し、政治史が減少した。
出題された最も古い時期は日米修好通商条約であり、最も新しい時期は1997年の京都議定書であった。

2020年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数
1 近現代の移民・在日外国人と日本人 20 6
2 幕末〜明治前期の民衆運動 12 4
3 近代の都市 19 6
4 近現代の風刺漫画 24 8
5 近現代日本のエネルギー資源の調達と利用 25 8
合計 100 32

2019年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数
1 歌(合唱)をめぐる近現代の日本 20 6
2 近世・近代における公家と華族 12 4
3 小林清親の人物史 19 6
4 近現代の日米関係 24 8
5 近現代の港湾 25 8
合計 100 32

設問別分析

第1問

市役所の職員の会話文を使用した問題であった。Aでは、現在の移民などをテーマとし、アメリカ移民・満州移民、条約改正、内地雑居などを問うている。Bでは、近代の植民地出身者をテーマに、お雇い外国人、大日本帝国憲法下の「臣民」、日本への領土返還などを問うている。問1の文Xは、アメリカへの移民が「全面的に」禁止されたか否かの正誤判断が求められており、難しい。問6では戦後の日本への領土返還の年代順を地図を用いて問うているが、IIは「沖縄」の代表として石垣島が示されており、IIIの奄美大島とともに、判断が難しい。そもそも、この形式の設問では、特定の島を示すのではなく、当該地域の範囲を示すべきではないだろうか。全体的には標準レベルの問題である。

第2問

幕末から明治前期の民衆運動を取りあげ、当該期を総合的に問うている。問3は年代配列問題であるが、Iが「困民党」から自由民権運動期の秩父事件と判断できれば難しくはない。問4は選択肢2の二科会が大正時代の創立なので誤りであるが、近代文化は受験生の多くが苦手とする分野であり、やや難易度が高い。全体的には標準レベルの問題である。<日本史Bの第5問との共通問題>

第3問

Aでは、中央集権と地方自治をテーマに、東京・大阪・京都や都市の民衆の政治運動などを問うている。Bでは、都市の拡大・人口増加をテーマに、女性の社会進出や学問・芸術、大正期の都市化の状況などを問うている。問2は京都議定書に関して述べた選択肢4が正解であり、受験生の学習が及びにくい範囲であるが、選択肢1・選択肢2・選択肢3が明らかな誤りと判断でき、正解を得ることはさほど難しくない。問6の選択肢2は、文化住宅の用語だけでなくその特徴も理解しておかなければならない。全体的には標準レベルの問題である。

第4問

近現代の風刺漫画を取りあげ、近現代を総合的に問うている。Aでは『東京パック』などを題材に明治期の動向を、Bでは大正デモクラシーの風潮が風刺漫画に影響を与えた点などを、Cでは総力戦体制の中での国策漫画や戦後改革期の権力風刺の漫画の復活を取りあげている。問8では戦後の風刺漫画を利用した図版の読解問題がみられた。全体的には標準レベルの問題である。<日本史Bの第6問との共通問題>

第5問

Aでは、戦前の石炭・石油の調達をテーマに、明治期の経済政策、日ソ関係などについて問うている。Bでは、戦後の石炭産業をテーマに、傾斜生産方式、鳩山一郎内閣、ラジオ・テレビ放送などについて問うている。Cでは、戦後の石油輸入をテーマに、輸入先・輸入量や石油危機について問うている。問7では統計資料が使用されており、日本軍が占領していた地域や冷戦下の東西陣営に関する知識が求められている。問5では、選択肢1の国鉄民営化、選択肢2の消費税導入、選択肢4の日韓基本条約の時期・内閣を知っておく必要がある。全体的には標準レベルの問題である。

過去の平均点の推移

19年度 18年度 17年度 16年度 15年度
50.6 46.2 37.5 40.8 45.6