2018年度大学入試センター試験 日本史B [分析]
図版を利用した年代配列問題や統計資料を利用した問題がみられなかった。

昨年・一昨年度に続き、今年度も現行課程の特徴である「歴史の解釈・歴史の説明」などを意識した出題はみられなかった。
第1問の問題文は、3年ぶりに会話形式が復活した。歴史学科を卒業したある自治体の観光課の新入職員とその先輩との会話、という設定であった。
例年通り、地図を利用した問題や史料の読解問題がみられた。
昨年度みられなかった戦後史単独の設問が2問出題され、時期の下限も1950年代から70年代になった。
難易度 昨年並み
小問間の難易度の差はあるものの、全体的には標準レベルの問題である。受験生が苦手とする文化史や戦後史が微増したが、多くの受験生が比較的苦手とする年代配列問題が減少したことなどから、昨年度に比べ大きな変化はない。

出題分量
大問数は6題、マーク数は36で、昨年同様だった。

出題傾向分析
現行課程入試3年目に突入したが、これまで同様、現行課程の特徴である「歴史の解釈・歴史の説明」などは反映されていなかった。
分野・形式面は昨年度とほとんど変わらないが、昨年度2問みられた図版を利用した年代配列問題や、昨年度復活した統計資料の読み取り問題が出題されなかった。文字史料の読み取り問題は増加している(2問→4問)。図版や地図を利用した出題は続いており、歴史資料をもとに考察させようとする姿勢は今年度も維持されている。過去のセンター試験の問題と類似した設問・テーマもみられ、過去問演習を中心にしっかりと学習した受験生は高得点が可能である。
2018年度フレーム(大問構成) 2017年度フレーム
大問 分野 配点 マーク数 大問 分野 配点 マーク数
1
文化資源と観光
16
6
1
海をめぐる日本史
16
6
2
原始・古代の国家・社会と音楽との関係
16
6
2
古代の思想・信仰と政治・社会
16
6
3
中世から近世初期までの地震とその影響
16
6
3
中世の政治・社会・文化
16
6
4
近世の外交・思想・宗教
16
6
4
近世の文化・政治・社会
16
6
5
幕末から明治維新にかけての軍制改革と西洋医学
12
4
5
幕末から明治期の大坂(大阪)
12
4
6
石橋湛山の人物史
24
8
6
近現代の公園をめぐる歴史
24
8
合計  100 36 合計  100 36
■設問別分析
第1問
3年ぶりに会話形式が復活した。歴史学科を卒業したある自治体の観光課の新入職員と、その先輩という設定であったが、高校生や大学生を登場させず、社会人同士という設定は目新しい。Aの会話文では、文化資源の地域振興への活用をテーマに、「くまモン」などのゆるキャラをとりあげている。Bの会話文では、世界遺産や近代遺産と観光についてとりあげ、負の側面にもふれている。設問は、現行課程に移行して以来の複数の時代をまたぐ問題を中心とし、古代〜近代を総合的に問う形をとっている。問1では史料を利用した設問が、問2では図版の読みとりを含む設問が、問6では図版と地図を組み合わせた設問がみられた。複数の時代をまたぐ問題も誤文は明確であり、難しくはない。全体には標準的なレベルの問題である。
第2問
原始・古代の国家・社会と音楽との関係を素材に、古代を中心に総合的に問うている。Aでは音楽に関わる発掘資料や文献資料をとりあげ、Bでは律令国家が重視した儒教・仏教における音楽の役割や、音楽を担った政府機関、浄土信仰と音楽との関係などをとりあげている。問5では史料の読み取り問題が出題された。教科書には掲載のない史料であるが、「注」に着目すれば正解できる問題である。センター試験の史料問題では、史料の「注」も重要な情報であることを知っておきたい。テーマは目新しいが、設問は政治史を中心としており、全体には標準的なレベルの問題である。
第3問
地震とその影響を素材に、中世から近世初期までを総合的に問うている。Aでは鎌倉〜南北朝期における地震と武士の政争との関係を、Bでは11世紀末〜15世紀末の地震が人々の生活に与えた影響や、豊臣秀吉の地震にまつわるエピソードをとりあげている。問4で図版の読みとりを含む問題がみられた。問5のYでは、富田林が寺内町かどうかを問うており判断がやや難しいが、富田林は2005年度本試などでも出題されている。全体には標準的なレベルの問題である。
第4問
Aでは近世前期の日朝関係を、Bでは江戸時代の宗教をめぐる諸相をとりあげ、近世を総合的に問うている。問2は、受験生が総じて苦手な年代配列問題であり、IIとIIIの順番に迷ったであろう。「亜欧堂田善」は難易度が高く、その活動時期を判定するのは難しいので、「西洋画の技法を用いた作品」という情報から蘭学・洋学が発展した時期と推定し、江戸後期のIIIよりも古そうだと判断するしかない。問5では史料の読みとり問題が出されたが、「注」を活用すれば難しくない。全体には標準的なレベルの問題である。
第5問
幕末から明治維新にかけての軍制改革と西洋医学との関係をテーマとした問題文を用い、当該期の政治を中心に問うている。問2の選択肢1は阿部正弘が事態を朝廷に報告し、諸大名らにも意見を求めたことをもって「幕府の独断」を誤りとしているのだろうが、最終的には幕府が締結を決めているので、受験生は判断に迷ったであろう。問3の年代配列問題は、19世紀の西洋医学という受験生にはなじみの薄いテーマであったが、IIIを明治初期と判断できれば正解できる。全体には標準的なレベルの問題である。<日本史Aの第2問との共通問題>
第6問
戦前はジャーナリスト、戦後は主に政治家として活躍した石橋湛山の人物史を素材とし、近現代を総合的に問うている。Aでは大正デモクラシーの風潮の中での活躍をとりあげ、大正時代の思想状況や国際情勢を、Bではデモクラシーが退潮していく中での活動をとりあげ、近現代の思想・言論統制や文化などを、Cでは戦後の活動をとりあげ、戦後の政治・外交を問うている。問5では戦中・戦後の文化を問う問題が、問8では史料の読みとりを含む問題が出題された。全体的には、標準的なレベルの問題である。<日本史Aの第4問との共通問題>
■過去の平均点の推移
17年度 16年度 15年度 14年度 13年度
59.3  65.6  62.0  66.3  62.1 
※今年度の予想平均点速報はこちら
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