生物 [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報
知識のみで解答できる問題が増加し、考察問題が減少した。
知識のみで解答できる問題の配点の比率が昨年度の約3割から約4割〜5割に増加した。 問題文の中で提示された推論について、それを合理的に導くために必要不可欠な実験結果を考える考察問題が出題された。
難易度
昨年並み
選択肢が6個以上ある問題の数が増えたが、文章選択肢の数や図・表の数、考察問題の割合が減り、教科書レベルの標準的な知識問題の割合が増えた。
出題分量
問題のページ数・小問数・マーク数・総選択肢数はいずれも増加したが、図・表の数は減少したため、全体の分量は昨年と大きく変わらなかった。
出題傾向分析
「生命現象と物質」「生殖と発生」「生物の環境応答」「生態と環境」「生物の進化と系統」の5分野から幅広く出題されたが、「生命現象と物質」と「生物の進化と系統」の分野からの出題が多かった。
生物基礎の範囲からの出題があった。
2020年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 生命現象と物質 | 18 | 3 | A 遺伝子 |
2 | B 細胞周期 | |||
2 | 生殖と発生 | 18 | 3 | A 動物の発生と遺伝子 |
3 | B 植物の発生と遺伝子 | |||
3 | 生物の環境応答 | 18 | 3 | A 動物の反応と行動 |
3 | B 植物の環境応答 | |||
4 | 生態と環境 | 18 | 3 | A 個体群 |
5 | B 種間関係 | |||
5 | 生物の進化と系統 | 18 | 3 | A 進化のしくみ |
3 | B 植物の系統 | |||
6 | 生命現象と物質 生物の環境応答 |
10 | 3 | 遺伝子・植物の環境応答 |
7 | 生物の進化と系統 | 10 | 4 | 生物の起源と進化・生物の系統 |
合計 | 100 |
2019年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 生命現象と物質 | 18 | 3 | A 光合成 |
3 | B 生体膜 | |||
2 | 生殖と発生 | 18 | 2 | A X染色体不活性化・伴性遺伝 |
3 | B 気孔密度の制御 | |||
3 | 生物の環境応答 | 18 | 3 | A 視覚 |
2 | B 植物の窒素源不足への応答 | |||
4 | 生態と環境 | 18 | 3 | A 個体群 |
2 | B 植物の耐塩性と種間競争 | |||
5 | 生物の進化と系統 | 18 | 4 | A 系統分類 |
4 | B 生物の変遷 | |||
6 | 生命現象と物質 | 10 | 3 | DNAの複製・遺伝情報の発現 |
7 | 生態と環境 生物の進化と系統 |
10 | 3 | 種間関係・自然選択 |
合計 | 100 | 32 |
設問別分析
第1問
Aは遺伝子の発現調節に関する知識問題、Bは細胞周期に関する知識問題と考察問題であった。問1・2はラクトースオペロン、問3は真核生物の転写に関する設問であったが、いずれも基本的な内容であった。Bの細胞周期に関する設問は、生物基礎の範囲からの出題であった。問4・5ともに、細胞周期に関する設問としては典型的なものであり、解答しやすかっただろう。
第2問
Aはホヤの発生に関する知識問題と考察問題、Bはアサガオの花の形成と減数分裂に関する考察問題であった。Aでは母性因子のはたらきを確認するために必要な実験を考えさせる、大学入学共通テストを意識した問題が出題された。Bは模式図から花器官のどれが形成されたかが読み取れれば、教科書の知識をもとに解ける問題である。問5のDNA量については、「減数分裂に入る前」をDNAを複製する前として答える。
第3問
Aは動物の反応と行動に関する知識問題と考察問題、Bは植物の環境応答に関する知識問題と考察問題であった。問3では、雄が羽ばたきをする場合に性フェロモンを感知できていることに着目する。問4・5では、変異体Cがアブシシン酸を受容できず、変異体Dがアブシシン酸を合成できないことを文章や実験データから読み取る必要がある。
第4問
Aは個体群や生態系などに関する知識問題と考察問題、Bは物質生産に関する知識問題と植物の成長能力と被食防御を題材とした考察問題であった。問1は、最近マスコミなどにも取り上げられているヒアリを題材とした問題であり、ヒアリとアブラムシとワタ(綿花)の種間関係に関する知識問題と考察問題であった。問2〜4は教科書レベルの標準的な知識問題であった。問5は実験結果をもとに考察する問題であったが、与えられた文章に沿って考えれば解答しやすかったと思われる。
第5問
Aは遺伝子型頻度の計算、および塩基置換の速度から個体の生存や繁殖に有害な遺伝子を考察する問題であった。Bは植物の系統の知識問題や、系統樹から地層が形成された年代を考察させる問題、コケ植物の含水量と生命活動に関する計算を含む問題であった。
第6問
植物の酵素を題材とした、細胞内輸送、遺伝子、および植物の環境応答に関する考察問題であった。問2では、与えられた塩基配列と問題中のアミノ酸数の情報から、mRNAをもとに合成されるタンパク質のアミノ酸数を判断することが求められた。また、問3は、植物の光受容体の知識をもとに、光による選択的スプライシングの調節について考える設問であった。
第7問
進化の過程における生物の陸上進出に関する問題であり、教科書に記載されている基本的な知識をもとに解答する設問が出題の中心であった。問3は、陸上植物と藻類がもつ光合成色素をもとにして、これらの系統関係を考察する設問であったが、陸上植物がもつ光合成色素の知識のみで解答することが可能であった。
19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 | 15年度 |
62.9 | 61.4 | 69.0 | 63.6 | 55.0 |