国語 [分析] 2020年度大学入試センター試験速報 | 大学入試解答速報
本文量は減ったが、国語全体で昨年並み。
<現代文>第1問(評論)は、「レジリエンス」という概念を紹介し、その意義を論じた文章からの出題。第2問(小説)は、1948年に発表された作品の一節からの出題。2016年度、2017年度、2019年度と同様、やや古い時代の小説である。
<古文>昨年同様、近年のセンター試験の中では、易しい部類の問題文・設問であった。
<漢文>詩の描写を模式化したイラストを選ぶ問題が出題された。
難易度
昨年並み
<現代文>第1問(評論)は、昨年同様比較的読みやすい文章が出題された。本文量も昨年より大幅に減少しており、やや易しくなった。第2問(小説)は、やや古い時代の小説であり、時代状況の知識を持たない受験生にとってはやや難しかった設問もあった。
<古文>昨年同様、問題文全体が読みやすく、選択肢も短く素直なものばかりで、判断に迷う設問が少なかった。
<漢文>漢詩の出題で、詠まれている内容は難しいものではないが、これまでにない傾向の設問があった。
出題分量
<現代文>第1問(評論)は、本文量が1000字余り減少した。4000字を超える文章の出題が続いていたことを考えれば、受験生は時間的に余裕を持って問題に取り組めただろう。第2問(小説)は、本文量が昨年よりもやや減。選択肢の長さも総じて短くなっている。
<古文>例年センター試験の本文の長さは、1200字〜1700字ほどであるが、今年は1280字ほどで短い部類に入り、昨年より430字ほど減少した。
<漢文>本文量が100字で85字減少。設問数が6で1問減であり、マーク数は昨年より1つ減って7であった。また、通常は選択肢数が5であるが、問3は4であった。
出題傾向分析
<現代文>第1問(評論)は、生徒が話し合う場面を踏まえた設問が今年も出題された。第2問(小説)は、ほぼ従来通りの出題傾向。語句の意味を問う問題や表現効果を問う問題が出題されている点も、例年通りである。
<古文>中世に書かれた物語である『小夜衣』からの出題で、寂しい山里に住む姫君の噂を耳にした宮が、姫君の住む庵を訪ねる場面であった。昨年は本文に連歌と和歌があり、設問にもかかわっていたが、今年は本文に和歌がなかった。
<漢文>六朝時代の謝霊運の五言詩が出題された。志を果たせずに傷心して故郷に戻ってきた作者が、住居と生活の様子を詠んだ詩である。問3では描写を模式化したイラストを選ぶ問題、問5では表現に関する説明の問題などこれまであまり見られなかった傾向の出題があり、さらに問5は適当でないものを選ばせる形式であった。
2020年度フレーム(大問構成)
大問 | 分野 | 問数 | マーク数 | 出典 |
1 | 評論 | 6 | 11 | 河野哲也『境界の現象学』 |
2 | 小説 | 6 | 9 | 原民喜「翳」 |
3 | 古文 | 6 | 8 | 『小夜衣』 |
4 | 漢文 | 6 | 7 | 『文選』 |
合計 | 35 |
2019年度フレーム
大問 | 分野 | 問数 | マーク数 | 出典 |
1 | 評論 | 6 | 11 | 沼野充義「翻訳をめぐる七つの非実践的な断章」 |
2 | 小説 | 6 | 9 | 上林暁「花の精」 |
3 | 古文 | 6 | 8 | 『玉水物語』 |
4 | 漢文 | 7 | 8 | 『杜詩詳註』 |
合計 | 36 |
設問別分析
第1問
問2〜問4は、オーソドックスな設問である。問5は、生徒が話し合う場面を踏まえた設問で、一昨年同様、一人の生徒の発言の一部が空欄となっており、その内容を問うものである。基本的な読解力が問われ、いろいろな設問形式に対応できる力が求められている。
第2問
第2問(小説)は、戦後間もない時代に発表された原民喜の作品からの出題。全体に素直な出題だと言えるが、問1・問2・問6はやや紛らわしい選択肢がある。問4は、時代状況などについての知識を持たない受験生にとっては、難しく感じられたかもしれない。傍線部に関係する内容を正確に読み取り、選択肢を比較して慎重に答えを選ぶことが求められている。
第3問
問1は語句の解釈問題で、どれも基本的な重要古語が問われた。問2は文法問題で、昨年の本試験と同じ形式で敬意の方向が問われた。問3は宮が何に対して「うらやましく」思うのか、問4は尼上の思い、問5は女房の心情、問6は本文の内容を問う設問であった。全体として近年のセンター試験の傾向通りの設問設定であった。重要古語・古典文法・古文常識など古文の基本を習得し、それを基に本文の内容を的確に捉える練習を積まなければならない設問である。
第4問
問1は基本的な語の読みの知識が問われた。問2は返り点の付け方と書き下し文の問題であった。否定詞の「非」(〜にあらず)と1句内の区切りに留意して、2つの句の意味の繋がりを捉える必要がある。問4はオーソドックスな押韻の問題であるが、正解の候補となる韻の字が複数あり、対句を考慮しなければならない。問6は心情説明であるが、結局、末尾4句の解釈が問われている。問3と問5は新しい傾向の出題であり、描写を模式化したイラストを選ぶ問題、表現に関する説明の問題であった。設問に目新しさはうかがわれるものの、内容は難しくなく、訓読と読解の基本的な学力が要求されている。
19年度 | 18年度 | 17年度 | 16年度 | 15年度 |
121.6 | 104.7 | 107.0 | 129.4 | 119.2 |