河合塾
2017年度大学入試センター試験 分析
【国語】

現代文の難易度が上がり、国語全体としては昨年より難化。

<現代文>第1問(評論)は、現代の科学論の一つを紹介し、科学のあり方について論じた評論が出題された。昨年出題された、本文の読後感を話し合う生徒の発言から本文の趣旨に近いものを選ぶ設問は出題されなかった。第2問(小説)は、20世紀初頭の作品からの出題。本文・選択肢を細部まで丁寧に検討することが必要とされる問題である。
<古文>昨年に続いて易しい問題であった。
<漢文>日本漢文が出題されたのは、2012年度の追試験で頼山陽が出題されて以来で、本試験としては初めてである。文の解釈が問われなかった。

難易度 難化
<現代文>第1問(評論)は、受験生に身近な話題を論じた比較的読みやすい評論が2年続けて出題されたが、今年は硬質な科学論からの出題であり、本文量も増加しており、難化した。第2問(小説)は、本文中の設問に関わる部分の内容を正確に把握し、その内容と各選択肢とを丁寧に照らし合わせる必要がある。解くのに手間のかかる問題であるという点で、昨年よりも難化したと言えるだろう。
<古文>本文は昨年の『今昔物語集』よりも話の展開がわかりやすい。問1の傍線部は短い上に、昨年ほどは文脈を考慮して解答する必要がなかった。さらに、問3以降の内容読解の問題も正誤がはっきりしており、選びやすくなっている。
<漢文>難解な内容ではなく、表現もやや平板である。本文・設問とも難易度に大きな変化はなく、昨年並みと言える。

出題分量
第1問(評論)は、本文量が700字程度増加し、4000字を超えた。設問数、マーク数は変化していないが、3行選択肢が増加した。第2問(小説)は、本文量は約4800字で、昨年とほぼ同じ。設問数も昨年と同じであり、各選択肢の長さも昨年とさほど変わってはいない。第3問(古文)は、本文量が1440字ほどで、昨年より約300字減少した。第4問(漢文)は、本文量が198字で6字増加、設問数は1問減少したが、マーク数は8で、昨年と同じ。

出題傾向分析
<現代文>第1問(評論)は、受験生に身近な話題を論じた比較的読みやすい評論からの出題が2年続いたが、今年は硬質な科学論が出題された。第2問(小説)は、ここ数年、戦前の小説の出題が目立つが、今年もそうした傾向を踏襲している。過去5年は短編小説の全文が出題されていたが、今年は作品の一節を切り取ったかたちの出題になっている。古い小説としてはどちらかというと平易な文体だが、現代の受験生にとってはけっして読みやすい文章ではないだろう。
<古文>本文は、近世の擬古物語『木草物語』からの出題で、非常に稀な出典であった。主人公の菊君が側近の蔵人の邸を訪れた際、蔵人の姉妹の尼と20歳くらいのその娘の姿を垣間見て、和歌のやりとりをするという話である。昨年は和歌が本文にも設問にもなかったが、今年は本文に2首あり、設問にもなっていた。
<漢文>江戸時代の漢学者、新井白石の随筆が出題された。昔とは大きく変わって大都市となった江戸が今後すっかり変わるであろうことを述べ、後世の人々に江戸を理解してもらう手助けにしたいという、自著の『江関遺聞』執筆の動機を記している。設問は、語の読み、語の意味、返り点の付け方と書き下し文、内容説明、理由説明など、標準的であったが、文の解釈は出題されなかった。問3・4・6は、本文の記述と照らして、選択肢をしっかり検討する必要がある。

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