物理 [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報
教科書に載っていないオリジナル性の高い問題が出題された。
最新の話題であるニホニウムが出題された。
第2問Aのコンデンサーの問題は、教科書や問題集に載っていないオリジナル性の高い問題であり、その場で対応する力が問われた。例年よりもすぐに方針が決められるような問題は少なかった。また、最新の話題である、日本の名前を冠した新元素ニホニウムが出題された。
難易度
昨年並み
しっかり式を立てて計算しないと正解できない問題、公式の暗記だけでは解答を選択できない問題、典型的ではない問題がバランスよく出題され、難易は昨年と同様であった。
出題分量
マーク数は2つ減ったが、設問数に変化はなかった。組合せ問題の数は9つで、昨年と比べて増加した。
出題傾向分析
必答問題は小問集合、電磁気、波動、力学の4題で、選択問題は熱と原子から1題を選択する構成であった。例年、選択問題のうち1題は原子が出題され、もう一方の問題は熱、波動、力学のいずれかが出題されている。
2020年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 25 | 5 | 各分野の基本問題 |
2 | 電磁気 | 20 | 4 | A コンデンサー回路 |
B 荷電粒子の運動 | ||||
3 | 波動 | 20 | 4 | A ドップラー効果 |
B 光の干渉 | ||||
4 | 力学 | 20 | 4 | A 衝突と円運動 |
B 力のつり合いと運動方程式 | ||||
5 | 熱 | 15 | 3 | 浮力と気体の状態変化 |
6 | 原子 | 15 | 3 | 原子核と放射線 |
合計 | 100 | 20 |
2019年度フレーム
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
1 | 小問集合 | 25 | 5 | 各分野の基本問題 |
2 | 電磁気 | 20 | 4 | A ダイオード |
B 磁場中を運動する導体棒の電磁誘導 | ||||
3 | 波動 | 20 | 6 | A 光の屈折・反射・干渉 |
B 単振動する音源によるドップラー効果 | ||||
4 | 力学 | 20 | 4 | A 慣性力 |
B 鉛直面内での円運動 | ||||
5 | 熱 | 15 | 3 | 気体の状態変化 |
6 | 原子 | 15 | 3 | X線の発生 |
合計 | 100 | 22 |
設問別分析
第1問
さまざまな分野からの小問集合。問1は剛体のつり合いの問題。力のモーメントのつり合いを用いて求める。問2は2本の直線電流による磁力線の様子を表す図を選択する問題。教科書に図や写真が記載されていないので、2本の直線電流がつくる磁場を合成する必要がある。問3は音波の干渉を扱ったクインケ管の問題。問題文に経路差のヒントが書かれているので、題意を読み取ることができれば難しくはない。問4は気体の状態変化を扱った基本問題。問5は水平面上での衝突の問題。運動量の和が0であることに気づくと解きやすい。
第2問
A 円筒形導体を用いたコンデンサーの回路の問題。教科書にも問題集にも載っていない形状のコンデンサーで、問題文と与えられた図をしっかり把握して、その場で考えて対応しなければならない。
B 電磁場中の荷電粒子の運動の問題。問4は質量の変化による速さの変化を評価する問題である。
第3問
A 水面波を題材としたドップラー効果の問題。ドップラー効果の振動数の公式や波長の公式を用いればよいが、少し難しかったかもしれない。
B 複スリットによる光の干渉とニュートンリングの問題。受験生にとって、見慣れた題材だと思われるが、与えてある文字が少ないので、かえって難しかったかもしれない。
第4問
A 小物体の完全非弾性衝突と鉛直面内の円運動の問題。問1は運動量保存則を用い、問2は円運動の式と力学的エネルギー保存則を用いる。
B 小球にはたらく力を考える問題。問3は力のつり合いに関する標準的な問題である。問4は糸を放した直後に、小球1と小球2にはたらく力を正しく見抜く必要がある。
第5問
水槽内の円筒容器に閉じ込められた気体の状態に関する問題。問1は浮力による力のつり合い、問2は水中での圧力、問3は体積の等しい状態についての設問で、気体の状態変化に関する設問が中心ではない。どのような物理量に着目するかがポイントである。
第6問
原子核反応と放射線に関する問題。問1は日本の研究グループが命名権を得たニホニウムの生成過程とα崩壊の回数について、問2は結合エネルギーの数値計算、問3は放射線の電場中の軌道についての設問である。
19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 | 15年度 |
56.9 | 62.4 | 62.9 | 61.7 | 64.3 |