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地学 [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報

図やグラフを読み取って、計算や考察する問題が増加した。

2015年度以来となる正誤8択の問題が出題された。

難易度

やや難化

基礎的な知識で解ける問題が出題される一方で、広範かつ詳細な知識と図の読み取り、またはそれらを組み合わせた問題が増加したため、全体としてはやや難化した。

出題分量

解答するマーク数は30であり、昨年と同じであった。

出題傾向分析

教科書で扱われている「固体地球」「岩石・鉱物」「地質・地史」「大気・海洋」「宇宙」の5分野のすべてから出題されていた。内容的には昨年と同様に知識問題、読図問題、計算問題がバランスよく出題された。出題形式でみると、昨年に比べて用語選択問題が減少し、図やグラフを読み取った上で正しい文章を選択する問題が増加した。選択問題の出題分野は年度によって異なっており、今年は地球の活動と歴史、宇宙からの出題であった。

2020年度フレーム(大問構成)

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 地球 27 8 A 地磁気と重力
B プレート運動と火山
2 岩石と地質 17 5 A 変成作用と変成岩
B 地質調査
3 大気と海洋 27 8 A 大気
B 天気予報
C 海洋の波動や循環
4 宇宙 17 5 恒星と星団
5 地球の活動と歴史 12 4 A テチス海
B 火成岩
6 宇宙 12 4 A 地球の運動や太陽系
B 銀河系と宇宙
合計 100 30  

2019年度フレーム

大問 分野 配点 マーク数 テーマ
1 地球 17 5 A 地球の自転と内部構造
B 地震と断層
2 地質と岩石 27 8 A 地質調査
B 地史
C 地層と岩石
3 大気と海洋 17 5 A 地球と金星、火星の大気
B 海水の水平運動
4 宇宙 27 8 A 天体とその進化
B 銀河系
5 地球 12 4 A 重力
B ケイ酸塩鉱物
6 水の循環と海洋 12 4 A 地球表層の水とその輸送量
B 海洋の構造
合計 100 30  

設問別分析

第1問

Aは地磁気と重力に関する問題であった。問1は地磁気に関係するさまざまな事象を問う問題で、基礎知識で解くことができる。問2は地磁気の永年変化の図から全磁力の変化率を求める計算問題である。問3は地下の火道において移動するマグマが与える重力加速度の変化を考察する難しい問題である。
Bはプレート運動と火山に関する問題であった。問4はマントル対流に関する問題で、基礎知識で解くことができる。問5は海洋底の移動速度を求める問題で、経度差から距離を求め、その数値から速度を求める二段階の計算が必要である。問6は初動と地震波の経路を求める問題で、逆断層の動きから押し引き分布を推定し、さらに地震波の速度変化を考慮して経路図を選択する難しい問題である。問7は沈み込むプレートと火山前線の関係を問う問題で、プレートが沈み込む深さと火山前線の位置についての知識が必要であった。問8はマグマ発生の過程を問う問題で、詳細な知識が必要であった。

第2問

Aは変成作用と変成岩に関する問題であった。問1は多形に関する知識問題である。問2は変成作用の条件を図から特定する考察問題であり、2012年度に類似した問題が出題されている。
Bは地質調査に関する問題であった。問3は設問文中に与えられた走向・傾斜を用いて図中に各地層の地層境界線を描き、地層の重なり方を決定する考察問題である。地層境界線を描く作業に習熟している必要がある。問4は問3と同じ作業によって指定された地点に露出する地層を特定した上で、その地層を構成する堆積岩の特徴を選択する問題である。問5は凝灰岩に関する基本的な知識問題であり、久しぶりに正誤8択の選択問題形式が出題された。

第3問

Aは大気に関する問題であった。問1は温度と相対湿度の異なる空気塊を持ち上げたときの温度変化についてのグラフを選ぶ問題であった。二つの空気塊の温度と相対湿度の条件を的確に整理すれば正解を選べる。問2は南半球の傾度風についての知識を問う基本的な問題であった。問3は台風についての知識を問う基本的な問題であった。
Bは天気予報に関する問題であった。問4は可視画像と赤外画像についての知識を問う基本的な問題であった。問5は気圧の谷の移動について高層天気図を選ぶやや難しい問題であった。気圧の谷の位置を把握し、気圧の谷が東へ移動することと周期から順番を選べばよい。
Ⅽは海洋の波動や循環に関する問題であった。問6は津波の速度を求め、速さを比較する問題であった。選択肢の速度を見積もるのがやや難しかった。問7は北太平洋についての知識を問う基本的な問題であった。問8は深層循環についての図を選ぶ問題であった。低温で高塩分の海水が南極から沈み込んでくることから判断できる。

第4問

会話文を用いた恒星と星団についての問題であった。問1は恒星の色や寿命及び星団に関する基本的な知識問題であった。問2は恒星の距離に応じた観測・方法に関する知識問題であった。問3はHR図上での太陽の進化の順序を選ぶ基本的な問題であった。問4はHR図から読み取れる事柄についての正誤問題であり、HR図の基本的な性質を理解していれば解答できる問題であった。問5はシュテファン・ボルツマンの法則を用いて黒点と光球の明るさを比較する計算問題であった。公式をきちんと覚えていれば、計算そのものは容易であった。

第5問

Aはテチス海に関する問題であった。問1はテチス海で堆積した地層の分布を問う知識問題であった。問2はテチス海が存在した時代の出来事を問う知識問題であった。
Bは火成岩に関する問題であった。問3は結晶分化作用の進行に伴う酸化物の含有量の変化と、中間質の深成岩の名称に関する知識問題であった。問4は結晶分化作用に関して火成岩の種類と含まれる造岩鉱物ついての知識問題であった。

第6問

Aは地球の運動や太陽系に関する問題であった。問1は地球の自転軸の傾きがなくなった場合に起こりうる現象を問う考察問題であった。各選択肢の事象について、何が原因で起こっているかを考えて正答を選ぶ必要がある。問2は太陽系の惑星の特徴に関する知識問題であった。
Bは銀河系と宇宙に関する問題であった。問3は銀河系中心の位置とハッブルの法則の発見に関する問題であった。設問の各文章をもとにどのようなグラフを作成するのかをイメージして取り組む必要がある。どのような値で軸をとったかにも注意を払わなくてはならない。問4は膨張する宇宙に関する知識問題であった。ビッグバンからの宇宙の歴史に関する基本的な知識問題である。

過去の平均点の推移

19年度 18年度 17年度 16年度 15年度
46.3 48.6 53.8 38.6 40.9